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今さら聞けないウイグル問題⑤ - 弾圧の理由は?

更新日:今さら聞けないウイグル問題⑤ - 弾圧の理由は?

そもそも歌と踊りを愛する穏やかなウイグル族。なぜ弾圧をされるのか?

以下に理由をいくつか挙げてみる。

  1. 経済 -- 新疆・ウイグル自治区に眠る豊富な天然資源
  2. 国際戦略 --「一帯一路」構想の拠点
  3. 国内政治 -- ISなどのテロを警戒
目次
今さら聞けないウイグル問題⑤ - 弾圧の理由は?

① 経済的理由--新疆・ウイグル自治区に眠る豊富な天然資源


(日本ウイグル連盟より)

1980年代後半に、新疆ウイグル自治区には莫大な量の油田、天然ガスなどが発見された。現在、石油、石炭、天然ガスは中国全体のそれぞれ約30〜40%。豊富なレアアースもこの地域の潜在力を高めている。中国が世界のレアアース市場占拠率に占める割合は約97%。

「東トルキスタン」として独立も可能

面積では中国の1/6という新疆ウイグル自治区。もし「東トルキスタン」として独立しても、十分な経済能力を担保できる埋蔵量どころではない。世界の安全保障上における、プレイヤーにすらなり得る。

ウイグルの天然資源で 世界を牛耳る

結晶, ガベージ, 自然, バッチ, リソースそのすべてを中国共産党が吸収。これら天然資源を強大なパワーとして、世界経済をねじ伏せようとさえしている。2010年 日本がレアアース輸出禁止措置で、攻撃された記憶のある方もいるだろう。自らのパワーの源泉を、中国共産党はみすみす逃すつもりはないはずだ。

80年代後半に発見された天然資源

80年代後半に新彊ウイグル自治区で大量の油田、天然ガス、石炭鉱が発見された。もともと、中国で年間消費されている石油、天然ガス、石炭といった資源エネルギーの3~4割がウイグルで採掘されたもので、黄金も採れる。貴重な資源が大量に眠るウイグルが独立して力を持つことを、中国は何としてでも阻止したいと考えている。

日本の天然資源にも触手

1969年、尖閣諸島付近に眠る巨大な海底油田が発見されると、1971年中国は突如その領有権を主張。日本の領土も脅かしている。この例からも、天然資源の獲得へ 尋常でない執念を見せることがわかる。

② 国際戦略 --「一帯一路」構想の拠点


シルクロード (wikipediaより)

習近平共産党政権が掲げる一帯一路は、現代版「植民地政策」と揶揄される。中国による世界経済の支配がその狙い。各国をチャイナマネーで借金漬けにさせて、支配下におくいわゆる「債務の罠」がその実態。

「債務のワナ」に落ちる各国

援助を受けているつもりが、いつの間にか巨大な借金を抱え、重要インフラを中国に差し出している国が続出している。インド洋に面したスリランカの安全保障上重要な港湾は、借金のカタに99年間 中国政府へ「リース」。国家財政の債務に悩まされるギリシャは、中国からは欧州の玄関口として見られている。やはり欧州最大の旅客港であるピレウス港が買収された。

イスラム教諸国も 中国マネーの言いなりに

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同胞であるイスラム教諸国も、信仰の自由より 自国の経済利益を優先させているとの批判を逃れられない。信じられないことに、同じイスラム教を信じるイラン、イラク、サウジアラビアが、中国政府によるウイグル支配を適切であると 同意。不幸なことに、アラブ諸国の悪しき伝統として、自国がそもそも人権問題を抱えているケースが多い。それに目を向けられて困る一面も否定できない。

かろうじて、同じテュルク系民族の国であるトルコ共和国が反発することはあるが、中国は意にも介さない。国際社会の足並みが、経済を人質に取られていることで 揃わないことを見抜かれている。

一帯一路の目的は 世界支配

では一帯一路の狙いとは何なのか?生産過剰になった、中国製品の売り先がなければパワーの源泉である中国経済が失速する。また、一帯一路企業に投資することで、共産党子弟が国内の汚職で取得した汚いお金を海外に投資することで、マネーロンダリングも可能だ。しかし、これら一帯一路の狙いの先にあるのは、「中国の夢」。身も蓋もない言い方をすると、中華民族による世界征服だ。

一帯一路の要 新疆ウイグル自治区

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(wikipediaより)

地図を今一度 見て頂くと一目瞭然だが、新疆ウイグル自治区は 地政学上その重要な要衝。いや中心軸だ。その地域の住民が、共産党以外の神アラーを心から信仰するイスラム教徒であることを恐れているのが中国政府。

一帯一路を成功させるためには、新疆ウイグル自治区を漢人支配下におきたい。だから生存しているウイグル族には漢人との同化政策が押し進められる。老若男女を問わず、強制収容所でイスラム文化を捨てさせ、漢人文化を摺り込ませ、血統ですら漢人と同化が推進されるのはそのため。

751年「タラス河畔の戦い」= イスラム文明 vs 中華文明

751年「タラス河畔の戦い」は唐(中国)とアッバース朝(イスラム教)による天下分け目の戦いとして記録されている。この戦いに勝利したアッバース朝により、以後イスラム勢力による中央アジアの安定支配が確立。この時に捕虜とされた唐の製紙職人たちがイスラム圏に製紙技術を伝承。コーランが広まる上で、世界史的に重要な意味のあった出来事でもある。中国は1200年もの昔からこの地域を狙っていたとも言える。


③ 国内政治 -- ISなどのテロを警戒

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イメージ図

2009年7月のウイグル事件は、かねてより中国政府がウイグル族を迫害していたことにより発生。中国政府に不満を抱くデモ隊へ治安部隊が発砲、暴動に発展。直後に数多くの若いウイグル人男性が「失踪」したことになっている。

2014年テロ

最近の弾圧が常軌を逸するきっかけは2014年4月、習近平主席が初めて新疆・ウイグル自治区を訪問した時のテロ事件。彼は自分を狙ったと思われるテロにより、ウイグル族への憎しみと恐怖を覚えたようだ。それ以降、ウイグルでの監視と弾圧がそれまで以上に悪化した。

チベット支配で実績のある、陳全国氏を 新疆ウイグル自治区 共産党トップして異動。習近平主席の側近とされる彼が、職業訓練所という名目で 多くの強制収容所を建設。再教育と称し「テロ防止」に勤しんでいる。

ウイグルをスカウトするIS

少数とはいえ、新疆ウイグル自治区からISに流れたウイグル人がいるのも確かではある。ではその実態は?一つは、やはり中国共産党に洗脳された自作自演スパイ行為を働く者。もう一つは、民族迫害が続けられる中国での生活に困るウイグル族に、ISが家族の生活資金も保障し、スカウトをしていたという。


ウイグルで迫害を受けていた彼らが、シリアでは現地住民を迫害する立場に。匿名でインタビューを受けたウイグル人のISメンバーは、自分の心がもうバラバラになってしまったことを嘆いている。中国共産党、ISと関係のない世界に生まれていたら、彼の人生も違っていただろう。

元々は多民族が仲良く共生していた中央アジア

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ISテロ対策が名目では、国際社会も反論が難しくなる。それを巧みに利用しているの中国政府。彼らはイスラム教を邪教とみなしており、再教育を施すことで治療していると弁明。

だが、中央アジアには元々多様な民族と宗教が、互いを尊重しながら生活してきた豊かな歴史があったことには触れられない。ウイグル族を始めとした 中央アジアの少数民族に、小さな幸せは再び訪れるのだろうか。

ウイグルを知ろう

これら一方的な理由で、ウイグル族の幸福を踏みにじることは許されない。ウイグル弾圧は、21世紀に生きる私たちの汚点だ。

ウイグル弾圧を知った方には、一人でも多くの隣人にこの事実を拡散してほしい。


参考:

「その國の名を誰も言わない」 清水ともみ


ウイグル問題シリーズ:

今さら聞けないウイグル問題① - 21世紀のホロコーストて本当?

今さら聞けないウイグル問題② - どんな弾圧があるの?

今さら聞けないウイグル問題③ - 今の市内は?

さら聞けないウイグル問題④ - 国際社会の反応は?


この記事のまとめ

今さら聞けないウイグル問題⑤ - 弾圧の理由は?
  1. 経済 -- 新疆・ウイグル自治区に眠る豊富な天然資源
  2. 国際戦略 --「一帯一路」構想の拠点
  3. 国内政治 -- ISなどのテロを警戒