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今さら聞けないウイグル問題④ - 国際社会の反応は?

更新日:今さら聞けないウイグル問題④ - 国際社会の反応は?

中国共産党による ウイグル族へのホロコーストが、国際社会へ明白な脅威を与えた。

一方、なぜかイスラム教諸国が 沈黙している理由とは?

一帯一路で 世界制覇を狙う中国共産党は、米中デカップリングを決意したトランプ政権を 恐れている。日本が進べき道とは?

目次
今さら聞けないウイグル問題④ - 国際社会の反応は?

経済支配などで各国は萎縮

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(東京新聞WEB2019.7.22より)

2019年 日本と欧米諸国を中心に、ウイグル族への弾圧の査察調査受け入れを国連人権理事会へ要求した。上記地図はその賛否。米国は賛成の立場だが、すでに人権理事会は脱退している。脱退理由の一つは、中国など人権を抑圧する勢力が 理事国に選ばれ続ける欺瞞への抗議。

イスラム諸国は経済を優先した

今回の決議でもあろうことか、同じイスラム教を信じる国家が 中国の肩を持っている。アフリカ諸国は経済で中国の言いなり。ロシア、北朝鮮はそもそも人権抑圧国家として自らが問題を抱えている。

これまでも似たような非難や、決議やらはパフォーマンス上はあった。しかし、実際に中国へかける圧力はなく、最近の中国はもう国際社会の目を気にすることなくウイグルを蹂躙している。

兄弟民族トルコが希望

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(トルコ国旗と東トルキスタン国旗 eastturkistaninfo.comより)

ウイグル人と兄弟と言われるトルコ共和国は、同じテュルク系民族であり、これまでもウイグル難民を受け入れて来た。ウイグル人が本来名乗りたい国名「東トルキスタン(East Turkistan)」は、ご覧の通り「東のトルコ(テュルク)人の国」という意味。

豪腕エルドアン大統領も中国の軍門に

独裁者で知られるトルコのエルドアン大統領は、国内を掌握し、時にはアメリカとも喧嘩をするほどの剛腕だ。中国のジェノサイドに抗議する、世界でも数少ない指導者の一人だった。

それでも、このところ中国への抗議は断念。振るわないトルコ経済に、中国の一帯一路マネーがどうしても必要。エルドアン大統領自身も 苦渋の決断だったと信じるが、今回の国連人権理事会決議案に 明確なNOを中国に突きつけられず。テュルク系民族の自尊心は、大きく傷付いた。

日本の人権派は沈黙

枝野
(立憲民主党HPより)

今回の国連人権委員会での投票で、我らが日本国も賛成にまわり、なんとか面目を保った形なのは救い。だが、恥ずかしながら今までの筆者と同じく、多くの日本国民がウイグル問題に無関心なのは否めないだろう。

他国でどんなに悲惨なことがあろうと、正直みんな構わないのが悲しい現実であることがわかる。実際、香港では連日のデモで中高生が立ち上がり、警察隊とぶつかっているが、日本ではほとんど関心がない。

ウイグル問題こそ、21世紀の人権問題

不思議なのは、日本の人権団体だ。我が国の学校教育ほど「人権教育」に熱心な国はあるだろうか。TV、新聞では政治家、学生、評論家が、人権を口にしない日はない。にも関わらず、その誰もがウイグルの人権弾圧には全く触れない。

人権派は左右を超え ウイグル救助を

共産主義、社会民主主義という理念で中国と近いとされる日本共産党、社会民主党、立憲民主党の議員はウイグル問題をどう捉えているのだろうか?少なくとも筆者周辺では、彼らがウイグル弾圧について明確な反対をしていることの確認はできなかった。

与党でも、ウイグル問題に関心を示しているのは 一部。特に人権派を自認する議員や公人は、理念の左右を超えた団結で、ウイグル問題に声をあげてほしい。

サッカードイツ代表 エジル選手の声明

アーセナルのエジル選手、ツイッターでウイグル人弾圧への沈黙を批判
((c)Paul ELLIS / AFP 2019.10.30より)

2019年12月 トルコ系移民出身であるエジル選手(アーセナル所属)は、Twitterにトルコ語で悲痛な胸の内を表明。


「コーランが焼かれ、モスクが閉鎖され、イスラム神学校が閉校させられ、聖職者たちが次から次へと殺され、兄弟たちが強制的に収容施設へ送られている。それなのにイスラム教徒たちは沈黙している。」

サッカーゲームから エジル選手が消された

エジル選手はサッカークラブ世界一のレアルマドリードで10番を背負い、ドイツ代表ではW杯優勝をもたらしたサッカー界のモーツァルト。日本サッカー界でもファンが非常に多い。

当然中国にもファンは大勢いただろうが、中国政府は怒り心頭。人気サッカーゲームの「Winning Eleven」中国版から、エジル選手が削除の事態に発展。所属チームのアーセナルは中国市場を失うことを恐れてか、エジル選手のコメントからは距離を置いている。

オールブラックスのソニー・ビル・ウィリアム選手が同調

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(wikipediaより)

ラグビー オールブラックスス(ニュージーランド代表)の世界的スーパースター ソニー・ビル・ウィリアム選手は、エジル選手の声明に同調。ウィリアム選手はラグビーW杯2連覇の立役者。2019年W杯日本大会でも、お茶の間の注目を集めた。

ウィリアム選手は、人間らしさよりも、金を取った人々がいると憤慨。競技の枠を超えて、2人の世界的スターが共鳴したことに世界が注目した。

米国が声を挙げた


(マイク・ペンス副大統領 © AP ASIAN REVIEW2019.7.19より)

弱腰と言われたオバマ民主党政権で、中国のパワーは一気に拡大した。一方、トランプ共和党政権は、中国への対決姿勢を明確にしている。ウイグル民族弾圧も糾弾。急先鋒はマイク・ペンス副大統領、マイク・ポンペオ国務長官という、二人のマイク。

アメリカの福音派は 信仰の自由迫害を許さない

特にペンス副大統領は、アメリカのキリスト教福音派を代表する政治家の一人。信仰の自由に対する想いは本物で、そのスピーチの迫力は中国共産党を怖じけずかせ、ウイグル族を始め抑圧される少数民族を勇気づけたことだろう。2019年は ペンス副大統領が中国人権問題に対する発言をするたびに、中国政府が拒否反応。未来のアメリカ大統領候補であるペンス氏の言動を、苦々しく見ていることだろう。

共和党右派の買収は困難

一般的に、世俗的価値観が主流の民主党と違い、共和党は宗教右派が多い。そのため、ハニートラップや賄賂は効果がない。ましてやペンス副大統領は、自らを「生まれ変わったキリスト教徒(born-again Christian)」として認識。中国共産党による 政治的買収は、事実上困難。

中国との経済関係精算(デカップリング)

アメリカ, 中国, コマース, 通信, ビジネス, コンセプト, 国, 通貨, 配布, 地球, 経済トランプ大統領が就任してから、米中貿易戦争が世界の注目を集めている。もちろん「Great America again」を掲げるトランプ氏が、アメリカ経済を世界一であり続けさせるためと考えられる面もある。

しかし、もう一つの重大な目的がある。中国との経済関係精算「デカップリング」。それは、共産主義勢力との闘いを 決意しているからだ。

デカップリングで中国のパワー減少

どういうことか?中国との経済関係が緊密であれば、アメリカは経済的打撃を恐れて中国を非難できなくなる。アフリカ諸国や、同じイスラム教徒の弾圧に沈黙している各国が いい例だろう。スリランカ、ギリシャの重要な港はすでに中国傘下。

日本にも中国マネー支配が


(SAPIOより)

日本も例外ではない。中国経済が日本にもたらす経済効果は非常に大きいものと認識されている。安倍政権としても考えがあったと信じたいが、人権抑圧の首領である習近平国家主席を2020年、国賓として招くつもりでいる。日本史に残る汚点となりかねないし、安倍総理自身の支持層も反発を見せている。

北海道千歳空港の周辺は、中国人「資産家」たちがすでに買収済みであることも報道で判明。少子高齢化で国力の衰退が逃れられない我が国が、今後経済面で中国依存を深めれば、さらなる妥協(服従)に直面することは想像に難くない。

日本は中国の経済侵略を阻止すべき

しかし中国への経済依存が解消されれば?遠慮なく、正義を貫くことができる。重大な人権弾圧があれば、それを心から非難し、やめさせるよう圧力をかけられる。

一帯一路なる世界征服を中国の夢というが、自国民の人権ですらこれだけ蹂躙する国家。彼らに私たちの生活経済をコントロールされてしまえば、私たちがいつかウイグルのように支配されてしまう。いや、反日教育を受けているので、ウイグル以上の悲惨な目に遭うことは間違いない。私たちの世代がデカップリングを成功させなければ、子孫たちの残酷な未来があるのみだ。


参考:

「その國の名を誰も言わない」 清水ともみ


ウイグル問題シリーズ:

今さら聞けないウイグル問題① - 21世紀のホロコーストて本当?

今さら聞けないウイグル問題② - どんな弾圧があるの?

今さら聞けないウイグル問題③ - 今の市内は?

今さら聞けないウイグル問題⑤ - 弾圧の理由は?


この記事のまとめ

今さら聞けないウイグル問題④ - 国際社会の反応は?
  • 経済支配で各国は萎縮
  • 日本の人権派は沈黙
  • サッカードイツ代表エジル選手たちが声明を出した
  • 米国共和党政権がウイグル弾圧を批難
  • 中国との経済関係精算(デカップリング)
ルーク18
ルーク18

三世代家族推進運動の提唱者
「幸せな家庭こそ、最強の国防」が持論。
家庭を幸せに導くアプローチを、様々な観点から世に問う。

環太平洋諸国を巡った青春時代
各国で訪れた孤児院が人生の転機

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