アメリカ/イギリス/カナダ/EUが中国共産党に制裁『ウイグル・ジェノサイド(人権弾圧)』 - 日本国の対応と3つの問題とは?
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2021年3月22日、米国、欧州連合(EU)、英国、カナダは足並みを揃え、中国共産党当局者および団体に対する制裁措置を発動した。
EUが中国共産党を制裁したのは、天安門事件以来 実に30年ぶり。ウイグルジェノサイド(ウイグルへの人権弾圧)の深刻さが伺える。
本稿では、制裁の詳細と我が日本国の問題について解説する。
米、中国の「ウイグル人ジェノサイド(民族大量虐殺)」を認定
2019年6月、トランプ政権は「ウイグル人権法」を成立させた。
ウイグル人権法案とは?
知ってください、「ほんとう」の事。
— 東トルキスタンに平和と自由を (@saveeastturk) July 1, 2020
伝えてください、「 #東トルキスタン 」の事。https://t.co/4pmNmxjY9v #ウイグル #東トルキスタン #中国共産党ウイグル人虐殺追悼 #SaveUyghurpic.twitter.com/lnxG8gWJHT
ウイグル人権法案とは、ウイグル弾圧に関わった中国当局者に対し、資金凍結やビザ取り消しなどの制裁を加えることができるというもの。
中国当局が「再教育」施設に多数のウイグル人を収容し 拷問などを実施しているとして、トランプ大統領が「中国当局へ収容施設の即時閉鎖や拷問の中止など」を要求。
ウイグル人100万人が投獄されている
ペンス氏は中国のチベット自治区と新疆ウイグル自治区での宗教弾圧を非難。後者については「ウイグル人をはじめ、100万人以上のムスリムが投獄されており、強制収容所で絶え間なく洗脳が行われている」とコメントした。
新疆ウイグル自治区の人口は2500万人で、そのうちウイグル人は約1000万人とされている。その1割に相当する「100万人の投獄」が事実なら、異常事態といっていい。
ポンペオ氏は中国のウイグル人弾圧を「今世紀の汚点」と断じた。
https://toyokeizai.net/articles/-/293979
ウイグル問題とは?
ウイグル問題については、当サイトの下記を参照。
米国がウイグルの秘密兵団を制裁
2020/09/19 公開
2020年7月31日、アメリカ財務省は正式に新疆生産建設兵団(XPCC)に対し制裁を発動。XPCCの高官2人も制裁対象。
「XPCCは新疆の少数民族に対する深刻な人権侵害に関わり報告された大量の恣意的拘禁や深刻な身体的虐待がウイグル人と他の少数民族を標的に実施された」
この制裁はマグニツキー法に基づき、
"基本的にはXPCCの在米資産が凍結される上、アメリカ人はXPCCとのビジネスを一切禁止"。
なお トランプ政権によるXPCCの定義は「中国共産党に従属し新疆に駐屯する準軍事組織」である。
そして、ウイグルジェノサイド認定へと至る
2021年1月19日、ポンぺオ米国務長官(当時)は 中国が新疆ウイグル自治区でウイグル人などイスラム教徒の少数民族に対し「ジェノサイド(民族大量虐殺)」を犯したことを認定したと表明。
ポンぺオ長官は声明で、入手可能な事実の精査を経て認定に至ったとした上で、下記の声明を発表。
ジェノサイドが継続していると確信している。中国と中国共産党によるウイグル人壊滅に向けた組織的な攻撃を目の当たりにしている。
I have determined that the People’s Republic of China is committing genocide and crimes against humanity in Xinjiang, China, targeting Uyghur Muslims and members of other ethnic and religious minority groups.
— Secretary Pompeo (@SecPompeo) January 19, 2021
ポンぺオ長官は新疆ウイグル自治区における中国政府の政策や慣行、虐待に関する文書を精査し、少なくとも2017年以降にこうした行為が行われていたと判断。
米国、EU(欧州連合)、英国、カナダが、中国共産党当局者および団体に対する制裁措置を発動
2021年3月22日、米国、欧州連合(EU)、英国、カナダは足並みを揃え、中国共産党当局者および団体に対し、制裁措置を発動した。
アントニー・ブリンケン米国務長官は、「グローバル・マグニツキー人権問責法」に基づき、新疆ウイグル自治区と新疆生産建設兵団(準軍事組織)の党委員会書記である王君正、新疆公安庁トップの陳明国に対して、米国内の資産を凍結すると発表。
米国の制裁リスト
王君正
2019年2月、新疆ウイグル自治区党委員会の常任委員会のメンバー および CPC新疆ウイグル自治区の政治法務委員会 書記
2020年4月、新疆ウイグル自治区党委員会副長官、新疆生産建設隊党委員会長官、政治将校、中国新グループ公司(大臣レベル)議長
陳明國
2021年1月、新疆ウイグル自治区の人民政府の副議長および公安局の局長
EUと英国の制裁リストには、王君正と陳明国のほかに、新疆政法委員会書記の王明山(おう・めいざん)、新疆政法委員会前書記の朱海侖(しゅ・かいりん)も含まれる。
制裁対象者にはEUや英国への渡航禁止、資産の凍結などが科される。そして、新疆自治区収容施設の実施主体である新疆生産建設兵団公安局も制裁リストに入っている。
EUと英国の制裁リスト
王明山
- 2004年2月
イリ県の公安局の局長 - 2009年12月
ウルムチ市の公安局長 - 2015年5月
CPCウルムチ市委員会の副長官および政治法務委員会の長官 - 2015年11月
党委員会の副長官および政治法務局の副長官 - 2017年2月
新疆ウイグル自治区の公安局の局長兼主任検査官 - 2018年1月
新疆ウイグル自治区の副会長を兼務
朱海侖
- 2006年10月
中国共産党の新疆ウイグル自治区の党委員会の常任委員会のメンバー、同時に地区党委員会の政治法務委員会の書記 - 2009年
中国共産党のウルムキ市委員会の書記 - 2009年9月
新疆ウイグル自治区の党委員会の常任委員会のメンバー、中国共産党のウチャン党委員会の書記官、およびウルムチの書記官 - 2009年11月
新疆ウイグル自治区の党委員会の常任委員会のメンバー、中国共産党のウルムチ党委員会の書記、中国共産党のウルムチ市委員会、党委員会の初代書記、新疆生産建設隊第12農業部の初の政治委員 - 2016年3月
新疆ウイグル自治区の党委員会の副書記 - 2016年5月
ウルムチ市委員会の書記および中国共産党のウチャン党委員会の書記 - 2016年11月
再び地区党委員会の政治法務委員会の書記 - 2018年2月24日
第13回全国人民代表大会の代表に選出 - 2019年1月
新疆ウイグル自治区人民代表大会常任委員会の副所長 - 2019年2月
地区政治法務委員会の書記を辞任 - 2021年2月
全国人民代表大会常任委員会の副委員長を辞任
新疆生産建設兵団(しんきょうせいさんけんせつへいだん)
中華人民共和国 西部新疆ウイグル自治区で開墾と辺境防衛を行う準軍事的政府組織。中規模の都市に駐屯し、駐屯地の行政を行う当局、いわゆる屯田兵である。
兵団第一政治委員は中央政治局局員、新疆ウイグル自治区党委書記である陳全国が兼任。
ブリンケン米国務長官の声明
大西洋の両側が連携して取り組むことで、重大な人権を侵害する国へ強いシグナルを発した。
志を同じくするパートナーと協力して、さらなる行動を起こす。
産経新聞社の矢板明夫・台湾支局長のコメント(要約)
中国当局はこのほど、新疆問題などをめぐって欧米各国との対立を強めている。中国当局が現在、好戦的な「戦狼外交」ではなく、各国に噛みつく「ゾンビ外交」を展開している。
EUがこのほど中国当局者らに制裁を科したことは、1989年天安門事件以来、初めてのことだ。今後、国際情勢が大きく変わる可能性が高い。
香港人時事評論家、桑普氏のコメント
楊潔篪氏が米国の前職と現職の国務長官に対して違う対応をしていることを指摘。出典
楊氏はポンペオ前国務長官と会談した時、お辞儀をしたりして礼儀正しく振舞っていた。今のブリンケン国務長官と会うと、楊氏は『米国には上から中国に物を言う資格はない。中国はその手は食わない』などと相手を責めていた。明らかに、中国当局は米国のバイデン政権を見くびっている。
我が国、日本国の問題点は?
同盟国の米国はトランプ政権時代から中国共産党に制裁していた。一方、我が日本国の対応はどうなっているのだろうか?
EUが天安門事件以来(実に30年ぶり)中国共産党に制裁を発動。英国、カナダも足並み揃えて制裁し、G7では日本国だけが中国への制裁を実施していない状況となった。
日本国の問題点は下記3つに集約できる。
- マスメディア
- 経済界
- 政府
1.なぜ日本のマスメディア報道は親中なのか?
「日本のメディア報道はなぜ親中なのか?」
思想を問わず、多くの国民が疑問に思ったことがあるはずだ。
実は「日中記者交換協定」なるものが存在し、中国共産党政権が日本のマスコミへ甚大な影響を及ぼして来た。
これはジャーナリズムの死であり、国民の知る権利への裏切りである。
国民にできる3つのこと
- 広告スポンサーの不買
- 広告スポンサーへの抗議
- 新聞解約
もはやプロパガンダ機関と化した大手新聞は解約。TVも観ない。観たとしても CMスポンサー企業の商品は買わず、抗議しよう。
「日中記者交換協定」の詳細
2.日本の経済界は?
ウイグル弾圧ジェノサイド問題は、そもそもIOC(国際オリンピック委員会)の責任ではないか?
米ウォルツ議員のコメントを掲載する。
IOCは冬季大会を中国から他の国に移すことを今のところ拒んでいるようである。そこで私たちは仕方なく北京五輪のボイコットを呼びかけることとなった。現在、世界は残虐な中国政府に五輪主催国という国際的な名誉を与えることは明らかに好んでいない。
オリンピックは平和の祭典であり、当然の事ながら人権が守られている上での開催であるべきだ。しかし「基本的人権よりもビジネス優先」のオリンピックになっていないだろうか?
事実、オリンピックの協賛金は「1社100億円」ともいわれている。
北京オリンピック公式スポンサー12社
- コカ・コーラ
- マクドナルド
- コダック
- オメガ
- VISA
- サムスン
- ジョンソン&ジョンソン
- パナソニック
- レノボ
- GE
- アトスオリジン
- マニュライフ
※ 出典
馴染みのあるパナソニック、コカ・コーラ、マクドナルド、VISAなどが目につく。
こうした企業は、大金を払ってまで ウイグルジェノサイドに加担していると誤解されては、完全に逆効果だ。
日本メーカー12社ほか
- ファーストリテイリング(ユニクロ)
- ソニー
- 日立製作所
- 無印良品
無印良品の中国語サイト、新疆綿商品を販売中
https://www.epochtimes.jp/p/2021/03/70635.html
2021年2月22日、ファーストリテイリング、ソニー、日立製作所など、日本の小売・製造業12社が、「ウイグル弾圧への関与が確認された中国企業」との取引を停止する方針を固めたと、共同通信が報じた。しかし、まだ具体的なことはわかっていない。出典
3.日本政府は、民主主義国家として恥じない行動を
日本は、安倍前首相がトランプ前大統領と親密な関係を築き、日米同盟を強固なものにしてくれた。しかし、2020年7月23日、ワシントンのシンクタンク 戦略国際問題研究所(CSIS)は『日本における中国の影響力(China's Influence in Japan)』と題する調査報告書(以下、報告書)を発表。
※ 報告書はアメリカ国務省のグローバル・エンゲージメント・センター(Global Engagement Center)の支援を得て作成。
日本政府の媚中政策に よほどの危険を感じたのだろう。以下は報告書において「アメリカから名指し批判された親中派疑惑団体リスト」だ。
安倍前首相に「世界政治家賞」
米財団、安倍前首相に「世界政治家賞」を授与 https://t.co/rIXyvExC2D
— YAMAZAKI (@VoxDeiTokyo) March 28, 2021
2021年3月22日、米財団より安倍前首相が『世界政治家賞』を受賞した。これも米国からのメッセージではないだろうか?
RCEPという経済連携も、お互いの国が良好な関係で 信頼し合える関係が大前提だ。「平和的な外交」という言葉も、尖閣侵犯までされている現状では全く成立しない。
尖閣侵犯が人民解放軍である限り、外交ではなく防衛相が担当すべき軍事問題だ。米国がどれだけ協力的であっても、日本政府が正しい行動に出ない限り 何も問題は解決されない。
国家の存亡というレベルで今、民主主義国家として恥じない行動が求められる。