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脱北者「李ヒョンスン」インタビュー⑤ 韓流ドラマ「愛の不時着」と朝鮮半島統一プロセスについて

更新日:脱北者「李ヒョンスン」インタビュー⑤ 韓流ドラマ「愛の不時着」と朝鮮半島統一プロセスについて

脱北者「李ヒョンスン」氏のインタビュー全文(書き起こし)その5。

前回 その4では、「北朝鮮政府が、日本・中国・韓国・アメリカをどう認識しているのか?」についてお伝えしました。


最終回となる今回は

  • 脱北者視点から観た韓流ドラマ「愛の不時着」
  • 朝鮮半島の統一問題
  • 韓国左派政権の愚かさ
  • 平和的な朝鮮半島統一は、どのように成されるべきか

に関する内容です。

目次
脱北者「李ヒョンスン」インタビュー⑤ 韓流ドラマ「愛の不時着」と朝鮮半島統一プロセスについて
脱北者の李氏が、最後に伝えたいメッセージ

脱北者「李炫昇/リヒョンスン/李ヒョンスン」氏


最後に、韓国ドラマ『愛の不時着』に対する私の分析と、朝鮮半島統一問題に対する 北朝鮮エリートたちの視角*、また 統一はどのように成されるのか、についてお伝えできればと思います。

* 視角:考え方、捉え方、視点

韓流ドラマ『愛の不時着』を脱北者はこう考える

皆さんも楽しんでご覧になったことでしょう。「愛の不時着」は、最大限 北朝鮮の現実を反映し、南韓と北朝鮮の和合を意図して制作されたドラマだと思います。政治的な分析を離れ、ドラマが優れた俳優たちの演技によって うまく脚色されていました。

特に女優のソン・イェジン氏のコミカルな演技がドラマの核心でしたし、ロミオとジュリエットのような「叶えられない愛」のストーリーも、非常に良かったと思います。


ある韓国の方が、「『愛の不時着』が北朝鮮軍人たちを美化している」と話していたのですが、私は少し違った見方をしています。

北朝鮮の軍人たちも、感情を持っている人間

北朝鮮の軍人たちも感情を持っている人間です。ただ、彼らが受けた教育が間違っているのであり、彼らが受ける命令が誤っているだけなのです。彼らも韓国人に会えば話が通じますし、同じ民族という感情を抱きます。

私たちが、彼らの過ちを「政権とリーダーシップ、社会システムの問題である」と見なければならないのであって、北朝鮮の住民が悪人だと思ってはいけません。

彼らも 多くの正しい情報と知識を得ることができれば、判断力と思考力が改善され「北朝鮮政権が悪魔の政権だ」ということを 理解するようになるでしょう。

北朝鮮の国民には「外の世界と北朝鮮を比較できる情報」が必要

そして ドラマで私が最も印象深く捉えた点は、南韓と北朝鮮の生活を対比して示したことです。

  • 一方(北朝鮮)は、刑務所のように独裁。
    全体主義体制の下、自由と権利がない生活。
  • もう一方(韓国)は、自由、平和な世界。
    自らが努力すれば お金も儲けることができ、監視も受けない生活。

これらが よく表現されていました。


北朝鮮の住民には、このように「北朝鮮と外国を比較できる情報」が必要なのです。彼らは外の世界がどのようになっているのか、とても気にしています。

そのような観点で、「愛の不時着」は南北の違いをよく説明してくれたドラマだと思いました。

朝鮮半島統一(南北統一)に対する、北朝鮮政権の考え

おそらくこのドラマを見ながら、多くの方々が「朝鮮半島の統一」を考えたのではないかと思います。韓国では、統一に対する多くの理論・主張があることを知っています。

私は「北朝鮮エリートたちの、統一に対する視角」を申し上げます。

北朝鮮は、韓国主導の統一を望んでいない

北朝鮮エリートたちは 韓国主導の統一を望んでいません。すなわち韓国の "勝者独占統一" に反対します。

理由は、韓国が膨大な資本と経済力で、北朝鮮のすべての利益と資源を占めることを望まないためです。

彼らは、
「北朝鮮が開放されて 北の人々も経済的に豊かとなり、文化的素養・知識を備えた後に統一されてこそ、公正で平和な統一が成される」と信じています。


北朝鮮エリートたちはプライドが非常に高く、韓国が北朝鮮のすべてをコントロールしようとすれば、明らかに内戦が勃発するでしょう。私は彼らと同意見です。

脱北者 李氏の考える朝鮮半島統一

私は「統一」が

  • 平壌からソウルへ 何の制限もなく、お互いに行き来することができる
  • 別れた家族が 心置きなく会うことができる
  • 南北の若者が結婚できる
  • 政府の検閲なしで通信できる

ことであると考えます。


朝鮮半島政権の主導権を誰が握るか よりも、北朝鮮や韓国がどのような社会制度を選択して、どのような原則を守るかが より重要。

「自由民主主義の価値、市場経済、人類の普遍的価値を保証する制度」が 最も良い制度であり、絶対に「共産主義、社会主義」を選択すべきではない と思います。


私たちは、「民主主義・正義・平等」を金看板として掲げた社会主義・共産主義が、どのようにして悪へと変化したか を経験しました。

社会主義・共産主義の最終目標は「1人独裁体制」だと確信しています。

太陽政策の韓国左派政権は愚か

対話・南北協力のアプローチにおいて、韓国の左派政権は非常に愚かなことをしています。

太陽政策のように、対話をし 協力により変化を引き出そうとしていますが、これは金一族政権と北朝鮮の内部政策を知らない 馬鹿な発想です。

金正恩にとって韓国とは、騙して奪い取る手段

金正恩も、北朝鮮が変化すると 住民の生活が豊かになり、平和に暮らせることを知っています。

しかし「70年間積もった蛮行、偽りの事実が明らかとなり、自分が死んで権力を失うのではないか」と考え、敢えて北朝鮮を変化させないのです。


また 北朝鮮の内部政策では、韓国を敵と規定。韓国のすべてを排除しようとしています。金正恩にとって韓国とは「必要なときに騙して奪い取る手段」に過ぎません。

対話というのは、共通の関心があり、お互いが問題解決しようとする意志があってこそ前進するもの。それが存在しない場合は、単なる雑談です。

南北の経済協力が破綻する理由

協力というのは、「共通のシステム」で「共同の利益」があってこそ 実現されるもの。しかし北朝鮮と南韓では、何一つ共有されることがありません。その理由は、政治・経済システムが全く異なるためです。

北朝鮮エリートたちは、南北の経済協力がうまくいかない理由を知っています。経済システムが違いすぎるのです。

韓国政府と韓国の学者たちだけが そのことに気付かないのか、それとも隠れた意図があるのか、​​・・・私たちが見る時、理解することができません。

私的な利益を追求する韓国左派政権は、北朝鮮国民の怒りを買う

韓国の左派政権は、北朝鮮との交渉における原則*がありません。

* 原則:思想的な軸、筋


人類の普遍的価値である人権や、自由・民主主義についての原則がなく、ただ自分たちの支持率と私的な利益だけを追求する集団です。

私は朝鮮半島統一が成されれば、韓国左派政権は、北朝鮮住民の糾弾と打倒の対象になると確信しています。

不義と蛮行に沈黙して金一族政権を支援し追従した罪は、決して軽くないことでしょう。

平和的な朝鮮半島統一(南北統一)のプロセス

朝鮮半島統一のプロセスについて、結論を申し上げます。

韓国のどんな政権であれ、韓国国民が北朝鮮を

  • 安価な労働力
  • 低価格資源
  • 韓国の経済成長を成し遂げるための足場

としてのみ捉えていれば、平和的な統一を成すことができません。


統一を、北朝鮮住民たちの発展・成長する機会となるように協力してこそ、平和的統一を成すことができるでしょう。


長い時間ご清聴いただき、誠にありがとうございました。