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包括的性教育の不都合な真実① - 序章:日本の性教育の歴史

更新日:包括的性教育の不都合な真実① - 序章:日本の性教育の歴史

昨今やたらと囁かれるようになった「包括的性教育」という言葉。

国際社会のスタンダード性教育として紹介されることが多く、日本も取り入れるべきとの論調が目立ってきました。

包括的性教育とは、ユネスコが提唱している国際セクシュアリティ教育ガイダンスに沿って行うもの。「先進国を中心とした各国で取り入れられている国際基準なのだから、日本でもすすんで取り入れるべき!」というのが推進派の主張です。


その一方で、包括的性教育に警鐘を鳴らす人々もいます。

彼らは「包括的性教育の本質は、性道徳の排除によって様々な社会問題を引き起こす 性革命のツールである!」といいます。


どちらの言い分が正しいのでしょうか?

この「包括的性教育の不都合な真実」シリーズでは 包括的性教育の表面に見えている部分だけでなく、その本質と裏に隠された意図を探っていきたいと思います。

目次

日本は、「性産業」先進国 /「性教育」後進国

なぜ「今」日本で包括的性教育が話題なのでしょうか?

包括的性教育を推進する人々は「日本の性教育は世界のスタンダードからだいぶ遅れている」と主張します。


日本は諸外国から「性に寛容な国」と呼ばれてきました。海外に比べて日本は "性産業" 先進国。

青少年が行き来するコンビニに堂々と成人向け雑誌が置かれ、子どもアニメにすら性的描写が描かれる国です。全国の繁華街には、風俗店の看板が堂々と掲げられています。

しかし性教育については、非常に保守的。"性教育" 後進国といっても過言ではありません。


実際に学校教育の現場では 性に関する授業が数回しかなく、内容も基本的なこと(例:男女の体の違い、等)しか教えません。

一歩外に出れば性産業があふれているにも関わらず、学校や家庭では性に対して教えることを恥ずかしがり「口にすることすらタブー」。そんなギャップが存在する国なのです。


中高生の子どもがいる親御さんの世代は、インターネットが無かった時代に青少年期を過ごしました。

しかし現代はスマートフォンの普及により、青少年たちが性コンテンツへ容易にアクセスできる状況であり、子ども達は意図せず 過激な性情報に簡単に触れてしまいます。


こうした点を踏まえ、包括的性教育を推し進める人々は 保守派の「寝ている子を起こすな / 性について教えすぎるな!」論を一蹴します。

「今のままの(保守的な)性教育では 子ども達を性犯罪から守ることができないし、望まない妊娠から守ることもできない」と。

そして「それらに対処できる画期的かつ先進的な性教育こそが、包括的性教育だ」と主張しているのです。


そもそも欧米では、すでに1970年代から包括的性教育が公教育に取り入れられてきました。

・・・それでは何故、リベラル勢が主張するところの「素晴らしい性教育」が、今まで日本の学校で取り入れられてこなかったのでしょうか?

その理由の1つとして、文部科学省の学習指導要領に存在する「はどめ規定」を挙げることができます。

「はどめ規定」とは

はどめ規定とは、学校教育で取り扱う範囲の基準のようなもの。性教育においては主に2つの規定が存在します。

  1. 小学5年生の理科
    「人の受精に至る過程は取り扱わないものとする」
  2. 中学生の保健体育科
    「妊娠の経過は取り扱わないものとする」


このような規定が存在するため、日本の学校教育では、受精に関する内容は教えれても、性行為については触れることなく授業が行われてきました。

「先進的な包括的性教育」推進派は、まずはこの「はどめ規定」を撤廃することに必死です。


この「はどめ規定」が存在することは 日本の性教育が辿ってきた流れと関連があります。以下に簡単に説明していきます。

日本の性教育の歴史

戦前の性教育

戦前の日本で行われていた性教育は、「男女間の正しい性道徳の確立」に重きをおいたものであり、人格教育をベースに実施。

1920〜1940年代 「純潔教育」を重要視

戦後、戦前の人格教育を継承した「純潔教育(家庭倫理 - 夫婦間の貞操を守ること)」がスタート。戦後の混乱の中、主に治安対策の一環として実施された。

1947年、文部省は純潔教育について「同等の人格として生活し行動する男女の道徳、秩序を打ち立てることが新日本建設の重要な基礎」と規定

1960年代〜 セクシュアリティ教育の登場

第2波フェミニズム運動の到来。

欧米から始まった性解放の風潮の中、米国性情報・教育協議会(SIECUS)の影響を受けて 日本性教育協会(JASE)が発足。

既存の「純潔教育中心の性教育」を「セクシュアリティ教育」へと位置づけしていく。純潔教育の衰退。

フェミニズムの歴史② - 「第1波フェミニズム」「第2波フェミニズム」とジェンダー問題フェミニズムは革命の中で生まれた思想である。誕生当初こそ「女性の参政権獲得のために有益だったと評価できるが

1980年代〜 エイズ予防教育

性産業の多様化が進み、風俗業界が拡大。青少年の間にも売買春が横行。エイズの初症例と共に「エイズ予防教育」を性教育の中に取り入れる。

1982年「 "人間と性" 教育研究協議会」を発足。米国ですでに進んでいた「包括的性教育」の導入を強く推進。

1992年

日本における「性教育元年」。小学5・6年生に対して「性に関する指導」を開始。性教育ブームが巻き起こる。

「 "人間と性" 教育研究協議会」と 急進的フェミニストたちは、エイズ予防教育と共に、ジェンダーフリーや性の多様性といった概念を海外から導入。

1999年、性教育の手引を作成し、全国の幼稚園・小中学校に配布した。

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1990年代後半〜2000年代前半 過激な性教育へのバッシング

1998年「はどめ規定*」が学習指導要領に記載。過激な性教育へのバッシング**が広がりはじめる。

性器の名称を小学校低学年に、性交や避妊法を小中学生に 教えることの停止を求める。過激な性教育の衰退。


*はどめ規定 - 学習指導要領に はどめ規定が導入されたのは1978年版からであり、1989年版 及び 1998年版の学習指導要領では、かなりきめ細かく定められていた。

**過激な性教育へのバッシング - 例:思春期のためのラブ&ボディBOOK回収、都立七生養護学校事件 等

2005年〜現在

2005年 自民党保守派を中心に「過激な性教育・ジェンダーフリー教育実態調査プロジェクトチーム」が発足。

現在に至るまで「はどめ規定」を基にした性教育が行われている。

2022年〜

安部元首相が亡くなられたことで、日本の性教育は大きな帰路に立つことに。

野党と左派マスコミがこぞって安部元首相の落ち度を煽り「過激な性教育・ジェンダーフリー教育実態調査プロジェクトチーム」への批判を強め、「はどめ規定」の撤廃を要求している。

さらに2022年8月には、日本最大の非営利団体である日本財団が「包括的性教育の推進に関する提言書」を発表。義務教育段階から包括的性教育を早期導入すべしと声をあげている。


このように日本の性教育の歴史は、家庭倫理を守ろうとする保守派と 急進的な性教育推進派の攻防戦が、戦後から現在まで継続してきたといえます。

「包括的性教育 = 専門家が勧めている」という印象操作

現在 日本の公教育の現場では、「はどめ規定」により「性」に関する基本的な知識しか教えることができません。だからといって安心してはいけません!

実は、そうした状況を逆手にとったのが民間の性教育団体です。これらの民間NGOや医療関係者による書籍やサイト、YouTube配信によって、すでに包括的性教育はお茶の間に侵入しています。

もちろん、学校現場にも堂々と「専門家による特別授業」といった形式で、親御さんたちが知らない間に 子供たちは接しています。

グローバルスタンダードが必ずしも正しいとは限らない

どんなビジネスでもそうですが、品物を売る際 デメリットについて詳しく話す商人はいません。

「包括的性教育」を紹介する人々も同じです。基本的に、彼らは その良い面しか語らない(包括的性教育のデメリットを語らない)ということを、知っておくことが大切です。


「性教育専門家、医師、助産師、保育士」などの肩書は、それだけで信頼に値すると錯覚してしまうもの。

育児経験が浅い新米ママさんならば尚更、「専門家が紹介している教育法なのだから、きっと正しいはず~」と思ってしまうでしょう。


・・・「どんな性教育を子供に施すのか?」

これは子育てにおいて本当に重要な課題です。

本シリーズで順序立てて説明していく「包括的性教育」の趣旨と目的・実態を知れば、幼い子ども達に本当に教えるべき内容なのか 疑問がわいてくるはずです。


「専門家の言うことだから」と疑いもせず、鵜呑みにするのはナンセンス*。「国際標準に合わせなきゃ」という盲目的な発想にも注意が必要です。

なぜなら西欧諸国が抱えている課題は、日本よりも遥かに深刻な場合があるからです。

グローバルスタンダードが必ずしも正しいとは限りません


*専門家の言うことを鵜呑みにしない
- 教訓として、世界的ベストセラーになった「スポック博士の育児書」を挙げることができます。その本には、子供の自立の妨げになるという理由で「幼い頃から母子は別室で寝て、子どもが泣いていても放置すべき」と記されていたのです。この「スポック博士の育児書」通りに育てられた子どもは自尊心が極端に低くなり、後にアメリカの犯罪率が爆発的に急増した理由とされています。

包括的性教育 = 子ども達から性道徳を排除 = 社会問題の元凶

「包括的性教育」を含む、現代の急進的な性教育に警告を発しているガブリエル・クビー女史は、著書「グローバル性革命」の中で次のように述べています。

社会の状態を一度ゆっくり眺めてみよう。

壊れた家族、父親や母親が一人で子どもを養育している状況、深い感情の部分と霊的な部分に傷を負っている若者達。
ポルノ中毒になる人々と、数百万人の性犯罪者達。
妊娠中絶によって生命を奪われた数百万の子ども達。
そして私たち自身のことも一度振り返ってみよう。

(中略)

子ども達は段々と笑顔を失い、うつ病に陥った大人たちが増え続ける社会。
これを私たちは自らつくりだしているのだ。


欧米社会に存在する多くの青少年問題・家庭問題・社会問題の元凶が「性規範の解体」であると ガブリエル女史は主張します。

そして、このような性規範の解体を積極的に主導し、子ども達から性道徳を排除しているのが「包括的性教育」であると、著書「グローバル性革命」では 真っ向から批判しています。

性規範(性を正しく扱うこと)の重要性

人の生涯に大きな影響を及ぼすのが「性」。この事実は疑いようがありません。

性に関する正しい知識や価値観を学ぶことは とても重要です。


ガブリエル女史は、本来「性」とは尊く美しいものであると断言します。

私の著書の基本的な前提は、

成功的な人間関係を結び、成功的な人生を生きるために「性」という美しいプレゼントをしっかり守るべきである というメッセージに尽きる。

性を間違って扱えば、心の傷やトラウマを抱えて生きていくことになります。

そのため、一時の感情や快楽、単なるコミュニケーションの手段として性を扱うべきではありません。


性規範は、社会運営システムの一部であり、全ての社会は社会的・法的・差別規定を通して性規範を保護してきた。

西欧社会もまた、一夫一妻制を標準としてきたが、今では平等と差別禁止の旗の下、法律自体が快楽と淫乱を許容しているのが実状である。

本来「性」とは、「生命誕生」と結びつく行為として「尊く価値あるもの」として伝えられるべきです。

人類歴史に存在してきた様々な宗教・伝統の中で、「性」は常に「結婚」「家庭・家族」と密接な関係をもって伝えられてきました。


このような観点から
「青少年に対してどのような性教育を行うのか」という課題は、個人のみならず家庭、そして社会全体の現在と未来を決定づける といっても過言ではないでしょう。

すべての良識ある親御さんたちが、このことに関心を持ってくだされば幸いです。


※ シリーズの続きはこちら
包括的性教育の不都合な真実② - 包括的性教育の驚愕の中身 / "生みの親" 国際家族連盟の裏の顔包括的性教育では、性行為や自慰の「快感」/ 快感を得る「手段・権利」を強調する一方で、性道徳・性倫理については

この記事のまとめ

包括的性教育の不都合な真実① - 序章:日本の性教育の歴史
  • 戦前の日本の性教育は、「男女間の正しい性道徳の確立」「人格教育」に重きをおいていた。
  • 日本の性教育の歴史は、家庭倫理を守ろとする保守派と 急進的な性教育推進派の攻防戦が、戦後から現在まで継続してきた。
  • 人の生涯に大きな影響を及ぼすのが「性」。性に関する正しい知識や価値観を学ぶことは とても重要。
  • 「専門家の言うこと」「国際標準(グローバルスタンダード)」が、必ずしも正しいとは限らない。
  • 包括的性教育を推進する勢力は、その良い面しか語らない(包括的性教育のデメリットを語らない)。

本シリーズでは

  • 包括的性教育の具体的な中身
  • 包括的性教育の歴史(成り立ち)
  • 誰が(どんな勢力が)包括的性教育を推進しているのか
  • 包括的性教育の裏の目的

などについて 書いていこうと思います。お楽しみに^^


※ シリーズの続きはこちら
包括的性教育の不都合な真実② - 包括的性教育の驚愕の中身 / "生みの親" 国際家族連盟の裏の顔包括的性教育では、性行為や自慰の「快感」/ 快感を得る「手段・権利」を強調する一方で、性道徳・性倫理については