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包括的性教育の不都合な真実③ - 包括的性教育の母体となる『性の権利宣言』

更新日:包括的性教育の不都合な真実③ - 包括的性教育の母体となる『性の権利宣言』

前回の記事では

  • 現在の包括的性教育の "生みの親" は「国際家族計画連盟」。
  • 表向きはユネスコという「国連組織」が作成した指針であるため、各国政府も包括的性教育を無視できない。
  • 国際家族計画連盟とWHOが発刊した「ヨーロッパにおける性教育の標準案」の、驚愕の中身。
  • 包括的性教育の根底にある思想(悪意)

等について みていきました。


まともな親御さんならば、包括的性教育の中身を知ると
「こんな性教育、うちの子には受けさせたくないぞ!」となるのが当然。


しかし包括的性教育の推進派は、何故あれほど強引に かつ 堂々と、包括的性教育を推し進めることができるのでしょうか?

それは「性の権利宣言」を盾にしている為です。


第3回目となる本稿では、包括的性教育への理解が深まる「性の権利宣言」について解説していきます。

目次

性の権利宣言とは?

性の権利宣言(セクシュアル・ライツ宣言/Declaration of Sexual Rights)とは、1999年8月26日に香港で開催の 第14回世界性科学学会総会*において採択された、「性に関する基本的かつ普遍的な権利」の宣言です(2014年に改訂)。

*世界性科学学会 - 1978年、複数の非政府組織によって設立。当初の名称「World Association for Sexology」は 現在「World Association for Sexual Health(性の健康世界学会)」に変更。略称は 名称変更前も後もWAS。


WASの主な活動テーマは、性の健康と基本的な性的権利を世界的に促進し 普及させること。

「性教育と臨床性科学の振興と発展は、常に私たちの第一目標である」と公式的に明記しており、30年間に渡ってセクシュアリティ研究を発展させ、その目的を着実に達成してきました。


以下は「性の権利宣言」の11項目です。 出典

1.性的自由への権利

The right to sexual freedom

あらゆる性的な強要・搾取・虐待を排除した上で、個人の性的なポテンシャルの全てを表現する自由(可能性)を享受する権利。

2.性の自己決定権、性の健全性 及び 性的身体の安全性への権利

The right to sexual autonomy, sexual integrity, and safety of the sexual body

社会的また個人的に、暴力・身体を傷つけること・苦痛から解放され、自らの肉体をコントロールして楽しむことの権利。

3.性的プライバシーへの権利

The right to sexual privacy

他人の性的権利を侵害しない限り、親密さ(intimacy)に関する個人の意思・行動が保障されていること。

4.性の平等への権利

The right to sexual equality

性・ジェンダー・性的指向・年齢・人種・社会階層・宗教・心身の障害に関わらず、いかなる差別からも解放されること。

5.性の喜びへの権利

The right to sexual pleasure

肉体的・精神的・知的そしてスピリチュアルな幸福(Well Being)の源である性の喜び(自己エロティシズムを含む)を享受する権利。

6.情緒的な性的表現への権利

The right to emotional sexual expression

コミュニケーション・接触・情緒的表現・愛を通じてセクシュアリティを表現する権利。

また性的表現は、性の喜びや性行為以上のものであるとする。

7.自由な性的関係への権利

The right to sexually associate freely

結婚、離婚、またはその他のタイプの責任ある性的関係を結ぶ、または結ばない自由。

8.自由かつ責任ある生殖に関する選択の権利

The right to make free and responsibly reproductive choices

子どもを何人、どのくらいの間隔で持つか、または持たないかについて決定する権利と、受胎調節手段の十分なアクセスを保証すること。

9.科学的研究に基づく性的情報への権利

The right to information based upon scientific inquiry

性に関する情報は、科学的・倫理的な研究により生み出されて、妨害なく全ての社会階層に適切に伝えられるべきであること。

10.包括的なセクシュアリティ教育への権利

The right to comprehensive sexuality education

セクシュアリティ教育(性教育を含む、より広範囲のもの)は、発達段階に応じて全ての社会制度を巻き込んで行われる過程であること。

11.性の健康に関するケアへの権利

The right to sexual health care

あらゆる性的な悩み・問題・障害に対して、予防と治療を利用する権利。

「性の権利宣言」に秘められた悪意

秘められた悪意


上記「性の権利宣言」の1~11までを読み進めていくと、「権利」「自由」という言葉の多さが目立ちます。

彼らは「性の権利」ばかりを主張しますが、「性道徳」「愛に対する責任」「子どもを養育する責任」については 一切言及しないのです。

前回記事で言及した包括的性教育の特徴と、そっくりですね…)


「自由/Free」という言葉は「縛りのない、制限のない」という意味ですが、責任のない自由を許した場合、果たして人類は発展し続けることが出来るのでしょうか?


詳細は 本シリーズの後半で解説しますが、

「人権」「自由」といった言葉で悪意を覆い隠し、長い時間をかけて巧妙に進められてきた彼らの狙いは「性道徳の退廃」

そして、性解放・性革命による「伝統的 結婚観・家族観の崩壊」です。

包括的性教育の不都合な真実⑤ - 文化マルクス主義(文化共産主義)によって「性&家庭」の秩序が崩壊暴力革命を諦めた共産主義者たちは「文化マルクス主義」という新しい仮面を装着。大衆文化から性道徳・性規範を破壊し包括的性教育の不都合な真実⑦ - 共産主義者たちが熱望する性解放・性革命(性の革命)共産主義者たちの願う「性解放」とは、人類が性規範(性道徳)という抑圧から解放されること。彼らはグローバル規模で性革命を

同性愛カップルに育てられる「子どもの人権」は無視?

とくに「性の権利宣言」の8番目は、LGBT当事者(並びに LGBT活動家)が最も関心ある項目といえるでしょう。

同性愛カップルに対しても、子を持つ自由と権利(実子、養子縁組、精子卵子提供による代理母出産など)がある、としているからです。

しかし 同性カップルの養子縁組は子供の人権侵害 で述べたように、そこでは "大人の" 権利ばかりがまかり通り、同性愛カップルによって育てられる子どもの福祉・権利が無視されています。

LGBTの不都合な真実④ - 同性婚合法化や差別禁止法のデメリット / 同性カップルの養子縁組は子供の人権侵害「同性婚の合法化」「差別禁止法」の制定が、現在の私たちだけでなく 未来の子供たちにも弊害となることに、私たちは

包括的セクシュアリティ教育とは?

そして「性の権利宣言」の10番目に登場するのが「包括的セクシュアリティ教育を受ける事への権利」です。


「性の権利宣言」の中で説明される「セクシュアリティ」には

  • セックス(生物学的な性)
  • ジェンダー・アイデンテイ(性自認)
  • ジェンダー・ロール(性役割)
  • 性的指向
  • エロティシズム
  • 性的な喜び、親密さ
  • 生殖

などが含まれ、これらを人の生涯における中心的なものだとしています。

つまり彼らのいうセクシュアリティ教育とは「上記に関連するすべての内容を網羅し教えること = "包括的" 性教育」なのです。


全ての人がこの「包括的性教育を受ける権利」を持っているとし、年齢に応じて適切に教育されなければならないとしています。

※ これが 本稿冒頭の「包括的性教育の推進派は、何故あれほど強引に かつ 堂々と、包括的性教育を推し進めることができるのか?」の答えです。

美辞麗句で大衆を欺く「性の権利宣言」

さて、包括的な性教育を行う場合、人種・ジェンダー平等・セクシュアリティ・快楽に対して「科学的に正しく肯定的なアプローチを基礎に置くべきだ」と彼らは主張しています。

しかし本当に「包括的性教育」の内容が年齢別に適切であり、科学的に正しく、文化的能力に相応しており、全ての人々に対して肯定的なアプローチとなっているのでしょうか。

前回記事でみたように、答えはNOだと言わざるを得ません。

包括的性教育の不都合な真実② - 包括的性教育の驚愕の中身 / "生みの親" 国際家族連盟の裏の顔包括的性教育では、性行為や自慰の「快感」/ 快感を得る「手段・権利」を強調する一方で、性道徳・性倫理については

「性の権利宣言」とジョージ・ソロスの関係

ジョージ・ソロス
 ジョージ・ソロス氏(政治思想は極左)


1999年の「性の権利宣言」が発表された後、2001年にジョージ・ソロス氏が率いるオープン・ソサエティ財団が「ジェンダー・セクシュアリティ」というタイトルの資料を発表しました。

その内容は「性の権利宣言」の影響を色濃く受けたものであり、ポーランドの中絶、モンゴルやカザフスタンの性に関する問題を扱っています。

2016年には アイルランドで中絶禁止を廃止するための団体(=人工妊娠中絶を支持)を創設する際に、ソロス氏が投資しているのです。

ジョージ・ソロスってどんな人物?

表向きは「天才投資家(世界三大投資家の1人)」「慈善家」とされている、ハンガリー系ユダヤ人。

裏では 世界を憎悪・不道徳な方向へ導こうとしている人物として有名です。


例えば

  • アメリカのBLM運動
  • 世界各国へ移民大量輸送による治安悪化
  • ウクライナ戦争

等の黒幕ともいわれています。

BLM「ブラック・ライブズ・マター」② デモ真相と黒幕の正体とは?前回記事では、ブラック・ライブズ・マター(以下BLM)について、FBIデータを交えてケルン大晦日大量性暴行事件 - ドイツの難民問題から学ぶべき「移民政策のデメリット」とは?2015年12月31日大晦日に発生した、ケルン中央駅前、ケルン大聖堂前で発生した窃盗や強姦を含む


そんな極左投資家ジョージ・ソロス氏が、安全保障分野だけではなく ジェンダー問題にも絡んでいることに、注目すべきでしょう。

暴力革命(戦争)と ジェンダー問題は、実は同根なのです。

※ これについても、詳細を本シリーズの後半で解説します。


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※ シリーズの続きはこちら
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この記事のまとめ

包括的性教育の不都合な真実③ - 包括的性教育の母体となる『性の権利宣言』
  • 「性の権利宣言」に「包括的セクシュアリティ教育を受ける事への権利」が登場する。これが、包括的性教育 推進派の力になっている。
  • 「性の権利宣言」は「人権/権利」「自由」といった言葉で悪意を覆い隠しているが、その狙いは「性道徳の退廃」。これは包括的性教育の特徴と類似している。

次回は、「世界の性教育の始まり」そして「世界の性教育へ多大なる影響を及ぼしたキンゼイ報告」について みていきます。

「キンゼイ報告」と「アルフレッド・キンゼイ(=キンゼイ報告の作者)」について学ぶと、包括的性教育の危険性をさらに理解できるはずです。お楽しみに^^


※ シリーズの続きはこちら
包括的性教育の不都合な真実④ - 性教育の父? アルフレッド・キンゼイの嘘と闇世界初の性教育の義務化は、1968年にドイツで盛んだった学生運動(極左活動)の副産物でした。キリスト教的な価値観を