保守の核心価値 -「家庭の価値」「皇統」
更新日:前回記事では、保守思想が生命の連続性、世代の継承、国家の連続性を意識する「縦軸の哲学」であることを確認した。
本稿ではさらに踏み込んで、保守主義が守るべき保守の核心的価値「家庭の価値」「皇統」について考えてみたい。
皇統については軽々に語るべきものではない、と筆者は考える。同時に、今こそ広く国民的議論をされるべき時でもあるため、本稿ではあえて取り上げることにしたことを読者諸氏に予め断っておきたい。
保守主義とは - 「縦軸の哲学」三世代でなる国家と家庭
保守主義の哲学を確立したとされるエドマンド・バークによると、国家とは過去・現在・未来の三世代の国民による共同事業である。
保守主義では、国家は家族共同体によって構成され、その家族は祖先と私たちと子孫からなる。
したがって、家における祖先崇拝や国家における祭礼は、保守主義の根幹をなす。エドマンド・バーク
家庭の価値 - 愛・生命・血統
バークが 国家を家族共同体になぞらえたように、家族こそ国民が誕生する泉である。
- 男女が愛し合い、一つになることで 新しい生命が誕生。
- 親となった二人が、家庭の中で子に伝統・文化・教育を継承。
- 子供たちがやがて立派な日本男児・大和撫子に成長し、また新たな世代の家庭を築いていく。
愛が生命として継承されていくことで生まれるのが血統である。
愛 + 生命 = 血統
家族は 愛・生命・血統で結合している。男女が愛で結ばれることで生命が誕生し、その愛が生命として継承されることが血統だ。
この血統こそ、保守主義がもっとも守るべき核心的価値である。
「縦軸の哲学」という観点を突き詰めて行くなら、そうならざるを得ない。祖先を辿る、あるいは祖先から継承するのは血統なのだから。
「家庭の価値」を軽視する日本の「保守」
経済問題、国防に明るくとも「家庭の価値」を論じない政治家は真の意味で保守と言い切れない。
経済・安全保障の問題もその大前提は「縦軸の哲学」にある。そもそも、経済や国防は一体何を保守するというのか?
家庭の価値を論じない「保守」の主張は 必ずどこかでボロが出る。
家庭の価値 - 米大統領選で最大の争点
アメリカ大統領選挙 最大の争点こそ「家庭の価値」であることは、現在においても いまいち日本で理解されていない。
トランプ大統領が 米国民から支持される重要な根拠。それは「家庭の価値(Family Values)」を強く擁護している点にある。
伝統的価値観を大切にする共和党大会はもちろん、リベラルなはずの民主党であろうと、大統領候補は 自分がいかに強い父親であり、家族思いであるかを国民にアピールする。
大統領候補者の家族も登壇
ファーストレディ候補もまた、夫をしっかりサポートしながら 懸命に子育てに励んで来たことを 誇らしくスピーチするならわしだ。
そして立派に育った子や孫が壇上に上がり、父や祖父がいかに素晴らしいFamily Manであるか誇るのを国民は目撃する。
家族は騙せない。家では心も体も裸を見ているのだから。国家のリーダーを選択する上で、こうした取り組みは大変興味深い。
「家庭の価値」は保守主義の根幹
かつて GHQは日本の家族制度を破壊しようと試みたそうだが、本国アメリカではちゃっかり家庭の価値を真剣に論じ合っていたわけだ。
日本の保守主義は、家族の価値をその中心に据えるべきである。しかし、日本には保守の人はいても、イデオロギーとしての保守主義を理解している人は少ない。
家族こそは世代を超えて文化を継承していく場所であり、次世代の国民を育てる場所である。八木秀次
家庭の価値 - 血統と結婚
縦軸を大切に思う人は、結婚も大切に考えるようになる。自分が自分だけのものではなくなるから、結婚にも誠実さが伴う。
私たちの血で生きている祖先
私たちは 何万年も前の祖先と 血統で繋がっている。祖先たちの愛は、私たちの血として今も生きているのだ。
私たちの愛もまた、子孫を通じて永遠に生きていく。ここに結婚が内包する崇高性の根拠がある。
男女の愛こそ 血統をつないで来たのだ。だからこそ男女の愛は美しくあらねばならない。
自分たちはもちろん、祖先のためにも、子のためにも。
幸せな結婚の条件
個人の自由を重視する社会契約説的観点からすると、両性の合意も大切だろう。筆者も当事者の合意は尊重されるものだと考える。
それより筆者が注目したいのは、今でも日本人のほぼすべてが 両家のご両親をはじめ、多くの親族から祝福を受ける結婚を願っている点。
大津商人ではないが、祖先よし、子孫よし、私たちよしという「三方よし」は、幸せな結婚の前提だと 多くの方々が同意するだろう。今でも日本人は保守なのだ。
血統 - 左翼の攻撃目標
考えてみてほしい。日本破壊を望む勢力が 一体何を攻撃しているのか?
LGBTQIA、フリーセックス、ジェンダーフリー、男女共同参画、夫婦別姓。これらは結局、日本人の愛・生命・血統を破壊することがその核心なのだ。
新自由主義的政策であるTPP、RCEPなどの経済侵略にしても、日本人が家庭を持てないようにするという視点からも見ることができる。
DUPESは別として、確信犯的な反日勢力は、明らかに血統(家庭)の重要性を理解していることを日本国民は認識しておくべきだ。
神話の時代から続く血統こそ、私たち日本人のアイデンティティなのである。
健全な家庭は 社会インフラ
福祉面でも、家族が健全に機能すればこそ幼児から老人に至るまで保護され、社会的な負担は小さくてすむ。八木秀次
家族が健全に機能することで、犯罪は抑制される。社会秩序というインフラは経済活動において強力な役割を果たすことを、海外経験のある方は実感されるだろう。
性倫理、つまり家族が崩壊した北米や北欧の社会を見れば、「家庭の価値」と犯罪率に相関関係があることが見て取れる。
家庭環境と比例する犯罪率
2018年 FBI統計によると、黒人が殺人加害者として逮捕されたのは 全米の53%を占めている。しかし 黒人の比率は米国人口の13%に過ぎない。
その米国黒人家庭では、シングルマザー率が70%というのは象徴的。
「家庭の価値」は空虚な理想ではなく、社会や国家を具体的に強くする重要なインフラ基盤。
だからこそ、左翼が攻撃対象として来たのが家庭だった。革命を成功させるには、社会を混乱に陥れる必要があるからだ。
皇統 - 最後の砦
保守主義の根幹ともいえる愛・生命・血統。我が国において、その最大の本丸は皇室にある。我が国は 初代神武天皇以来の皇紀2600年以上を、男系の血統だけで継承して来た世界最古の国家だ。
男系継承が最大の争点
憂国の志士である馬渕睦夫大使が、新政権誕生のたびに期待されるのは、皇室の男系継承守護。皇統守護こそが日本保守の守るべき本丸なのだ。
皇統守護は日本国民の務め
日本の国は文字通りに『国家』であり、国民は文字通り「同胞」である。渡部正一
「古事記と日本人」より
私たち日本人は、神話の時代から皇室と共に生きて来た。日本の国柄は 君民一体である。私たちはこの観点からも皇室をお守りせねばならない。
皇統の危機 - 破壊を企む存在
「開かれた皇室」などという日本史になかった工作用語。近頃 日本国の公共電波で堂々と発せられているのは一体なぜなのか?
なぜ皇室の内側、つまり皇族ご自身でしか知り得ないはずであるご家庭内の出来事が、一介の女性誌に詳しく掲載されているのか?
宮内庁にも工作員が?
これはつまり、お側に仕える宮内庁職員に 工作員がいる証左だと みんなわかっているではないか。なぜ宮内庁は自浄努力をしないのだ? 背後には誰がいるのだ?
物理的に皇室に手を出せば 日本人は黙っていない。しかし何十年もかけてゆっくりと皇室の解体を謀れば? 武力を用いず日本の革命を達成できる。皇室の血統が狙われる所以である。
皇室報道とプロパガンダ
皇室報道の誘導には 慎重であらねばならない。外国籍でもNHKに採用される時代だ。日本を快く思わない外国勢力が、皇室報道にプロパガンダを忍ばせる可能性を承知しておくべきだろう。
- 女系天皇のゴリ押し
- 旧宮家復活の阻止
- 秋篠宮家へのバッシング
これらは皇室の血統断絶という、言葉にするのも恐ろしい 明白かつ一貫した目標を持った 日本破壊活動である。
皇室にだって家族の危機はある
憚りながら申し上げるが、皇室の方々も当然 一人の人格をお持ちだ。そして 完全な人間はいない。家族の危機だって、一般人と同じくある。
誰がガラス張りの中で一生を過ごしたい と思うだろうか。思春期ならば 尚更そうした思いに駆られて当然ではないか。
報道機関は自身の思春期や家庭を省みるといい。一体何人の記者が 皇室より立派だと胸を張れるのか。
皇室の困難な時にこそ 皇室に寄り添う
日本の国柄は 君民一体である。皇室のお辛い時にこそ、皇室に寄り添おう。歴代の陛下が 私たちにそうしてくださったように。
それが日本国民のあり方ではないだろうか。
修身斉家治国平天下 - 幸せな家庭こそ最強の国防
「
私たち日本の保守派が大切にすべき点は、
- 祖先から受け継いだ生命の糸、つまり血統に誇りを持つこと。
- 自らが清らかな愛で次世代を育み、それを未来へ継承していくこと。
人間だけが三世代
人間だけが 子が成人しても生き続けている理由とは、一体なんだろうか?
生物学の分野では、祖父母の存在意義がまだ解明できていないという。唯物論的な発想では、たしかにそうかもしれない。
我々人類には 伝統や文化が存在する。一度子育てを経験した祖父母が、その経験を次世代に継承できるというのは すごいことかもしれない。
三世代家族は強い
子よりも孫の方がさらに可愛い とはよく聞く言葉だ。祖父母は 孫のために存在するのではないだろうか。
事実として、幸福度日本一の福井県は 三世代同居率が高い。また、学力平均も体力平均も毎年日本一を争うことで有名だ。
幸せな家庭こそ最強の国防
祖父母・父母・孫の三世代を結んでいるのは血統。筆者は可能ならば 三世代で住む家庭が望ましいとの考えだ。
健全な家庭からこそ、健全な国民が誕生する。そして健全な国民が皇室をお守りするのだ。「幸せな家庭こそ最強の国防」である。
この記事のまとめ
保守の核心価値 -「家庭の価値」「皇統」- 保守思想の核心的価値は「家庭の価値」「血統」「皇統」
- 日本の保守主義は「家庭の価値」を根幹にすべき
- 左翼のターゲットは「家庭の価値」「皇統」
- 左翼の方が「家庭の価値」・「皇統」の価値を理解している
- 三世代家族、幸せな家庭を築くことが最強の国防