フェミニズムの歴史③ - 「第3波フェミニズム」「第4波フェミニズム」とLGBTQ
更新日:前記事 第1波フェミニズムと第2波フェミニズムの違い の続き。
シリーズ第3回目の本稿では
- 第3波フェミニズムとLGBTQの関係
- 第4波フェミニズム
について解説していく。
第3波フェミニズム: 冷戦後〜2000年代(ポスト・モダニズム時代)
昨今よく耳にする「多様性」は、第3波フェミニズムの流れの中で誕生した言葉である。
思想・活動
- セクシャリティ
- ダイバーシティ
(人間の「性」の在り方、性と他者との肉体関係に関する行動、欲求、態度) - 多様性
(正統派以外も認める / 私らしさという個性を求める)
時期
1990年代初めに登場
特徴
- 第1波フェミニズム:
→ 公的領域(公の場)での平等を要求 - 第2波フェミニズム:
→ 私的領域(プライベート空間)での平等を要求 - 第3波フェミニズム:
→ 「多様性の平等」を要求
1960年代から精神分析学、ポストモダニズムなどを適用し始めたことがきっかけとなり、80年代からその勢いが増していった。
第3波フェミニストたちは、肉体的な「性」までも変化可能なものであると主張。有色人種、レズビアン、バイセクシュアル、トランスジェンダーの女性たちがフェミニズム運動に追従した。
第1波・第2波フェミニズムが、主に 先進国の中上流階級の女性に限定されたものだとすれば、第3波フェミニズムは開発途上国・低所得層の女性にまで拡大したものといえる。
その結果 女性運動は多様化し、女性同士の分裂現象が発生。すでに学歴や職業において男女平等社会を達成した後に生まれた若い女性たちにとって、過去のフェミニストのような「体制や男に対する対抗心」は皆無…。
そこで彼女たちは、男女間よりも 女性同士の経済格差や セクシュアリティの多様化による「個人と個人」の違いにフォーカスをあて始めたのである。
セクシャリティとは?
セクシャリティには様々な意味が含まれる。
端的に説明するならば 私が男性か女性かを決めるのは、肉体に備わっている生殖器ではなく自らの意思。性的な欲求を抱く相手が必ずしも異性ではない という概念だ。
セクシュアリティ4項目
セクシャリティにおいて重要視される項目は以下の4つ。
■ 身体的性
持って生まれた生殖器による性区別。いわゆる からだの性。
■ 性自認
自分は男なのか? 女なのか? は後天的に自分が決めることができ、自らをどのように認識しているのかという性区別。いわゆる こころの性。
■ 性的指向
性的な欲求(恋愛・性愛)を抱く対象。同性愛、異性愛、両性愛(バイセクシュアル)など。
■ 性表現
自らをどういう性として他者に見せたいのか? 見た目や言動などで表現する性区分。
LGBT / LGBTQ
ここで登場するのが、昨今 様々な場所で耳にする「LGBT」である。
LGBTとは レズ・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダーの略字だが、最近ではクエスチョニング(性自認が定まっていない人たち)のQも足した「LGBTQ」という言葉も使われるようになった。
このように、LGBTという用語はフェミニズムの延長線上に登場した。そして LGBTの社会的地位向上は、家庭破壊・国家弱体化を目論む共産主義者(悪魔崇拝者)たちが扇動した結果だということを、多くの人々は知らない。
■ 詳細:
- 「男性であること / 女性であること」
全人類が宿命として持って生まれ、自らの意志では変えることができない崇高なもの。 - 「男らしさ / 女らしさ」
古今東西、国や人種が異なっても「男らしさ / 女らしさ」の概念はおおよそ共通。
わずか数十年前までは、ほとんどの人が「性は不変であり絶対的」であることに疑いもしなかった。
しかし現代では、メディアによる 文化マルクス主義浸透プロパガンダにより、 誤認する人が増加。
自らの性(もしくは性的指向)を後天的に選ぶことができ、場合によっては(性転換手術などを通して)人生の途中でいくらでも変更可能。いつの間にか「性が曖昧で相対的なもの」となってしまったのだ。
共産主義者たちの高笑いが聞こえてくるようだ…。
第4波フェミニズム: 2000年代後半~現在(ポスト・フェミニズム)
2000年代後半から現代に至るまでの第4波フェミニズム、その特徴を見ていく。なお第4波フェミニズムの定義や範囲に関しては、議論の余地を残している。
特徴
2000年代後半から登場した、新しい概念のフェミニズム運動。
2017年にアメリカで起こった #MeToo 運動は、多くのアジア諸国に波及した。職場でのヒールやパンプス着用を拒否する #KuToo 運動などもある。
第4波フェミニズムの背景には、インターネットによる広範囲の情報拡散や、ミレニアル世代の出現などが関係していると言われている。
政治的、社会的、知的フェミニズム運動は常に混乱状態にあり、多元的なものであった。そのため第4波フェミニスト自身も「フェミニズムがこれからどこへ向かっていくのか、何が起きるのか分からない」というのが実情だ。
フェミニズム(女性解放思想、女性解放運動)の未来
第1波から第4波まで フェミニズムの歴史を整理しながら、フェミニズムとは何か? 多少なりとも答えが出せただろうか。
フェミニズム運動が「男性に対する嫌悪心を増長させる」というイメージが強いため、自らをフェミニストであると名乗る女性が多くないのは事実である。
本来のフェミニズムの目的とは? 今後のフェミニズムの未来とは? 果たして「男性嫌悪や両性平等」なのだろうか。
各時代においてフェミニストたちには「対抗すべき敵」が存在してきた。それは既得権を握る男性たちであったに違いない。しかし一度立ち止まって考えてみてほしい。
- その「倒すべき敵」である男性を踏みつけ立ち上がった女性(フェミニスト)たちが、次に手にするものとは何だろうか?
- 男性を排斥したフェミニストたちは、幸せをつかめたのだろうか?
- 女性の社会進出を後押ししたフェミニズム運動は、本当に女性たちを幸せにしたのだろうか?
第3波フェミニズムから生まれた「性の多様性」は、女性たちが「女性」であることすら否定し始めたといえる。男性を倒し 女性がいなくなれば、後には何が残るというのだろうか。
第4波フェミニズムが目指すべきゴールとは、男性と女性が互いの違いを尊重し合い、相互補完的な存在であることを認め合う、調和・共生の社会ではないだろうか。
人間は必ず「男性」もしくは「女性」としてこの世に生を受ける。それはほぼ全ての万物に共通する普遍的な自然の原則だ。
オシベとメシベ、オスとメス、男性と女性がこの世に存在する故に、人間をはじめとする地球上の生命体は今日まで命を繋いで来た。万物の霊長である人間も この大自然の理からは逃れられない。
- 生命を生み育てるにおいて必要な「男女の役割」の違い
- より健全で発展した社会を創るために必要な「男女の特性」の違い
男女の違いを「対立でなく、共生のための贈り物」として教育することが、今後のフェミニズム運動 そして フェミニストたちの行くべき道だと、筆者は考える。
【フェミニズムの歴史シリーズ】