石油地政学史 番外編 - 暗殺・空爆・失脚 - ナショナリスト被害リスト一覧、その手口を解説
更新日:国境破壊後に各国資産を強奪したいグローバリストにとって、国民を目覚めさせ、国防を強くする愛国者・ナショナリストたちは消えてほしい存在。
石油地政学の周辺では、大物政治家が何人も犠牲になってきた歴史がある。
本稿リストを知ることで、フセイン、カダフィ、ヒラリーへの見方は180°変わるだろうし、日本の中川昭一大臣の真実には驚くかもしれない。
今回は代表的事例を挙げることで、国家資産を守る行為が いかに命がけであることかの認識を深めたい。
国益を守る愛国指導者は、私たち国民がしっかりお支えしなければならないからだ。
※ なお、本稿内容理解の前提として地政学、さらに石油地政学史をご一読いただくことを お勧めしたい。
*本稿執筆のタイミングで、日本国の安倍晋三元総理が凶弾に倒れられたことに驚きと悲しみを禁じ得ません。生前の日本国への献身的なご貢献と 多大な功績に感謝申し上げるとともに、深く哀悼の意を表します。
ドイツ - 外相 ラーテナウ
被害 | 1922年6月 暗殺 |
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背景 | 独ソ経済協力・ラパッロ条約 |
ラパッロ条約
ラパッロ条約では、ランドパワーであるドイツ・ソビエト連邦両国の経済協力が締結。
両国の関係が深まることで、ハートランドのパワーが顕在化することを英米が恐れたのだ。
- ドイツの技術力でソ連のバクー油田開発
- ドイツ経済が復活し、戦争賠償金がまともに支払われると、ドイツを搾取する理由が失われてしまう
英国犯人説
ラパッロ条約締結からわずか2ヶ月後、ラーテナウはベルリンの自宅を出たところで極右テロリストに暗殺された。
反ユダヤ主義*の過激思想によるものと扱われたが、外国利権、英国の暗躍を疑う声もあったという。
*ラーテナウ外相自身がユダヤ系出身だった。
ドイツ - 銀行頭取 ヘルハウゼン
美しいドイツ銀行ツインタワー 1984年完成
被害 | 1989年11月 爆殺 |
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理由 | 統一ドイツがソ連経済再建の手助けをする意向を示した |
「強い欧州」の夢が復活
ヘルハウゼンがアドバイザーを務めていた独コール政権は、「パリ~ベルリン~モスクワ」を近代的な鉄道で連結し、新生ヨーロッパの社会基盤にしたいと表明。
これはかつてフランス大統領ド・ゴールが描いた「大西洋からウラル山脈まで」協力し合う強いヨーロッパの夢が復活したことを意味する。
地政学上、海洋国家・英米にとって、大陸国家・仏独露の協力関係は絶対に許せない行為。
ラーテナウ と同じ運命
つまり、かつてのラパッロ条約を理由に暗殺されたラーテナウと同じ運命を、ドイツ銀行頭取ヘルハウゼンが辿ったように見えるのだ。
英米依存からの自立は許されない。
犯人は隠された?
赤軍派(RAF)からの犯行告白と、それを追認するかのような証言者も出た。
しかし肝心の証言者が後に撤回したり、精神病院送りになったり、信頼性はグダグダ。正確な犯人は今でも不明。
スウェーデン - 投資家 イヴァン・クルーガー
被害 | 1932年3月 パリのホテルで「自殺」 |
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背景 | ハイパーインフレーションで英米からの融資が打ち切られた窮地のドイツに、緊急融資を申し出た。 |
ドイツ経済を助けるな?
英米はドイツ経済が困ったところを搾取したかった。第一次大戦に敗れたドイツには、英米金融資本に依存したままでいて欲しかったのである。
ドイツが英米金融資本へ依存することを邪魔するものは粛清。
自殺でなく暗殺だった?
クルーガーの死には不審な点も多く、最近の検証では「暗殺」であったことがわかってきた。
イラン - 首相 モサッデク
被害 | 1953年8月クーデターで逮捕、失脚 |
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背景 | アングロ=イラニアン石油*を国有化 |
*アングロ=イラニアン石油会社 - 現セブンシスターズのBP社。英国の国策石油管理会社。
イラン石油資源の国営化に成功
民族主義リーダーであるモサッデク首相は、資源ナショナリズムを推進。
イランの国家資産である原油は、イランの王族、貴族を懐柔した英国企業の管理下にあった。
それをモサッデク首相が 戒厳令まで発して操業を停止し、イラン石油の国営化に成功。イラン国民は熱狂的にモサッデクを支持した。
石油メジャーの圧力 - イラン経済窮地に
英国が国連、国際司法裁判所に提訴するも、あえなく棄却。
激怒した英国が国際石油資本と共謀し、イラン石油を国際市場から締め出し。減産に追い込まれたイラン経済は困窮。
TPアジャックス作戦 - 英米諜報機関による イラン民主政権転覆
結局、イラン軍部がクーデターを決行。今日では、この背後でCIAと英諜報機関が暗躍していたことが判明している。
これは陰謀論でもなんでもない。後のオルブライト国務長官、オバマ大統領自身が、米CIAがモサッデク民主政権への転覆工作を公式に認めているのだから。
英米 = 民主主義の擁護者 ← ウソだった
民主主義の擁護者という建前の英米が、イランの民主主義で誕生した政権を、威力を用いて転覆。
正義のためではない。石油利権のためにだ。
イランにおける反米感情の起源は、ここにもある。
クーデターの結果
イラン石油 | セブンシスターズが管理することに |
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イラン統治 | 親英米であるイラン皇帝(シャー)パーレビ2世の専制が復活 |
イラン - 皇帝 パーレビ2世
被害 | 1979年1月イラン革命で失脚 |
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罪状 | 英国から独立し、イラン石油の独自経営を目指した |
かつてイラン原油の国営化を目指した首相モサッデクを、CIAと共謀し失脚させたイラン皇帝パーレビ2世。
今度は皮肉にも、パーレビ2世自身が イラン石油の国営化を目指したことで、かつて自身と共謀し、復権に協力してくれたCIAから憎まれることに。
米外交界の重鎮ブレジンスキーは「腐敗したシャー(皇帝)」を追放すべきだと主張。
中東のバルカン化 - ビルダーバーグ会議の見解
1979年5月のビルダーバーグ会議では、英国人イスラム専門家バーナード・ルイス博士の見解が発表された。
「イスラム教の中近東全域を部族、宗教に従ってバルカン化するために、イスラム原理主義者ホメイニ師を支援」する内容だったという。
英米諜報機関による イラン皇帝転覆工作
- ペルシャ語のできる「BBC特派員」がイランの田舎まで浸透し、シャーへの不満を扇動。
- イラン石油の購入拒否で イラン経済を圧迫。同時に、石油産業でストライキ発生。
イラン皇帝失脚 - 中東はバルカン化
結局 シャーは、CIA支援のホメイニ師によるイラン革命で失脚し亡命。
その後ホメイニ師はイラン・イラク戦争など、中東のバルカン化に「貢献」。
イタリア - 国営石油会社ENI社長 エンリコ・マッテイ
被害 | 1962年 自家用機の墜落死 |
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理由 | 「イタリア経済の奇跡」 |
イタリア経済の奇跡
イタリアの石油会社ENIを率いたマッテイは、石油メジャーと対立。
ナショナリストとしてイタリアを愛したマッテイは、イタリア経済の自給自足を目指した。
- イラン・ソ連とのガスパイプラインを提携
- 原子力エネルギーの開発
石油メジャーの怒り
これらは全て、セブンシスターズへの反乱とみなされた。
マッテイは、彼に理解を示したケネディ米大統領との会談前に墜落死。翌1963年、そのケネディも暗殺*。
*JFKはマッテイと和解するよう、石油メジャーに圧力をかけていたという。
不可解な「墜落死」
当初はマッテイ、パイロット、米国人ジャーナリストの登場した自家用機の墜落事故が、嵐によるものと説明されていた。
事故現場 | 証拠物件が即座に破棄 |
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死体 | 爆発によって変形した金属片が発見 |
映画「黒い砂漠」
不可解な墜落死に疑問を持つ人は多い。
マッテイの死と国際石油資本の闇に迫る「黒い砂漠」というイタリアのドキュメンタリー映画が完成。
第25回カンヌ映画祭でパルムドールを受賞しているにも関わらず、DVDが発行されることはなく、映画関係者も行方不明になった。
アメリカ - 大統領 J.F.K
被害 | 1963年11月 テキサス州ダラス市内パレード中に暗殺 |
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背景 | 米ドル通貨発行権を、国際金融資本から取り戻した。各国のナショナリストたちと連携しかねない様子を見せた。 |
米ドル通貨発行権
世界を支配する通貨米ドルの通貨発行権を握る民間銀行FRB(連邦準備制度)から、その特権を奪い返したケネディ大統領。これだけでも国際金融資本からは大罪。
各国ナショナリストとの連携
さらには、フランスのド・ゴール大統領、イタリアの実業家マッテイなど各国のナショナリストたちと連携の気配が見えた。
リンカーンもそうだったように、ナショナリストの米大統領は危険に晒される。そうした意味で、第45代大統領トランプの再登板は非常に不安がつきまとう。
「犯人は口封じ」がお約束
- 今や誰も実行犯オズワルドが真犯人とは思っていない。「俺はだまされた」とこぼしたオズワルドは逮捕直後に射殺。
- リンカーン暗殺の下手人ブースも、発見時に射殺。ブースの日記も暗殺期間24日分が破られた状態で裁判所に提出。
胡散臭いことだらけだ。
2039年まで非公開の資料
事件関係者が全員この世にいないはずである2039年に、ケネディ暗殺事件関係のファイルが公開される予定ではある。
一時、トランプ大統領がその公開を早めようと動いたが、国際銀行家たちへの牽制、何らかの取引であったと考えられている。
フランス - 大統領 シャルル・ド・ゴール
被害 | 1968年5月パリ学生暴動による失脚。31回の暗殺未遂 |
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罪状 | ドイツと連携し「強い欧州」を目指した。 ケネディとの信頼関係。 英米金融資本に楯突いた。 |
欧州大陸の軸となる仏独が連携し、強い欧州を目指すことはシーパワー英米の脅威。仏大統領ド・ゴールはまさにそれを行った。
豪快エピソード
1962年には 自動車で移動中、四人組による機関銃攻撃に遭遇。
夫人とともに無事だったが、安否を確認する側近に「4人がかりで人1人殺せないとは、銃の扱いが下手くそなやつらだ」とのハードボイルドな返答。
実は被弾していたのだが、常に携行していた次女アンヌの遺影の額縁で銃弾が止まっていたという。
ハリウッド映画でも遠慮するような強運の持ち主である。
ドイツ - ドレスナー銀行総裁 ユルゲン・ポント
被害 | 1977年7月テロリストによる暗殺 |
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罪状 | ドイツが南アフリカを牽引し、豊かなアフリカ諸国が最貧国を発展させるプランを発表 |
欧州とアフリカ大陸が協力し発展することで、世界島が目覚めてしまう。これはシーパワー英米金融支配にとって、脅威であった。
ドイツの秋 - 連続テロ事件
1977年、ドイツ赤軍派(RAF)によって「ドイツの秋」という名の連続テロが発生。
ポントが別荘で誘拐に抵抗し、殺害された事件はその始まりだった。
暗殺者は三人組の赤軍派。しかし、背後では西側諜報機関が暗躍していたとの指摘があるという。
ポントの同調者もテロ被害に
数週間後、ポントと同調していたドイツの経営者団体会長ハンス・マルティン・シュライヤーも誘拐、暗殺。
欧州とアフリカの協力関係が発展することはなくなった。
コロンボ グループ - 首脳陣
- インド首相 インディラ・ガンジー
被害:1977年3月失脚 - スリランカ首相 バンダラナイケ
被害:1977年5月失脚 - ガイアナ外相 フレデリック・ウィルズ
被害:1978年2月辞任
共通の背景:新植民地システムであるIMFなど、既存の国際秩序ではなく、第三世界が正常に発展できる「新しい国際経済秩序」を提案。
コロンボ会議1976
1976年、スリランカ最大の都市コロンボに第三世界85ヵ国のリーダーが集結*。
石油ショックで疲弊した第三世界諸国が、「IMFからの債務漬けから抜け出させない経済システム」からの転換を訴えた。
国際石油メジャー、IMFを中心とした世界経済支配システムへの反乱とみなされ、キッシンジャーによる分断工作後、それぞれ処理。
* 1953年のコロンボ会議との混同注意。
メキシコ - 大統領 ホセ・ロペス・ポルティーリョ
被害 | 1982年メキシコ国家破産、退任 |
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罪状 | 石油の国有化でメキシコを工業発展させようとした |
石油資源でメキシコ経済発展
石油ショックによる原油価格の上昇は、産油国メキシコの経済力を押し上げた。
メキシコの宝である「父祖の資産」石油資源を用いて、メキシコの目覚ましい近代化を計ろうとしたポルティーリョ大統領*。
*南北サミットを主催するなど、第三世界のリーダー的存在であった。
メキシコの発展を問題視?
「メキシコが工業発展することは、南の国境に日本がいるようなものだ」とNY、ワシントンの政策集団は判断したという。
メキシコ通貨の国外流出がメディアにより煽られ、通貨パニックが発生。
IMFは厳しい取り立てを実行し、有望であったメキシコ経済は突然ハイリスク国へ転落。
メキシの子供たち - 外貨稼ぎの犠牲に
やがてGM、フォードなどの米国系企業で、メキシコの少年たちが児童労働搾取の犠牲に。
しかし、債務返済に必要な米ドルを稼ぐため、メキシコ政府は容認せざるを得なかった。
イラク - 大統領 サダム・フセイン
被害 | 2003年イラク戦争、2006年12月処刑 |
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罪状 | イラク石油の国有化。イラク石油決済をドルからユーロに変更。 |
イラクを近代化させたフセインの手腕
フセインのバアス党政権は、ソ連と共同で油田を開発。1972年、国家悲願であるイラク油田の国有化に成功。
その油田を背景とした1970〜80年代のイラクは、アラブ世界随一の近代化を達成。
電力 | 僻地にも到達 |
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女性 | 社会進出推奨 |
学校教育 | 飛躍的に拡大 |
読み書き教室に参加しないものには 投獄という脅迫まで 用いてはしまったが、識字率はアラブ最高となり、ユネスコから賞を受けてもいる。
アメリカ好きだった? フセイン
フセイン大統領は意外にも、アメリカへの親近感も持ち合わせており、レーガン米大統領を尊敬していたとのこと。
収容所では、監視役の米兵たちと非常に親しく交わったという。
- 職場結婚の相談に乗った
- 尋問官との別れに涙をこぼした
日本の報道ではほぼ知られていない側面があることは、記憶しておいていいだろう。
ナショナリストを尊敬
フセインは仏大統領シャルル・ド・ゴールを大変尊敬していた。
「ド・ゴールは世界で最も偉大な政治家であり、英雄、愛国者、立派なナショナリスト、フランス文明の真の産物」と絶賛。
米国政府はウソをついて殺害
今や米国民も認めているが、米ブッシュ政権は「イラクが大量兵器を隠している」というウソでイラクに侵攻、無辜の市民ごと空爆。
結局、大量破壊兵器は最後まで見つかることはなく、「人道上の罪」なる名目で フセインは処刑。
リビア - 大佐(最高指導者)ムアマル・カダフィ
被害 | 2011年10月暗殺 |
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背景 | 高品質な石油でリビアを豊かにし、独自の通貨発行権を創設することで、アフリカ大陸を独立させようとした。 |
アフリカで愛された英雄
カダフィ大佐は今でもアフリカ諸国民から、高品質な油田でリビアを豊かにしたアフリカの英雄、王の中の王として評価が高い。
アフリカ一貧しかったリビアを、アフリカ一豊かな国にしたのだ。
- 医療費 → 無料
- 電気料金 → 無料
- 新婚夫婦 → ご祝儀500万円
- 文盲率80% → 識字率80%
- 農業を始める国民 → 家付の土地と無利子で融資
地中海の対岸に こんな夢の国があることがバレてしまうことは、欧州の金融支配層にとって危険だった。
ディナール通貨発行権
石油の関税自主権を国際石油メジャーから取り戻したリビアは、金塊143tを所有するまでに経済を発展。
カダフィは、この金塊を裏付けとしたディナール通貨(金本位制)を発行し、他のアフリカ諸国の発展にも貢献することを構想。
アフリカ諸国がディナール通貨を使用することになれば? 国際金融資本の支配からアフリカ大陸が解放されてしまいかねない。
ただの紙より、金塊の裏付けある通貨の方が強いに決まっている。
これでは 米ドル紙幣が実はただの紙切れにすぎないというマジックが、広く知られてしまいかねない。
NATO リビア空爆
米ヒラリー国務長官の音頭で、NATO軍はカダフィ大佐をかばう無辜のリビア国民ごと空爆*。3万人が犠牲になった。理由は「リビア国民の解放のため」。
日本を含む西側メディアはこの事実を黙殺。西側諸国が自由と平和を守る正義というのは、ハッキリ言ってウソであることが改めて証明されてしまった。
*首都トリポリでは市民の9割が、カダフィ大佐を守るため広場に集結していたところ、NATO軍はその市民ごと空爆。
ヒラリーによる 口封じ
- カダフィ殺害直前、リビアに到着したヒラリーは、カダフィ暗殺に向かうアフガニスタン人部隊(米軍ではない)と笑顔で記念撮影。
- 歓喜するアフガニスタン人暗殺部隊は、祖国の首都カブールへ飛行機で凱旋する前に「タリバンの攻撃」で爆殺。
口封じでは?との指摘。
2012年 ベンガジ事件
カダフィ大佐暗殺の指揮を、直属の上司ヒラリーから仰いでいた駐リビア大使スティーブンス。
ISと見られる集団が、スティーブンス大使を殺害したのがベンガジ事件。米国政府のお粗末な対応が、世界中から不審がられている。
ヒラリーメール問題の本質とは?
日本メディアは報じないが、中東におけるヒラリーの工作、密約をメールで逐一指示を受けていたスティーブンスとの通信記録こそ、「ヒラリーメール問題」本丸の一つ。
カダフィ暗殺指示、金の処理をすべて知るスティーブンス大使。ヒラリーはSOSを無視し、ベンガジの大使館を見捨てたという。
これも口封じでは?との指摘。
※ 翌2013年に発生したのがエドワード・スノーデン事件というのも奇妙なタイミングである。
さすがにヒラリーもまいった
ただし、スティーブンス大使の遺体が 引きずり回される流出動画を見てしまったヒラリー。
自宅で吐き、国務長官を辞任し、やがて入院した。
カダフィ殺害の結果
- ディナール通貨構想の頓挫
- リビア油田は欧米のものに
- アフリカ一豊かだったリビアは大混乱のまま放置
ロシア - 大統領 ウラジミール・プーチン
被害 | 過去最低5回の暗殺未遂 |
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背景 | 国際金融資本系の新興財閥オリガルヒを排除、手懐けるなどして、ハートランドであるロシアの油田を国有化。ドイツへの天然ガスパイプライン・ノルドストリームを完成。 |
カダフィ大佐殺害後、プーチン大統領は「次は自分の番だ」と漏らしたという。
ウクライナ危機2022以外にも、プーチン大統領は最低3つの挑戦状を、英米金融資本に叩きつけている。
① オリガルヒの排除
石油資源は大きな理由だが、ロシアというハートランドそのもの自体が、長年 英米グローバリストの標的ではあった。
ロシア国内の新興財閥(オリガルヒ)は、英米グローバリストの影響下。
ロシアの国益を重視するプーチン大統領は、ロシアの天然資源を搾取するオリガルヒの影響力を排除、または手懐けることに成功。
② ノルドストリーム建設
「ドイツとの天然ガスパイプライン・ノルドストリーム」の建設は、重大な挑戦状と言える。
ロシア天然資源とドイツ工業力の連結。これこそ、この100年以上に渡る石油地政学史上で、英米シーパワーが絶対に避けて来た、ランドパワーの同盟。
ハートランドが目覚めると、世界島のパワーが目覚めてしまう。
2021年9月 | ノルドストリーム2完成 |
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2021年12月 | 独首相メルケル退任 |
2022年2月 | ウクライナ危機勃発 |
米バイデン政権はノルドストリーム2に猛反対。
本稿執筆の2022年7月現在、日本のメディアはほぼ報じないが、ノルドストリームは欧州のエネルギー問題、経済問題における最大の関心事となっている。
③ ペトロダラー・システムの破壊
ウクライナ危機発生後、世界中から経済制裁を受けたロシア通貨ルーブル。しかしルーブルは、暴落したものの まもなく回復。
プーチン大統領が石油決済を米ドルでなく、露ルーブルで支払うことを各国へ要求したのだ。
石油地政学史をご覧になるとよくわかるが、これは米ドルを基軸通貨としてきた英米国際金融資本への重大な挑戦。
石油決済が米ドルであることこそ、米国が世界最強国家であり続けたパワーの源泉。
イラク・フセイン大統領、リビア・カダフィ大佐は石油決済通貨をドルから切り替えようとして殺害されたことを、KGB出身のプーチンは百も承知。
そして「石油ダラーに手を出して、無事でいられた者はただの一人もいない」ことも。
ウクライナ危機、プーチンの行方は?
はたしてこの件の結末が今後どうなることか、全くわからない。本稿執筆中の2022年7月まさに今、現在進行中の世界史だからだ。
ただし、石油地政学史から学ぶことは、私たちにいくつかのヒントを与えてくれるだろう。
日本 - 財務相 中川昭一
被害 | 2009年5月 不審死 |
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背景 | 米国債の売却言及。東シナ海資源開発。 |
東シナ海 - 資源開発
未曾有の天然資源が眠っている東シナ海。中国は日本からの抗議を意に介さず、強引な油田開発を進めている。
2005年中川昭一経産相が帝国石油に東シナ海試掘権を付与し、中国が激怒。
弱った小泉総理は 中川経産相を農水相に横滑りさせ、後任には親中派の二階俊博を指名。
東シナ海 - 第三次アーミテージ ・レポート
米国CSISの第3次アーミテージ・レポートには「東シナ海にはサウジアラビアを凌駕する資源が埋蔵している」とある。
そして、米国の石油メジャーが 東シナ海の資源を手に入れるには、台湾・中国有事の際に、日本が危険に巻き込まれ、在日米軍が危険に巻き込まれる必要がある。
つまり台湾有事が演出され、憲法改正した日本が東シナ海の戦争当事国になるシナリオだ。
東シナ海 - 米中衝突で日本犠牲?
* 時節柄、これを掲載するのは不謹慎かもしれないと悩んだが、安倍総理にもし相談したならば「日本国の国益のためなら筆を取りなさい」と背中を押されるのではないかと想像し、ここに以下の文章を続ける。
2022年参院選後、にわかに日本国の憲法改正がざわついていることは、日本が参戦する下準備ではないか?との憶測も。
気になる安倍訪台説
故安倍元総理は2022年7月末、台湾訪問が予定されていたという。暗殺事件はその直前7月8日に発生。
東シナ海問題との関係が気になるが、今となっては新しい証言・資料を待つしかない。
* 仮に安倍総理暗殺の背景に大きな勢力が存在したとしても、東シナ海だけが理由とは言わない。他にもあるのだろう。しかし、東シナ海問題の深刻さは、ここで強調しておきたい。
米国債 - 絶対に売却してはいけない
2008年、麻生内閣の中川昭一財務相は G7に出席。リーマンショック後に危機を迎えた諸国を救出するため、日本が1,000億ドルを拠出することを表明。
フランス次期大統領と目された IMF専務理事ストロス・カーンは、「人類史上最大の貢献」と中川大臣を絶賛。
しかし、その1,000億ドルは日本が所有する米国債が根拠。
米国債の正体
米国債とは、日本が米国に貸し付けた金なわけだが、「永遠に返還されることはない」貸付金というタブーを破ってはいけなかった。
日本が米国債を買うことで、米国は潤い続けて来たのだ。世界最大の米国債保有国である日本が米国債を売却すれば、米国による世界金融支配が揺らいでしまう。
米国債の闇に触れたと認識された日本の政治家は、ことごとく失脚もしくは不審死。
- 石井紘基 議員
- 橋本龍太郎 総理
- 小渕恵三 総理
- 中川昭一 大臣
不審な事件
翌2009年 G7財務省・中央銀行総裁会議後の会見で、中川大臣のあの酩酊会見事件が発生。
- 同席した白川日銀総裁は会見を止めず放置
- 同じく臨席した篠原財務官は大失態にもかかわらず、その後 IMF専務副理事に大出世
- 中川大臣を絶賛したストロス・カーン専務理事は、その後 性スキャンダルで社会的抹殺
マスコミ、野党からのバッシングは激しく、中川大臣は辞任、落選後、自宅での不審死。
ナショナリストの暗殺・失脚 - パターンが存在
英米の石油ドル支配に反乱するものは、CIAによる失脚工作で済めばラッキー。
自国資源の国営化や、石油決済を米ドル以外で始めた場合、米軍・NATOによって愛する自国民ごと空爆されてしまう。
暗殺・失脚の手口、パターン
- 自殺に見せかける
- 実行犯は共産主義者・狂信者らを使い、最終的に口封じ
- 命懸けのジャーナリスト個人以外のメディアは、詳細を報じない
- 結果として、英米石油メジャー、国際金融資本に有利な状況に落ち着く
真実を探し、広めることで未然に防ぐ
本稿の膨大なリストに驚いたかもしれないが、これでもまだ全てではない。石油地政学史ではあまりにも犠牲者が多すぎる。
それなのに、私たち一般国民が知ることは滅多にない。メディアが報道しないからだ。
- 英米を中心とした金融支配システム
- ドル支配体制
- 石油メジャー
- ハートランド
近現代史の影には必ずこれらの要素がつきまとうにも関わらず、私たちは学校、メディアで一切知ることはない。
本稿で紹介した書籍を、どれか一つでも手に取ってみてほしい。
石油地政学史を広く認識することで、草莽が本稿リストにあるような悲しい事件の数々を未然に防ぐことができるはずだ。
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この記事のまとめ
石油地政学史 番外編 - 暗殺・空爆・失脚 - ナショナリスト被害リスト一覧、その手口を解説今回のリストに共通する傾向は次の通り。
- 国際金融資本から各国の国益を守護するナショナリスト
- 信念を持った愛国者
- 世界島を強くする結果をもたらす理念を持った優秀な国家指導
暗殺されたナショナリストは数知れぬが、暗殺されたグローバリストはすぐ思いつかない。
一般国民側のメディアリテラシーを高めることで、愛国の指導者を国民が守れるように努めなくてはならないだろう。