新世界秩序へ至る『優生学』の歴史 - 人口論マルサス、進化論ダーウィン、ゴールトン、ロックフェラー財団
更新日:優生学による民族浄化(ジェノサイド)と言えば、ナチスドイツのヒトラーが有名だろう。
最近ではマイクロソフト創業者ビル・ゲイツが「世界人口を削減するためにワクチンが有効」だと発言をしている。これは21世紀でも世界のエリート層に優生思想が存在していることを示唆している。
「ではそもそも優生学はどこから来たのか?」
本稿では、優生思想に学問体系が与えられた近代以降の歴史を取り扱う。その意義は以下2点の理解を深めることにある。
- 国際金融資本家たちの思想的背景
- 新世界秩序、人口削減計画、コロナショックドクトリン
優生学とは
優生学とは「優れた遺伝子の持ち主を保護し、逆に劣等遺伝子の持ち主を排除することで、優良遺伝子だけを後世に残そう」という考え。
ナチスによるジェノサイド、人種差別、障害者差別、強制断種手術、人工妊娠中絶を正当化する思想的背景になったとされる。
積極的優生学と消極的優生学
後に紹介するフランシス・ゴールトンが優生思想に定義を与え、「優生学(eugenics)」という言葉を人類史上初めて使用した。
優生学は進化論的な「優勝劣敗」という考えから、次の二つの立場に分類される。
- 積極的優生学
- 優良遺伝子の保護が目的。遺伝子改良、マイクロチップ埋め込み(トランスヒューマニズム*)の根拠。ナチスはレーベンスボルン**の創設に至った。 - 消極的優生学
- 劣等遺伝子の淘汰を目指す。強制断種、人口削減、人種差別の根拠。ナチスはジェノサイドを引き起こした。
* トランスヒューマニズム - マイクロチップを体内に埋め込み人間の能力を拡張させるサイボーグ化技術。
** レーベンスボルン - ナチス将校とアーリア人(北欧系)の「優秀な」子供生産施設。多くの私生児が誕生した。
古くから存在した優生思想
- プラトンは、最も優れた男女だけが交わり その子供だけを育てるべきだと考えた。
- 伝統的に選民思想を保持しているユダヤ民族は、自らを神の民と捉える。一方で聖典タルムードには、異民族をゴイムという蔑称で表現している。
- 近現代の欧州白人エリート層、現代でもユダヤ系国際金融資本には優生思想が窺える
優生学の歴史① マルサス - 人口論
そうした感情的な優生思想に 一応の学問性を与えたのが、1798年「人口論」を著したトマス・ロバート・マルサス。「マルサスの罠」として有名な彼の主張を簡単にまとめるとこうだ。
人口は幾何級数(かけ算)的に増加するが、食糧は算術級数(たし算)的にしか増加しない。
その結果発生する人口問題は、社会制度の改良で解決できない。
したがってマルサスは「戦争、貧困、飢饉は人口抑制のために良い。貧民を救う救貧法を廃して、そのままにしておくべき。むしろ早く死に至る湿地帯に貧乏人を住まわせるべきだ」と考えた。
すぐに崩壊したマルサスの罠
マルサスの罠にはすぐ論理的矛盾が生じた。食糧の供給が間に合わないという前提条件が崩れたのだ。
- 化学肥料の普及で食糧生産能力が飛躍的向上
- 産業革命の発生
- エネルギー革命の発生
優生学の歴史② ダーウィン - 進化論
「適者生存」- ダーウィン進化論に与えた影響
ところがマルサスの論理は破綻しても、マルサスの思想は受け継がれた。特に有名なのは進化論の提唱者チャールズ・ダーウィン。
1859年「種の起源」には「適者生存」という形でマルサスの思想がしっかり反映されている。
優生学の歴史③ ゴールトン - 優生学の父
そのダーウィンの従兄であるフランシス・ゴールトンこそ優生学の父と称される。英国優生学協会の会長であり、近代統計学の父としても知られている。
ゴールトンの主張
- 人間の優劣はほぼ遺伝で決定し、継承される
- 家畜の品種改良と同じく、人間も人為淘汰*することで社会が良くなる
*人為淘汰 - 人為選択とも。自然淘汰(自然選択)の対義語。より優秀な遺伝子の持ち主を人間が意図的に次世代の親として選択すること。ゴールトンは優良遺伝子の持ち主同士の結婚を数世代重ねることで、(改良された)優秀な人間が残ることを意図した。
「弱者救済に反対」
ゴールトンもまた優秀な遺伝子の持ち主優遇を主張する一方で、劣等遺伝の持ち主(とゴールトンが見做す人々)へは厳しかった。
ゴールトンは社会的弱者への救済は「自然淘汰」を邪魔するとして反対。劣等家系の救済はやめて、淘汰されるままにせよというわけだ。
優生学の歴史④ 社会ダーウィニズム
1911年、伯父ゴールトンから英国優生学協会 会長の地位を受け継いだのが、チャールズ・ダーウィンの息子、レオナルド・ダーウィン。このように優生学の歴史にはダーウィン一族の影響が小さくない。
ハーバート・スペンサー
やがて19世紀の英国哲学者ハーバート・スペンサーにより、社会ダーウィニズム(社会進化論)という考え方が広まった。社会ダーウィニズムとは「生存競争、適者生存、優勝劣敗」という概念を人間社会に適用した考え。
社会ダーウィニズムは当時の帝国主義や植民地主義を正当化した。また今日でも自己責任、自助努力を極端に主張する新自由主義を根底で支えている。
カール・マルクス
ダーウィン「種の起源」は共産主義の父カール・マルクスにも強い影響を及ぼした。すなわちダーウィニズムの自然淘汰は「階級闘争史観」にインスピレーションを与えたのだ。マルクスはその代表的著書「資本論」をダーウィンに献本したという。
共産主義にジェノサイドが付き物であるのは、社会進化論が根底にあることが うかがえるのではないか。
優生学の歴史⑤ フェビアン協会
フェビアン協会は「羊の衣を着た狼」のロゴマークでも知られる (wikipediaより)
20世紀の優生学が隆盛を極めるにあたって、1884年に創設された英国フェビアン協会の存在が注目される。
フェビアン協会とは?
- 19世紀後半の英国で創設された 社会主義革命を目指す知識人グループ
- LSE(ロンドン・スクール・オブ・エコノミー)の母体
- イギリス労働党の基盤
フェビアン協会メンバー
- ウェッブ夫妻
- 労働党の理論的指導者 - ジョージ・バーナード・ショー
- 劇作家「マイフェアレディ」原作者 - ジョージ・オーウェル
- 作家「1984」 - H.G.ウェルズ
- 作家「宇宙戦争」SFの父 - オルダス・ハクスリー
- 作家「すばらしい新世界」 - ジュリアン・ハクスリー
- オルダスの兄。英国優生学協会 会長。UNESCO初代会長。WWF(世界野生生物基金)共同創設者 - トーマス・ヘンリー・ハクスリー
- オルダスとジュリアンの祖父。生物学者。通称「ダーウィンのブルドック」
SF小説家が多い
フェビアン協会のメンバーは、現代の日本でも知られる社会的名士ばかり。それにしても「"未来を舞台とした予言的ディストピア小説" を書いた作家たち」が目に付く。
「予言」でなく「予定」?
特に2020年コロナパンデミック下で、ジョージ・オーウェルの小説「1984」は日本でもAmazon1位の売上げを記録。
本当に予言書ではないかと世界中の人々に受け止められたが、これは「予言」ではなく、「予定」を知っていたと見ることはできないのか?
本稿では深堀りしないが、そうした観点も頭の片隅において 以下を読み進めてほしい。
フェビアン協会員ラッセル伯爵のコメント
バートランド・ラッセル伯爵
- ノーベル文学賞受賞者
- 数学者
- アリストテレス以来最大の論理学者
- 英国首相を祖父に持つ政治活動家
「(人口抑制の観点から)戦争については期待外れだった。しかし「細菌戦争」ならば効果があるかもしれない。黒死病を各世代に一度ずつ世界中にばらまくことができたなら、生き残った者は世界が満杯になることを気にせず子供をつくれる。
2021年のコロナ禍にラッセル伯爵の言葉を聞いて、戦慄を覚える人は少なくないだろう。
優生学の歴史⑥ 20世紀前半 - アメリカとナチスの蜜月
フェビアン協会員H.G.ウェルズの愛人であったマーガレット・サンガー女史。サンガー女史はアメリカへ帰国後、1921年にアメリカ産児制限協会を設立。
ロックフェラー財団の支援もあり、全米でロビー活動を展開。25の州で強制断種を合法に導いた。
ロックフェラー財団の支援
意外なことに、ナチスドイツの優生学を支援したのはアメリカの優生学界。アメリカにはヒトラーの人種政策支持者たちがいた。より正確にいうならば、アメリカ合衆国ではなく ロックフェラー財団がナチスを支援したのである。
ロックフェラー財団はナチスの優生学研究に巨額の資金提供を繰り返した。アメリカでの研究成果も提供され、ついにナチスは「断種法」を成立。やがてナチスは民族浄化・ホロコーストを本当に実行した。
当時のアメリカが我が国の上空へ原子爆弾を投下できたメンタリティには、こうした背景があったことを理解しておく必要がある。
優生学がジェノサイドを引き起こした
20世紀前半に隆盛を極めた優生学は ここでいったん足を止めた。当然だが、ナチスによるホロコースト(ユダヤ人虐殺)があまりにもネガティブなためだ。
アメリカでナチス優生学を支援していた記録はスルーされ、関わった研究者たちも沈黙し続けた。
優生学の歴史⑦ 戦後の優生学
ただし、ロックフェラー財団は優生思想を全く捨てていない。別稿にもあるように、戦後の日本でGHQ、サンガー女史を前衛部隊として配置。1948年優生保護法を成立させ、日本のベビーブームをわずか3年で強制終了させた。
1952年にはサンガーを先頭に国際家族計画連盟を発足。「優生学」という言葉の印象が悪くなったため、「家族計画」や「遺伝子工学」という看板にすり替えた。
こうして戦後も優生学は生き残っているどころか、国際的な平和機関を装って我々にバースコントロールを推奨している。
私たちと優生思想
- 少子化、晩婚化
- 女性の社会進出
- 核家族化
- ニート増加
- 同性婚、LGBTQ
- 皇室問題
- 移民難民問題
- 遺伝子組替えなどの食料安全問題
- パンデミック、ワクチン
本稿では深堀りしないが、上記は全て 偶然に発生した個別の問題ではない。優生思想から意図的に創出されたものなのだ。
日本メディアがほとんど報じない文化マルクス主義、フランクフルト学派という勢力が、これらを推進している。
※ 報道されないのは、日本の学界・報道機関自身の思想が背景にあるため。
当サイト「世界の深層」シリーズでも探求していくが、少しでもご関心ある方は ぜひ自ら調査してみてほしい。
愛するご家族のためにも。そして真実を世に広めて、世界を一緒に変えて行こう。
この記事のまとめ
新世界秩序へ至る『優生学』の歴史 - 人口論マルサス、進化論ダーウィン、ゴールトン、ロックフェラー財団- 優生思想を知ることで、国際金融資本のメンタリティや戦略が見えてくる。
- 優生思想は近代以降 人口論マルサス、進化論ダーウィンなどに学問性を与え、ダーウィンの従兄ゴールトンにより「優生学」と呼ばれ始めた。
- 積極的優生学は優良遺伝子の保存・進化を求め、消極的優生学は劣等家系の駆除を目指した。
- 優生学は社会進化論スペンサー、共産党宣言マルクスにより強化、拡散。
- 英国フェビアン協会の作家たちによるSF小説を見ると、優生学が現代へ至る人口削減計画と結びついていたことが推測できる。
- ロックフェラー財団による優生学研究の支援を受けたナチスヒトラーは、ホロコーストを実行。
- ロックフェラー財団は戦後も「家族計画」「遺伝子工学」と名前を替え、優生学(人口削減計画)を続行。