清水ともみ著『命がけの証言』 - 日本のパパ・ママも必読! 漫画で分かるウイグルジェノサイド問題
更新日:2021年1月、清水ともみ著『命がけの証言』が発刊。中国共産党によるウイグルジェノサイドを 漫画でわかりやすく解説した良書だ。
言論の自由が信じられているはずの日本メディアは、長きに渡りウイグル問題をタブー扱い。そんな中、画期的な一石を投じる衝撃作といえる。発刊したWAC社に敬意を評したい。
冒頭にある 楊海英 静岡大学教授*との対談も含めて、1時間もあれば読了できる。絵でわかるので非常に読みやすい。子育てに忙しい普通のパパ・ママたち、若い学生さんたちにこそ、手にして頂きたい一冊だ。
『命がけの証言』と出会うことで、人生観が変わることは間違いない。愛する子供たちの未来を真剣に考える親御さんたちは、どうか手に取ってほしい。
『命がけの証言』 - 読むと世界観が一変する
- 国防意識が変わる
- 平和な日常に感謝
- 安全な子育て環境に感謝
「ウイグル問題」という言葉を耳にする機会は、少しずつ増えて来ている。しかし、一体何がそんなに問題なのかは、ご存じない方も多いのではないだろうか。
本書『命がけの証言』ならそれが一目瞭然。当事者であるウイグル人たちの 生の証言をもとに制作されているからだ。ご覧の通りシンプルなタッチの絵なので、読み進めるのも早い。
読後にはきっと、読者の人生観が変わっているはずだ。
- これは現実なのか?
- 中国は隣国だが、日本にも同じ危険はあるのか?
- そう言えば政府、NHK、大企業は中国にはダンマリだけど、もしかしてそれって・・・?
本書は こうした気付きの きっかけになる一冊だ。
『命がけの証言』 - 文字が苦手な方には最適な一冊
ウイグル漫画映像化担当は葛尾氏
絵本や漫画やアニメは日本のお家芸ですから、ウイグル問題が清水さんの手によって、こういう目ですぐに読める形で一冊の本になって本当に嬉しく思いました。楊海英 (本文より)
楊教授も指摘されているが、やはり漫画は日本の秘密兵器。絵による視覚的インパクトはシンプルかつ強力だ。
*楊海英 - 静岡大学人文社会学部教授。内モンゴル(南モンゴル)オルドス出身の文化人類学者。日本帰化名は大野旭。幼少期に内モンゴル人民革命党粛清事件を経験。2011年著書「墓標なき草原:内モンゴルにおける文化大革命・虐殺の記録」で司馬遼太郎賞を受賞。2018年正論新風賞受賞。
清水ともみスタイル
しかも、清水ともみ氏の作品は特別。深刻な事実とはかけ離れたくらいの優しいタッチ。スッキリしたレイアウトで読みやすい。
漫画部分は1作品5分程度で読める長さ。日々忙しいママにも手に取って頂きやすい仕上がりだ。
本書では事実を元に、作者の感情は乗せないことに注意を払ったというが、非常に淡々とストーリーは進む。残虐なシーンはあえて直接描いていない。資料を根拠に制作されているため、これらがかえって強烈な重みを読者に突きつける。
『命がけの証言』 - 著者 清水ともみ氏とは
静岡県出身の漫画家。2019年4月にウイグル弾圧の実態を描いた作品をTwitterにて発表。大きな反響を得て、海外を中心に多くのメディアが紹介。
作者もまた命がけ
ウイグル漫画を発表後、清水氏自宅には連日深夜3時に 何者かがインターホンを押し続けるという事件が発生した。インタビューと称して近づき 家族のプライベートな情報まで聞き出すという、通常の報道機関ではしない不審な出来事もあったという。
本書は証言者であるウイグルの方々もそうだが、普通の主婦として暮らすこともできた清水ともみ氏もまた、リスクを背負って出版していることを ここに記しておきたい。
『命がけの証言』 - 概要
- 序章:
「命がけの証言」に応えて描きました - 第一章:
私の国の名は東トルキスタン - 第二章:
「ウイグル族」と呼ばないでください - 第三章:
「強制収容所」を生き延びて•••••• - 第四章:
「習近平が大好き!」を昌和させられて - 第五章:
戻らない家族への思い•••••• - 第六章:
スパイになれと強要されて - 第七章:
日本への「夢」を奪われて••••••
冒頭は前述通り、楊海英 静岡大学教授との対談。現在は日本に帰化されているが、内モンゴル出身の楊教授。楊教授は ご自身が幼少期に内モンゴル人民革命党粛清事件を経験されている。
ここでは、作者清水ともみ氏がウイグル作品を描くことになったエピソードについても触れられている。筆者が読んでいても、運命というか、清水氏の表現通り「神さまが描け」と言ってくれたのだろうと思う。
神さまが描けと言ってくれたのです
その時に、全身に鳥肌が立って、これは書かなければいけない、天命、神さまからのメッセージなのかなと思いました。清水ともみ (本文より)
古今東西において 名作とは、天からの啓示、インスピレーションを受けて 誕生している。清水氏が天から受けた使命感にも似た、何かを感じて本書の制作に取り組まれたことが想像できる。
各章のストーリーには、それぞれ証言者が実在。在日ウイグルの方も、勇気を出して証言されている。本書では、これまで未発表だったと思われる作品も収録。
加えてウイグルや中国関連のコラムが6本収録。
ウイグル問題を無視し続けた国際社会
そういう出版業界のタブーを破ったのが今回の本で、歴史に残る作品だと思います。楊海英 (本文より)
普段から社会情勢に関心ある方でも、メディアが報じないならば知りようがない。ウイグル問題は 一部SNS上で、情報がたまに漏れ伝わる程度。
少し前までは、陰謀論扱いまでされそうな気配すらあった。仮に真実だと理解しても、自分や日本には関係ないかのような反応もちらほら。
「報道しない」自由
中国共産党は全力で隠蔽するし、在日ウイグル人もスパイ監視を恐れて声を上げること自体が命がけ。
日本メディアも中国共産党に忖度して、報道を自主規制。各メディアには、親中スパイの浸透が疑われている。
「ウイグル漫画」の一石もあり 潮目が変わりつつある
それだけに 本書が世に出ることは 大きな意義がある。
2020年には清水氏が前作『私の身に起きたこと』を発刊。また、中国にとって目の上のたんこぶである米トランプ政権が、ウイグル人権問題を糾弾し続けた。
ウイグルジェノサイド認定!
2021年1月トランプ政権がホワイトハウスを去る最終日には、ついにマイク・ポンペオ国務長官から「人道に対する罪 - ウイグルジェノサイド」認定が宣言。大きな衝撃が 世界中を駆け巡った。
翌日からは、ウイグル問題についてタブーだった日本でさえも報道を開始。以前とは潮目が変わりつつある。
これはトランプ政権の心意気もあるが、何よりもウイグルの声にならない声を汲み取り、世に届けた方々の功績は計り知れない。
草莽崛起
よくコメントで『私には何の力もありませんが、せめてリツイートします』といただきます。まさにそのような力の結晶です。清水ともみ (本文より)
最初はウイグルの誰かが、まさに命がけで発した証言から始まっている。それが例えば清水ともみ氏を動かし、清水氏の作品は我々を動かした。清水氏の作品は世界各国の言葉に翻訳されており、投じたその一石が 今や大きな波紋となっている。
私たちにも 何かできるのではないだろうか。
ウイグルの夜明け - チャンスが来ている!
本書『命がけの証言』はトランプ政権が「ウイグルジェノサイド」認定をしてから4日後の 2021年1月24日に発刊。
本稿執筆中の2月時点で、日本におけるウイグル報道はまだまだ不足はしているものの、日増しに市民権を得ている実感は出て来た。少なくとも「以前のように陰謀論扱いする風潮の方が もはや恥ずかしくなってきた」と言っていいだろう。
出版社WACが国会議員たちへ『命がけの証言』を送付
2021年2月19日、『命がけの証言』出版元のWAC社が 代表名義で国会議員706名(衆参全て)へ上記手紙を添えて本書を送付。もう知らないとは言わせない。
森元総理を非難して、中国共産党には沈黙の謎
時を同じくして、森元総理が東京五輪組織委員長の立場にありながら 女性への失言をしたとの報道合戦が加熱している。「人権」を語るならウイグル問題を外すのは言語道断。
不自然に沈黙している報道機関、人権派弁護士・政治家、ジャーナリスト、芸能人は、今後 家族からも信頼されない人間になるだろう。
大下容子ワイド!スクランブル
2月16日TV朝日の「大下容子ワイド!スクランブル」では「ウイグル人」とすべき表記を「ウイグル族」としてしまうなど、言論機関としては勉強不足を否めないところも。しかし、まずは報道してくれたことを称賛したい。
*「ウイグル族」という表記は、ウイグル人を少数民族だと誤解させる中国共産党の印象操作。
BBCがウイグル問題を糾弾
これに続くメディアも出てくるだろう。あのBBCですら、ウイグルジェノサイドについて中国大使に問い詰めた。我が国NHKのジャーナリズム魂にも期待がかかる。
我が国は、人種的差別撤廃提案を国際会議で明確に主張した、人類史上初の国なのだから。
2022北京五輪ボイコット運動
私たち一般の日本国民にもできることがあるはず。以下にいくつか例を挙げてみる。それぞれの生活も踏まえて、できることからでいいと思う。一つだけ実践してみるのはいかがだろうか。
- 大切な誰か(家族・友人・同僚)に『命がけの証言』を読んでもらう
- 地元の図書館に『命がけの証言』を寄贈・購入依頼
- 地元の議員に購読を進めてみる
- 2022北京五輪ボイコット
- 中国製品ボイコット
(ウイグル人強制労働が強く疑われるため)
筆者個人の思いとしては、アスリートに冬の五輪を闘わせてあげたい。しかしスポーツや個人を超えた大切なことって本当にある。ウイグル1000万人の声*を、私たちが世界に発信する時ではないだろうか。
*2000万人とも言われるが、実数把握は困難。なお本書にもある通り、中国を訪れた外交官へのお土産にはウイグル人口が721万人と記されていた。
誇れる国となるために
これは中国自身のためでもある。もし日本人ならば、ジェノサイドが自国で起こっていたら恥ずかしいし、激怒する。日本人には自尊心・愛国心がまだ残っているからだ。
傷だらけの隣人となってしまったが、いつか国際社会で名誉ある地位を取り戻してくれることを願っている。
在日ウイグル人が心配する日本
最後に、在日ウイグルの方々が 日本を心配していることを忘れてはいけない。つまり、日本はかつてのウイグルにそっくりだというのだ。
- 人がいい
- 国防意識が薄い
- 中国を信頼しすぎている
我が国にも すでに危険の手は及んでいる。オーストラリアのように最近、国家レベルでその危険に気づいた国もある。まだ間に合う。
日本でも、まずは「命がけの証言」を手に取り、大切な方々にもおすすめして頂きたい。その一歩は必ず大きな一歩になる。
「ウイグル人たちの真実に目を背けないでください」
この記事のまとめ
清水ともみ著『命がけの証言』 - 日本のパパ・ママも必読! 漫画で分かるウイグルジェノサイド問題- 清水ともみ著「命がけの証言」が2021年1月WAC社より発刊。
- ウイグルの真実をシンプルなタッチの絵で表現しており、わかりやすい。
- トランプ政権末日のウイグルジェノサイド認定により、これまでほぼ無視されて来ていたウイグル報道が徐々に増えている。
- 大切な人に「命がけの証言」を読んでもらおう。