『中国共産党の脅威と 共産主義者たちの手口』 - 安部孝一氏(元第百七師団長)の言葉まとめ⑥
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元、大日本帝国陸軍の第107師団長である安部孝一氏。
国を愛し、自由を愛し、日本の未来を憂う安部氏の言葉を、HOTNEWSではシリーズで紹介している。
6回目となる本稿のテーマは、前回に引き続き「中国共産党の脅威」そして「日本国内の共産主義者たちの手口」について。
前回は 昭和47年の "年始" における安部氏の言葉であったが、今回は 昭和47年の "年末" における安部氏の言葉となる。
筆者の所感として、1年間が経過し、安部氏はさらに中国共産党の脅威を感じとったように思える。安部氏の認識は、現代を生きる我々にも 大いに参考となりそうだ。
※ なお本稿では、可能な限り 安部氏による原文そのままを掲載している。読みづらい部分があるかも知れないが、ご理解いただきたい。
霜を履(ふ)んで堅氷至る -昭和四十七年回顧-
昨年は内外ともに多事であった。そのプラス面とマイナス面とを比べて、お義理にも日本が全体としてプラスの方向に向かっているとはいえまい。
マスコミは日中国交 ”正常化” をあたかも日本外交史上最大の収穫であるかのごとく書き立て、国民の大部もこれを肯定している。果たしてそうだろうか。
日中国交は、正常な方法で成されたとは言い難い
日中国交は決して正常な状態、正常な方法によってできたものではない。
第一、現憲法には天皇が国会の議を経た批准書の認証を行なわれることを、その国事行為として明記してあるのに、政府はこれを無視し、国会はおろか、誠にさえも予め議らずに、急遽これを決行し、その上、台湾の中華民国との間に合法的にした条約さえも、憲法上の正規の手続きを取らずに一方的に廃棄した。
不思議にも、議会も国民も、マスコミさえも、なんらこれに触れようとしない。これで本当に正常化といえようか。
しかも、この交渉の最中に上海上舞劇団が、舞台上に「日本帝国主義打倒」の標語を掲げて日本国中を興行してまわり、北富士演習場反対闘争の現場にまで乗り込み、これら農民を激励鼓舞している。
それに椎名特使が台湾に了解工作に行ってるのを知った周恩来が、折柄訪中中の小坂議員を一喝して恐れ入らせてからは、田中首相もひたすら台湾問題を避け、大平外相が記者会見で台湾斬り捨ての発言をし、結局、中共ペースで出来あがったのがあの条文である。
本条約は中共にとっては大きな成果であろうが、日本自身にとっては断じてなんの利益にもならないといってよい。
かつて中共と友好関係を結んだ東南アジアのインド、ビルマ、インドネシア、カンボジャおよびソ連が、現在、中共と不和になっている事実は、日中間の将来に暗い影を落とすものである。
日本国民はアジアの緊張激化の実情を、少しも知らされていない
「目下世界は緊張緩和の方向にあるのに、なんのため防衛を強化するのか。飛行機一機で託児所や老人ホームなどが何軒もできる云々」といった俗耳に入り易い議論がまかりとおっている。
かくのごとく国民はアジアの緊張激化の実情を、少しも知らされていない。
信ずべき情報によると、現在中ソ国境では、中共の六四個師団(総数一二五個師団中)が配置され、これに対してソ連は四四個師団(総数一六〇個師団中)を集中し、とくに北正面には戦車の名将ベリク大将の指揮する戦車三〇〇〇両を展開しており、現在国境紛争が頻発し、まさに一触即発の危機を孕んでいる。
中国はソ連よりも国力が劣るので、目下民兵組織を整備してその訓練を強化し、核兵器の実験を行なうこと一九六四以来すでに一四回にも及び、食糧備蓄のためしきりに貯蔵倉庫を建設し、北京、上海、南京などの大都市では組織的大防空壕を盛んに構築中だという。
そして最近、周恩来は、日本の軍備増強に反対するどころか、必要に応じては対ソ戦に利用せんとする危険千万の意図をほのめかす発表さえしている。
そのほか隣国韓国では昨年末まで、またフィリッピン、タイでは現在でも戒厳令が布かれており、ベトナムに今にも停戦が実現するかのごとく楽観している者がいるが、たとえそれが実現したとしても、北ベトナムの手先の南ベトナム解放戦線の多数の兵力を、依然南ベトナムに残留させているのでは、米軍の引揚後再び戦乱の再発することは必定だ。
北ベトナムに一発の爆弾も落ちなかった時期は、いつも北ベトナム軍がおとなしく活動をやめているときだった。現在の北爆は、北ベトナムの三〇個以上の正規師団が多数の戦車を先頭に、停戦協定を破り、非武装地帯を突破して攻撃を開始した途端に始まった。
日本人は米国の北爆を非難しながら、北側が南ベトナムの首府サイゴンを始め、人口密集地帯にロケット砲撃を加えて多数の住民を殺傷するのをだれも非難しないのは、全く片手落ちである。
南ベトナム政権は北側の猛撃滅で潰されるのを恐れてアメリカに援助を懇願し、アメリカは義のため派兵したのであり、この点直接兵力こそ投入しないが多量の精鋭な兵器資材を北側-決して南側から侵略される心配のない-に送り込んで戦乱を長びかせている。
その他ラオス、カンボジャにおいても、北ベトナム軍の侵略による戦争が続いている。こんな状態で緊張緩和などとどうしていえるだろう。
為政者として最も戒むべき一つが「来らざるを恃む」こと
一国の為政者たるものはどんな不測な事態が起ころうとも、絶対に国家の安全を守り抜かねばならぬ。
故人は為政者として最も戒むべき一つが「来らざるを恃(たの)む」ことだと喝破している。つまり災は来なければよい、まさか来はすまい、来てもなんとかなるだろう、平素対手と仲よくしておけば、そして下手に兵力など持たなければ、かれは決して攻めては来まいと、ひたすら災の来ないことのみを当てにするその日ぐらしの思想である。
「現在の日本はどこの国に対して防衛するのか、そんな当てにもならないのに五兆円もの軍費をつぎ込む必要がどこにある」というのは、明らかに「来らざるを恃む」連中の常套語である。
幾分ましなのは「有時駐留」の考え方であるが、イザというとき、遠くアメリカくんだりから所要の兵力、資材を運んでくるのがどんなに大変であるかを弁えない考え方だ。
不時に備えるためには平素から周到な準備を積み重ねておかねばならない。泥縄式では役にも立たなければ間にもあうまい。
公算何十万分の一の火災に対し毎年相当の金額を火災保険に掛け捨てにするのが常識だ。掘立小屋には保険は不要だが、大廈高楼になるほど多額の保険を支払う。
どの方向から火事が起こるかなど考えるものはおるまい。この一億国民を有する日本国を安全ならしめるにはそれ相応の保険が必要なことは多言を要しない。
孫子は「待つあるを恃む」といった。いつなにが来ても大丈夫だと待機していてこそ真の安心感が持てる。
だが、国防費をいくら出しても、悲しいかな、現下の情勢は日本国の安全を保証できない状態に逐次陥りつつある。それはわが国の興亡につながる本質的問題である。
自衛隊に対するいやがらせや反発は、今後ますます激化する
一見、前の国軍にもまさると思われるわが自衛隊にも泣きどころがある。それはその隊員そのものである。
必任義務でないかれらは、いつでもやめたいときにはやめられるし、国家はこれを引きとめることができないシステムになっている。
これに着目した革新勢力、とくに共産党、社会党は自衛隊解体の政策を漸次強化しつつある。
最初、自衛隊幹部の大学入学を認めない、自衛官募集に自治体は積極的に協力しないなどは序の口だったが、まだ自衛隊の重量車両は自由にどの道路でも通れたし、首都の広場で自衛隊の観閲式も支障なく行できた。
しかるにここ二、三年、安保廃棄、基地撤廃、自衛隊移駐反対、自衛隊員の住民登録拒否、宿舎不提供、重車輌通過阻止、観閲式場不貸与等々、事態は悪化するのみ。
昭和三十六年一月社会の「月間社会党」の論文「平和中立への道」の中に「軍国主義復活を阻止し、自衛隊を政治的、経済的、思想的に国民から孤立させ、これを解体する…」政策を掲げている。
恐らく今後とも自衛隊に対するいやがらせや反発は、ますます激化するであろうことは当然予想される。
自衛隊員には娘を嫁にやるな、人殺しとは結婚しない、その家族には家も貸さない。税金泥棒の子供とは自分の子供は遊ばせない…といったことになったら、筋金入りの旧軍人がいる間はともかく、昭和二桁生まれの隊員が主力を占める頃になったら、隊員はすっかり勤務意欲を喪失し、現在でさえ定員充足困難な自衛隊には兵員のなり手がなくなって、自衛隊は内部から自潰するだろう。
現にその “はしり" として反戦自衛官なるものが現われ、まるで英雄のごとくかつぎあげられている。
日本解放綱領 - 日本の国力のすべてを中共の支配下におき、世界解放戦に奉仕せしめる
昨年夏、中央学院大学教授 西内雅氏が沖縄、韓国、台湾などへの視察旅行中、中国共産党が革命工作員に指示した「日本解放綱領」なる秘密文書(国民新聞社から、単行本として発売中)を入手した。
その内容には実に驚くべきものがあり、その基本戦略は「日本の国力のすべてを中共の支配下におき、世界解放戦に奉仕せしめる」というもので、その目標として、第一は日中国交樹立、第二は民主連合政権の樹立、第三は共和制(共産政権)の樹立である。
この文書中の第一目標は田中内閣ともにすでに達成され、第二目標は着々進行中であって、昨年末の総選挙における共産党議員の大量当選でその第一段階を踏み出した。
以下その細部の計画はすこぶる具体的で、わが国内に現に起こりつつある現象を見れば思い半ばに過くるものがあり、一々思い当たるふしが多い。
共産党員の謀略
昨年起った大事件の底に流れるものは、赤色勢力の浸透、革新運動の進展である。浅間山荘事件、テルアビブ乱射事件、赤軍派のリンチ殺人事件、早稲田学園革マル派騒動等々皆々然り。
そしてこれらを非難する国民も、その源泉をなす革命諸政党の謀略によることを深く追及しようとしない。
戦後、皇居前で起こった血のメーデー事件は、万人の見るところ、明らかに共産党員の謀略であった。
当時立入禁止になっていたこの広場に三千人のデモの暴徒を導入し、二重橋を突破して皇居に侵入しようとして、これを阻止する警官隊に投石し、旗竿、竹槍、棍棒などで暴行し、火焔ビンを投擲した。
現共産党の首脳者は、これを一部分派者の行為で、党は関知しないと強弁しているが、それまで三十名以上もいた共産党の衆議院議員が一挙に議席を失ったのを見ても国民の審判は正しかった。
左傾裁判官による判決
そして最近の高裁の判決によれば、これらの暴徒の行為は騒乱罪を構成せず、警察の過剰警備によって惹起された結果であるからと無罪を宣言した。そして、これに類似する偏向裁判の実例が昨年中においてしばしば見られた。
これら左傾裁判官の存在は革新勢力の士気を鼓舞し、その助長に拍車をかけるものであり、全く憂うべき現象である。
現在総選挙のたびごとに行なわれる最高裁判官の信否投票よりも、むしろ高裁以下の裁判官の免否を、管轄区域ごとの住民投票に問うことが喫緊事であると信ずる。
共産主義者たちの戦略転換
以上 二重橋事件は共産党に一大反省を促した。これを教訓にいわゆるソフトムードを打ち出し、国民に愛される共産党として売り出した。
過日、自民、共産両党議員のテレビ対談を見たが、自民党側が共産国家の独裁横暴の実例として、既存共産国家の実態を引用して共産党を攻撃したのに対し、共産党員松本善明は
「それはあなたたちの敗北だ。日本共産党を攻撃するのに、われらとなんの関りもない外国の例を持出してくるのは、全く見当違いだ。われらこそ真に大衆の味方であり、平和民主的の政党だ、終始一貫平和を愛好し戦争に反対し続け、しかも大資本から一円の資金ももらわなかった唯一の清潔な政党はわれわれだけだ」
と大見得を切った。
だが、マルクス・レーニン主義を奉ずるプロレタリヤ独裁の現存欧亜の共産国家と、同じ主義に立つわが共産党の目ざす国家と全く違う行き方をするという保証は少しもない。
今こそ憂国の士の起つべきときである
わが国民は健忘症でお人好しだ。共産党が過去に犯した重大な罪責を全く忘れ去り、共産党に頼めばなんでも親切に面倒を見てくれる。今までなんべん当局に要請してもできなかったことがすぐに実現するといった身辺の利害だけで、われわれもと一票を投ずる。
自らマルキスト(共産主義者)だと揚言する“物価の”美濃部に、都民は三五〇万票を投じて都知事に当選させたのを初め、大都市の首長にいわゆる革新系を次々と選出した。
一葉落ちて天下の秋を知り、霜を履んで堅氷至る。今後共産勢力は加速度的に拡大するであろう。その前兆が昨年末の総選挙の結果である。
やがてわれわれは現に共産勢力下の重圧に喘ぐ既存国家におけるがごとく、自由もなく、強権のまにまに動かされる存在に堕するに至るであろうことを恐れるものである。今こそ憂国の士の起つべきときである。
昭和四十七年十二月三十一日
元第百七師団長 陸軍中将
安部孝一
ホットニュース(HOTNEWS)からのメッセージ
文化マルクス主義浸透について
暴力革命では分が悪いことを悟った共産主義者たち。彼らは 暴力による政権転覆ではなく、大衆文化に こっそり「共産主義の毒」を溶け込ませる方向へ、戦略をシフトした。
彼らの作戦は大成功。日本人の愛国心・克己心・道徳観(モラル)は低下し、共同体意識が失われつつある。
具体的には
2683年 続く 皇室を破壊し、
神仏習合から神仏分離、共産主義思想を生み出し、
社会なら反文化運動(カウンターカルチャー)、階級闘争を生み出し、
家族なら家庭倫理を破壊し、
個人なら個人主義
という、過激な対立構造である。
中国共産党の脅威について
戦後、日本のマスコミは日中記者交換協定によって骨抜きにされてしまった。
経済分野は、大手企業の中国共産党員スパイ問題が発覚。そして末路は中国の資本下に。
2016年、中国の首都 北京において鈴木英司(65)氏が中国当局に拘束。スパイ行為をしたという濡れ衣によって 懲役6年の実刑判決となった。出典
中国共産党による人質外交への対策として、松丸俊彦氏(セキュリティコンサルタント、元警視庁公安捜査官)は下記3つを強調している。
- (写真を)撮るな
- (不要なことを)話すな
- (中国に)行くな
2023年4月17日、中国政府と連携した「秘密警察署」をニューヨークに設置し 反体制派の中国人らを監視していたとして、中国系アメリカ人2名が米当局に逮捕された。
外務省などの発表によれば、日本国内にも2カ所の中国秘密警察署の拠点が存在するとされている。1つは東京秋葉原、そしてもう1つは福岡だ。
しかしスパイ防止法の無い日本では 犯罪の事実(証拠)がなければ検挙できず、慈善組織を隠れ蓑にする手口に打つ手がない。まさにスパイ天国といえる。
日本政府は、政権中枢に親中・媚中議員がいることを、米国から名指しされている。(これが「中国製 太陽光パネル問題」や「スパイ防止法の不成立」とも関連している)
親中・媚中の末、日本がもし中国共産党の傘下になった場合を想像したことはあるのだろうか。
今の日本社会であれば当たり前の「人権保障、集会の自由、言論の自由」が無くなり、言論弾圧・不当逮捕・殺戮などの暴力が蔓延するようになる。
※ 実際に 毛沢東〜習近平の政権下において、モンゴル、チベット、ウイグル、法輪功などが 中国共産党によって大量に虐殺された。その犠牲者数は推定7,700万人。
なにより中国共産党の最高幹部でさえ、自身がいつ投獄・殺戮されるかの恐怖に、常に怯えながら生きているという。
大日本帝国の将校であった安部氏が、戦後「中国への依存」と「マスコミ偏向報道」に対して警鐘を鳴らしていた意味を、今こそ考えなければならない。