うつ病は精神科で治らない!? 鬱の症状・原因・改善法に対する研究
更新日:うつ病(鬱病)の症状・原因・改善法や、抗鬱剤の副作用についてご紹介します。
全てにおいてヤル気が出なくなってしまう「うつ病」。一般的にうつ病は「精神科(精神病院)で治療する "精神疾患"」だと思われがちです。
しかし最新の研究によれば、必ずしも「うつ病 = 精神疾患ではない」ということが判明しました。
一体、うつ病とは何なのでしょうか?
本稿では うつ病研究の最前線をご紹介します。
鬱病(うつ病)とは?
健常者であっても「強いストレスやショックの影響で一時的に落ち込む」というのは、あり得る話。
うつ病とは、そういった「落ち込んで気分がドン底」の状態が とても長く続く病気です。
考えてもみてください。
- 恋人が事故で急死した。
- 株取引に失敗して全財産を失った。
- 何年も勉強を頑張った試験に落ちた。
etc…。
人生で誰しも一度は、お先真っ暗になり しばらく呆然となる出来事に遭遇するはずです。
幸いにして健常者の場合は、長くても数日間 寝こむだけで社会復帰が可能。しかしうつ病患者とは、そうしたドン底の暗闇を永遠に彷徨っているんです。
・・・悲惨ですよね?
鬱病の症状とセルフチェック
うつ病患者は、「ちょっと憂鬱」〜「ベッドから起き上がれない程のドン底」の精神状態を、定期的に繰り返します。
- 慢性的な虚無感
- 世界の全てに興味がなく、いつも疲れ気味
- 思考も行動も遅く集中力がない
- 生きている意味が見いだせない
- このまま消えて無くなりたい
・・・といった思いが四六時中 頭の中で渦を巻き、酷い場合は記憶障害・食欲不振・頭痛・関節痛・胃痙攣などを発症します。
私は大丈夫!と思っている人の中でも、もし こうしたネガティブな感情が2週間以上消えないことがあれば、うつ病を疑ったほうが良いかもしれません。
鬱(うつ)は、21世紀に人類を最も苦しめる病気の一つ
WHO(世界保健機構)の統計によれば、うつ病は男性の5〜12%・女性の10〜25%が 生涯に一度は経験する病気とのこと。
さらに年々うつ病の発症者は増加しており、「うつ病は21世紀に人類を最も苦しめる病気の一つである」と WHOは警告しています。
うつ病を抑えるため より刺激の強いアルコールや麻薬に溺れるようになり、やがて中毒となって自殺する といった症例が 世界中の至るところ(日本国内でも)で報告されています。
世の中にあるどんな病気、例えばガンの末期であったとしても、「死にたい」と願う患者よりは「少しでも生き伸びたい」と願う患者が多いのが普通。
しかし、うつ病に関してだけは「死にたい」と願う患者の方が大多数。
・・・これだけをみても、いかに うつ病が人類にとって大いなる敵であるのか、理解できるというものです。
鬱病は精神疾患ではない
うつ病は脳疾患の一種であり、決して「心の弱さ」や「精神的な甘え」によって生じる病気ではありません。
もちろん心理的な要因も多少はあるでしょうが、そうした場合の鬱症状は「健常者が落ち込む」のと似たような状態。比較的短期での回復が見込まれます。
医療機関で「うつ病」と診断される程の「鬱(うつ)」は、脳・臓器の機能が数値として表れるほど損傷し、物理的にみても正常な状態ではなくなっているんです。
傍から一見しただけでは、"落ち込んでいるだけの健常者" と "うつ病患者" との間に 大きな差異を見つけられません。
そのため、うつ病患者に対して心ないことを言う人もいるようですが、・・・「重度のうつ病は精神疾患ではない」ということを肝に銘じておきましょう。
鬱病の原因を探る研究
それでは、うつ病はどのようにして発症するのでしょうか?
うつ病は 生化学的・心理的・環境的な多くの要因が重なり合って発症すると考えられています。
そのため現代医学では、未だ「うつ病の原因はこれだ」と断定するには至っていません。
しかし下記に示すとおり、幾つかのヒントは掴んでいるようです。
鬱は遺伝する
うつ病の親から生まれた子供は、鬱(うつ)になりやすいという研究報告があります。
これは、「鬱の親が育てたから子供が鬱になる」といった後天的(=環境的)な理由ではなく、先天的(=生まれつき)とのこと。
→ つまり「うつ病は遺伝子に何らかの影響を与える」ということが推測できます。
甲状腺・すい臓の機能が悪化すると、鬱を発症しやすい
甲状腺・すい臓は、様々なホルモンを分泌し身体の調子を整える臓器です。
何らかの理由で甲状腺・すい臓の機能が悪化し 体内のホルモンバランスが崩れた場合、うつを発症しやすくなるのだとか。
→ つまり「うつ病はホルモンバランスの乱れと関わりがある」ということが推測できます。
松果体におけるメラトニン分泌の異常
人の脳には「松果体(しょうかたい)」と呼ばれる豆粒ほどの大きさの部位があります。
この松果体からは「メラトニン」と呼ばれるホルモンが分泌されるのですが、このメラトニンの分泌に異常をきたすと鬱になりやすい という研究報告があります。
メラトニンの主な機能は、食事・睡眠・性行動の調整。いわゆる「本能」に対する働きがけです。
※ 因果関係が「うつ病発症 → メラトニン分泌異常」なのか「メラトニン分泌異常 → うつ病発症」なのかは、現在研究が進められています。
→ いずれにせよ「うつ病とメラトニン分泌には何らかの関わりがある」ということが推測できます。
抗鬱剤(抗うつ剤)の危険な副作用
さて、「うつ病治療」と聞いて真っ先に思いつくものが「薬物治療(抗鬱剤:抗うつ剤)」ではないでしょうか?
うつ病治療の定番とも言える「抗鬱剤」ですが、実は抗鬱剤は人体へとても負担が掛かります。
※ 以前 某医師が「自分の子供には絶対に抗鬱剤は処方しない」と暴露したことが物議を醸しました。
抗鬱剤による薬物治療は 15日間以上「連続で」薬を投与しないと効き目が現れない とされています。しかし、副作用は投与後すぐにでも現れるのだとか…。
抗鬱剤の主な副作用としては、吐き気、めまい、眠気(または不眠)、不整脈、手足の震え、体重増加、インポテンツ、etc…。
もちろん、一口に「抗鬱剤」と言っても数種類があるため、中には比較的副作用の少ない薬もあるかもしれません。
しかし、基本的に抗鬱剤は副作用が酷いということは、知っておくべきでしょう。
そうした副作用が心配な方は、以下の「抗鬱剤を使わないで鬱病を改善する方法」をお試しください。
抗鬱剤(薬)を使わない、鬱病の改善方法
副作用の心配がない、うつ病の効果的な治療・改善方法についてご紹介します。
1.栄養のある食事
例えば、「生理で不機嫌な女性が、マルチビタミン・マルチミネラルのサプリメントを摂取すると機嫌が治る」と主張する研究者もいます。
また、「白砂糖の摂取 や カルシウム不足によって、イライラしたり集中力が無くなる」という話は有名です。
このように「摂取する栄養素」というのは、私たちの感情に大きく作用します。
うつ病で食事をする元気さえも出ない人は、まずはサプリメントでも良いので 良質な栄養を摂るように心掛けましょう。
2.筋トレ
筋トレは "ムキムキマッチョ" を目指す人だけが行うものではありません。筋トレには様々な健康効果があるため、老若男女を問わず全ての人にオススメです。
そして、筋トレの健康効果の一つに「成長ホルモンの多量分泌」があるのですが、これがうつ病治療に効果絶大!
参考記事
大人になってから分泌される成長ホルモンは、身体面では「皮膚や内臓の若返り」、精神面では「ヤル気がみなぎる」といった効果があります。
鬱の人が筋トレを行うのはとても大変かとは思いますが、・・・まずは家の中で 腕立て・スクワット・腹筋などを始めてみましょう。必ず良い結果が生まれますよ!
3.有酸素運動
有酸素運動とは、呼吸を伴った長時間にわたる運動のことです。(例:エアロビ、ジョギング など)
ドイツの研究によれば、有酸素運動は抗鬱剤よりも気分の好転効果が早く現れるのだとか。
参考記事
4.日光浴(良質な睡眠)
「うつ病とメラトニン(睡眠ホルモン)の関係」について上述しましたが、
- 一日の間で日光を浴びる時間が短いほど、メラトニン分泌異常者の割合が増える。
- 睡眠障害はうつ病を引き起こしやすい。
という研究報告もあります。
一方、朝日を浴びながら散歩をすると、メラトニンの分泌が正常になり良質な睡眠を得やすくなるんです。ぜひ毎朝の散歩を習慣づけてみましょう。
参考記事
5.家族と共に過ごす
うつ病を発症すると 猛烈な虚無感・孤独感に襲われ、「自分は誰からも必要とされていない」という被害妄想に苦しめられるようになります。
そんな時は、家族と一緒に過ごす時間を増やしてみましょう。孤独な心を埋めるために「スキンシップ」は特に重要です。
親や兄弟姉妹に予め理由を話しておき、抱きしめてもらったり、手を繋いでもらったり、夜一緒の布団で寝てもらうようにしましょう。
家族の愛は、うつ病を克服する大いなる力になりますよ!
この記事のまとめ
うつ病は精神科で治らない!? 鬱の症状・原因・改善法に対する研究- 鬱病(うつ病)とは?
うつ病とは「落ち込んで気分がドン底」の状態が とても長く続く病気です。 - 鬱(うつ)は、21世紀に人類を最も苦しめる病気の一つ
「うつ病は21世紀に人類を最も苦しめる病気の一つである」と、WHO(世界保健機構)が警告しています。 - 鬱病は精神疾患ではない
うつ病は脳疾患の一種といえます。「うつ病」と診断される程の鬱は、脳・臓器の機能が数値として表れるほど損傷しています。 - 鬱病の原因を探る研究
「うつ病は遺伝子に何らかの影響を与える」「うつ病はホルモンバランスの乱れと関わりがある」「うつ病とメラトニン分泌には何らかの関わりあいがある」というヒントを、現代医学は掴んでいます。 - 抗鬱剤(抗うつ剤)の危険な副作用
抗鬱剤による薬物治療は「15日間以上連続で薬を投与しないと効き目が現れない」とされています。しかし危険な副作用は、投与後すぐにでも発症…。 - 抗鬱剤(薬)を使わない、鬱病の改善方法
栄養のある食事(サプリメント)、筋トレ、有酸素運動、日光浴(良質な睡眠)、家族とのスキンシップ など。
世間一般に さほど深刻さが伝わっていない「うつ病」。
(本文中の内容を繰り返しますが)うつ病は決して「精神的な甘え」などではなく「物理的な脳・内臓疾患」なんです!
皆がうつ病を正しく理解し、うつ病で苦しんでいる人々に少しでも愛情を注げる社会になることを願ってやみません。
お役に立てましたら幸いです ^^)