「過激派のルール」アリンスキー - 元祖 市民運動家の手口とは?
更新日:前回記事でご紹介したのは、2点。
- 極左運動家アリンスキーが、オバマ元大統領、ヒラリー元国務長官の師匠
- アリンスキーは 悪魔崇拝者であったと、米国民が見ている
では、そのアリンスキーは一体どんな思想、手法を主張していたのか? 米国大統領選挙のみならず、日本の市民活動、テロ組織でも近年多用される「アリンスキー流メソッド」とは?
アリンスキー語録と ともに紹介する。
アリンスキーの目的
ソウル・アリンスキーは、マルクス主義者。一般的に、欧米における共産主義勢力の狙いは、「キリスト教的道徳観の破壊」。
アリンスキーの主な仕事は、地域住民の不満や課題を熱心に聴いてまわること。後述するが、アリンスキーにとって それらの問題解決はどうでもよかった。
市民の不満を、権力、伝統、その背後にある キリスト教的価値観に向け、攻撃させることが本当の目的。
* ちなみに 多くの左翼運動と同じく、本人は「あらゆる思想に傾倒していない」。「あえて言うならユダヤ教徒かな」といったニュアンスのコメントを残している。
アリンスキーのターゲット:金と大衆
その目的を達成するために、アリンスキーが定めたターゲットが「金と大衆」。
零細企業、教会、学校、さらには空港会社。金・権力・名声をくれそうなものは、何でも大衆に攻撃させ、恐喝、金を出させた。
「パワー・権力は、つねに主として二つの源泉から生じる。金と大衆だ。
コミュニティ・オーガナイジングとは?
アリンスキーが実践した手法は「コミュニティ・オーガナイジング」。日本では「住民組織化」「市民組織論」などと訳される。
「コミュニティ・オーガナイザー」という指導役が、地域の問題解決を装い、住民の不満や不安を吸い上げ、敵に向けさせる。敵とはアリンスキーが敵とみなした者。
いわゆる「市民活動」「組合」は、左翼運動と関係していることが多い。アリンスキーが確立した手法を、彼らは継承。事実、アリンスキー自身が組合を組織、扇動してストライキを頻繁に開催していた。
* ちなみに、コミュニティ・オーガナイザーは、決して運動のリーダーにはならない。リーダー達を育て上げるのが役割。自分の手は汚さない。目的、意義も明確にしない。曖昧なまま攻撃させる。万が一目的が達成したら、攻撃する理由もなくなってしまうからだ。
アリンスキーの倫理観
- 歴史は 勝者が書く。
- 倫理・道徳は 相対的。
- 倫理的な行動に見えることは、本当に倫理的であるも同然。
シカゴ暗黒街の帝王であった 師匠アルカポネ同様、アリンスキーは倫理・道徳を道具としてのみ使用。大切なのは、その有効性だけ。
参考記事
「目的が手段を正当化」は自論。アリンスキー様にとって、倫理・道徳はあくまでも、敵だけに守らせる足かせにすぎない。
「目的には、道徳の外套を着せろ」
「効果的な行動には、道徳のパスポートが必要である」
「間違いなく自分だけの利益になることを、平等や自由などを想起する用語で 覆い隠せ」
紳士的な外見と言動 を推奨
アリンスキーは、典型的な過激派の外見を非難していた。見るからに過激なヘアスタイル、汚れた服装、火炎瓶、汚い口調。特に暴力革命というワード。それでは、市民の大半が嫌悪してしまう。
むしろ、紳士的な振る舞いと ビジュアルを奨励。その上で、「地域住民が使う地元ワードを使って、地域コミュニティに溶け込め」と主張。
アリンスキーの手法と出会い、若きオバマは イメチェンに取り組んだ。身なりは清潔に。禁煙も。さらには人権派弁護士として、地域の住民に溶け込んだ。
*こうした発想は「文化共産主義」「フランクフルト学派」とも相性がいい。「男女平等、人権、平和、環境、公共の福祉」。美しいワードを巧みに使用することで、善良な人々に共産主義のメッセージを浸透させることができる。
コミュニティ・オーガナイジング - 攻撃の4段階
アリンスキーによるコミュニティ・オーガナイジングの中核は、以下4段階に要約可能だ。
- 分極化
- 敵の中で 一人ターゲットを特定 - 悪魔化
- ターゲットを 悪魔に仕立て孤立化 - 組織化
- 大衆を先導し 徹底攻撃 - 欺瞞
- ウソ・デマで始末
*これは英国の名著「失楽園」著者ミルトンの研究家、スタンリー・フィッシュ氏の考えを参考にした分析。堕天使ルシファーが、神を抹殺した手段と酷似しているという。すなわち「①神への宣戦布告、②神を圧政者に仕立てる、③他の天使を反逆に加える、④神と人を欺く」。なるほど、アリンスキーが自著「過激派のルール」冒頭で謝辞を捧げたのは、悪魔ルシファー。
ターゲット選定基準は「非難されやすさ」
ターゲットの選定基準は「非難されやすさ」。組織自体ではなく、個人。その個人が本当に責任ある立場かどうかは関係ない。ずばり「いじめ」。そしていじめは時に自殺まで追い込むが、彼とその弟子達には関係ないようだ。
ターゲットを選び、固定し、個別化し、そして極性化することだ
「過激派のルール」
アリンスキーのやり方を 一口に言うならば「扇動(アジテーション)」。彼は大衆を扇動する天才。以下はその代表的手法とメッセージ。
① パワー、権力とは、あなたが持っているものではなく、あなたが持っていると敵が信じているものである
例えば、SNSで「国民の声」を捏造する「フェイクニュース」。
2020年5月、検察庁人事への反対が、500万リツイートと 大々的な報道。しかし実際は、せいぜい数百人が 徹夜して作業したと 人気YouTuberが暴露。ところが 政府の判断は、当該SNSとメディアに押し切られた。
そもそも 検察庁人事とは何で、何が問題かもほとんどの国民が認識していなかった。現代の広告業界では定番の手法とされるが、善良な一般国民は 当然そんなことを知る由もない。
少人数でも「国民の声」として大きく見せる。その効果が悪用された典型例と言える。
② 味方には 普段通りのことをやらせろ。敵には 不慣れなことをさせろ
アメリカのトラック運転手達が、国会議事堂で抗議したことがあった。数百台のトラックで議事堂を取り囲み、クラクションを鳴らさせた。
スーツを着て 議員達と交渉をさせたなら、運転手たちは 居心地が悪かったかもしれない。トラック運転手たちを 居心地のいい場所に置くことで、世界へ 効果的に 抗議映像を発信させた事例だ。
一方で 議員たちは、国会議事堂をまわるトラックを、一台ずつ止めて 対話することもできなかった。国会議事堂の一歩外に出れば、カメラフラッシュの餌食。さぞ居心地が悪かったろう。
「味方を、決して経験外に出してはいけない」
「敵は いつでも経験外に出してしまえ」
③ 敵には、自分自身のルール・ブックに 恥じないようにさせろ
紳士的な相手には、紳士的なままでいさせる。フェア・プレーをさせたままで、攻撃はさせない。敬虔なクリスチャンであれば、自制、希望、愛などの徳目を捨てることは、教会と自身のアイデンティティを裏切る行為。
誇り高ければ 高いほど、彼らは自分のルールを遵守。それにつけ込むのだから たちが悪い。
一方、クリーンイメージを売りにする相手なら、汚職、スキャンダルの発見が致命傷。聖職者、公人であれば、たった一つの過ちでも 甚大なダメージを与えられる。
この時、アリンスキーにとって、それが真実かどうかは重要でない。自分や味方が、もっとひどい罪を犯していても 問題ない。だって悪魔なんだもん。
ここで 敵がもし弁解しようものなら、潔くないと大衆が攻撃してくれる。元々悪人ならば、多少の傷は平気だ。しかし 誇り高い紳士ならば、その嘲笑、あざけりには耐えられない。
嘲笑、あざけりは、人にとって最強の武器である。
④ 多彩な圧力を かけ続けろ
敵には圧力をかけ続ける。弁解の時間も、機会も与えない。弁解する頃には、もう次の攻撃。常に攻撃し、戦術を変え、敵を多方面で防御し戦わさせる。敵を身体的、 精神的に弱らせれば、少人数でも 大きな組織を 打ち負かすことができる。
一方、味方には多彩な攻撃バリエーションがあることで、飽きさせない。楽しませることが できる。代表的な攻撃オプションとしては、「代理攻撃」「自分への偽攻撃」。
特に「自分への偽攻撃」は詐欺的。敵の食いつきがいい上に、作戦中は ずっと痛快だろう。敵はこの苦い記憶と、その後も闘い続けることを強いられる。オバマが 大統領選で、この手口を使った。
自分への偽攻撃
- 自分への疑惑を 味方のジャーナリストたちにリーク
- 敵側に攻撃させる
- 実はフェイクニュースだったと証明。
- 敵側は信頼を喪失。以降、大きな疑惑があっても尻込みして攻撃できない。
「圧力をかけ続けろ」
「良い作戦とは、自分の仲間が楽しめるものである」
「一つの作戦をあまり長く続けると、退屈になる」
⑤ 成功する攻撃の代償は、建設的な代替案である
ところで、敵が急に降伏してしまうと、「どうしたらいい?」と代案を出す必要が発生する。それは絶対に避けなければいけない。建設的な代案など最初からないのだ。
そもそも コミュニティの問題解決など 目指していない。問題が解決したら、金をどこからもらうというのだ?でも、敵にはいつも 建設的な代案を 求め続けるけどね♪
ex) 関西の伊丹空港問題。伊丹空港廃止論が出た途端に、反対派が陳情団体に変化したとのエピソードがある。伊丹空港が存続しなければ、反対運動を継続できず、お金ももらえない。
アリンスキー・チルドレン がいる
ここまで読んで、読者諸氏には思い当たる事例が いくつも上がっているのではないだろうか。日本の国会答弁。マスコミの偏向報道。沖縄基地問題。反原発運動。
日本のメディアでは、今日もターゲットが御指名。SNS上で炎上した挙句、本当に自殺へ追い込まれた犠牲者もいる。
戦争反対と言いながら、安倍は〇〇と矛盾したデモをする大衆が、まるで正義の味方との報道。布マスクで大騒ぎする一方、ウイグル・香港弾圧には沈黙を貫く。
参考記事
こうしてみると、左翼市民活動がメディアを 味方にして来たことがうかがえる。アリンスキーの師匠アルカポネは、実際に 新聞社ごと買収していた。
不思議な報道姿勢
何かがおかしいぞ?と感じている国民が、実は大半だろう。左翼報道にはさわやかさ、健全さ、明るさもない。多くの健全な日本国民の感性に合わない。
アリンスキーの手口を 知るに連れて、世の中の裏側がどうなっているのか?少し疑問を深めたのでないだろうか。彼らは 私たちを、一体どうしたいのか?
ところで、住民組織化の創始者 アリンスキーは、こう言い残している。
もし あの世に地獄があったら、私は迷いなく地獄へ行く。
地獄の亡者たちを 組織してやるのが 楽しみだ。
ダメだこりゃ。
参考記事
この記事のまとめ
「過激派のルール」アリンスキー - 元祖 市民運動家の手口とは?- アリンスキーは「住民組織化(コミュニティ・オーガナイジング)」を開発。
- 目的:共産主義世界。キリスト教的道徳観の破壊。
- ターゲット:金と大衆
- 倫理観:目的が手段を正当化。道徳は騙すための道具。
- 「パワー、権力とは、あなたが持っているものではなく、あなたが持っていると敵が信じているものである」
- 「味方には普段通りのことだけをやらせろ。敵には不慣れなことをさせろ。」
- 「敵には、自分自身のルール・ブックに恥じないようにさせろ」
- 「多彩な圧力をかけ続けろ」
- 「成功する攻撃の代償は、建設的な代替案である」