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『私の身に起きたこと ~とあるウイグル人女性の証言~』清水ともみ著 発刊!

更新日:『私の身に起きたこと ~とあるウイグル人女性の証言~』清水ともみ著 発刊!

2020年10月20日、漫画家 清水ともみ氏による「私の身に起きたこと ~とあるウイグル人女性の証言~」が季節社より発刊。Amazonのカテゴリー1位をすぐに獲得した。

ほとんどクチコミだけで広く認知されたので、その作品力は社会に高く評価されたと言える。実は、本稿筆者自身も大きな衝撃を受けた一人だ。


「私の身に起きたこと ~とあるウイグル人女性の証言~」を一人でも多くの方々へ手に取って頂きたい。日本の普通のパパ、ママ、学生さんたちに知って頂きたい。

それは日本人の遠い親戚であるウイグルの方々のためだけでなく、我が国の安全保障に重大な意味もあるのだ。


※ 本稿は清水ともみ氏にイラスト使用の許可をいただいております。

目次
『私の身に起きたこと ~とあるウイグル人女性の証言~』清水ともみ著 発刊!

「私の身に起きたこと ~とあるウイグル人女性の証言~」とは?

清水ともみ氏*による本作品は、21世紀の民族浄化、ジェノサイドとも言われるウイグル人権弾圧問題を、当のウイグル人被害者である ミフリグル・トゥルソンさんの証言をもとに作成。

* 清水ともみ - 静岡県出身。1997年講談社Kissにてデビューし、作家活動を始める。子育てに専念した後、イラスト動画制作に携わる。2019年4月にウイグル弾圧の実態を描いた「その國の名を誰も言わない」、同年8月に「私の身に起きたこと―とあるウイグル人女性の証言」をTwitterにて発表。大きな反響を得て、海外を中心に多くのメディアが紹介。

ウイグル人女性ミフリグルさんの証言

ミフリグルさんは、三つ子の孫をご両親に会わせようとエジプトから帰国した直後、中国公安当局に拘束。強制収容所での地獄を味わった。

エジプト国籍であるお子さんのおかげで、奇跡的に強制収容所を脱出。現在はアメリカで亡命生活を送っている。しかし、アメリカでも中国当局の追跡はあるようだ。

優しいタッチとのギャップ

すべて事実に基づいているため、優しい漫画タッチとのギャップが胸をえぐりさえする。

筆者は子供の頃に視聴した 故ジョン・レノン作の名曲「Happy Xmas - War is Over」を思い出した。クリスマスらしく神聖で明るいメロディーと、画面に映る戦争孤児と思われる子供たちの涙に、胸を激しく揺さぶられた。

本当は崇高なはずの誰かの美しい人生が、理不尽な牙を向かれている。それが本作品からもよく伝わる。

あえて描かないリアル

また本作品では、悲惨な事実を いたずらにリアリティを追求した描き方をしていない。

高校球児の青春を描いた名作「タッチ」(あだち充)をご存知の方は多いだろう。弟和也の事故、ホームランなどの感動シーン、悲しいシーン。タッチではそれらの瞬間を直接描いていない。それなのに、読後数十年を経ても心を動かされるのはなぜだろう。

無が問いかけるもの

我々一般読者に 深いところは知りようもないが、作品全体が非常に緻密な構想を練られた上で展開していることはうかがえる。

例えば 上述した「タッチ」は、読者の想像が誘われるという点で 作者と読者の共同作品と言えるだろう。

一方「私の身に起きたこと ~とあるウイグル人女性の証言~」は、読者への挑戦とも感じた。


本作品からは、想像だけではない「問い」が突きつけられる。

何が起こったかわかりますか?


そして読者は、自分の良心に問いかける。

私は何かしなくてもいいの?

ウイグル人権弾圧問題とは?

今さら聞けないウイグル問題① - 21世紀のホロコーストて本当?21世紀に100万人を強制収容所で洗脳なんてできるのか?涙を流す人が続出:ウイグルの現状を訴えた漫画家清水ともみさんの作品も紹介。

日本ではほとんど報じられていないが、現在も中国の新疆ウイグル自治区では、中国共産党による空前の人権弾圧が行われている。

信じられないが、21世紀のホロコーストは 日本の隣国で堂々と現在進行中なのだ。チベットを始め、最近では内モンゴル、香港、延辺(朝鮮族自治州)も。

我が国は2020年、その隣国の国家主席を 国賓待遇で迎える計画を進めていた。

絵本でもっと広く知られるウイグル問題

今この瞬間にも新疆ウイグル自治区(本来は東トルキスタン)の強制収容所には、約100万人とも言われるウイグル人が拘束、拷問を受けているという。

これらの事実を広く社会に知らしめることとなった本作品は、これまでWEB上において "知る人ぞ知る" 名作であった。それが書籍として出版されたことには、大きな社会的意義がある。

ウイグルの方々にとっても 希望となるのではないだろうか。

政治思想(右翼・左翼)を超えた原則

発行者である季節社の中原邦彦氏は、巻末でこう語る。

  • これ(人間の尊厳)は内政干渉の原則よりも、はるかに重要な原則。
  • 右派や左派などの政治的立場の違い以前の、人間が人間である限り忘れてはいけない根本的な原則。
  • 人間の尊厳を踏みにじるような支配を許してはならないし、ましてやそれに加担してはならない。

世界各国語に翻訳

世界各国言語に翻訳

本作品はワシントンポスト、ガーディアン、ブルームバーグ、CNNなど世界中のメディアに取り上げられた。米国務省HPにも掲載されている。有志の手によって14カ国語に翻訳されたという。

清水氏は 各国語版の作品をnoteで発表しているので、外国人のお知り合いがいたら ぜひご紹介頂きたい。

日本では報道されないウイグルの真実

日本のメディア界が中国共産党に忖度していることに、多くの日本国民が気付いている。渋谷のNHK地下駐車場には、頻繁に中国大使館の車両が駐車しているという話もある。

ウイグル取材には圧力?

著者清水ともみさんのところへも、心あるメディア人が 取材を申し込むこともあったという。しかし、せっかく取材をしても、何らかの理由により、結局 報道をされないことが度々あったようだ。

欧米では左派とされるメディアでさえ、清水さんのウイグル漫画を取り上げているのに 恥ずかしい限りだ。日本のジャーナリズムは死んだのか?

日本の言論への挑戦

それでも一部 女性ファッション誌などで、ウイグル問題が取り上げられたこともある。義憤に燃えた学校教師が 授業時間を割き、本作品を生徒に紹介したこともあったようだ。

漫画のインパクトは強い。一目でストレートに人の心に届く。その意味で本作品は、多くの方々にウイグル人権問題を認知して頂くのに、画期的な役割を果たしている。

ウイグル解放のチャンスが来ている

ウイグル解放

日本や同じイスラム教国家を含む国際社会は、中国共産党によるウイグル弾圧に見て見ぬふりをしてきた。

今さら聞けないウイグル問題④ - 国際社会の反応は?ウイグル問題で本当に怒ったアメリカ共和党政権が、米中デカップリングを促進?イスラム諸国が沈黙する理由はなぜ?人気サッカーゲーム中国語版ではあの選手が抹消される事態に発展?

米国議会で ウイグル人権法案が可決!

もはやウイグル人の存在自体が地上から消されるのではないか? そう思われていた2020年、米国でついにウイグル人権法案が超党派で可決した。

トランプ政権が対中対決姿勢を明確にしたことで、国際社会の潮目は変わった。中国共産党マネー支配である一帯一路に目が眩んでいた国際社会も、欧米を先頭に態度を改め始めている。

TV朝日 小松アナウンサーによる暴露

日本でも2020年、TV朝日の小松靖アナウンサーが、生放送で正直なコメントを残している。

「ウイグル問題は我々メディアも非常に扱い難い問題。中国当局のチェックも入る。我々報道機関で ウイグル自治区のニュースを扱うのは これまでタブーとされてきた。去年、共産党の内部告発の文書が出て、NYタイムズが報じて、我々が報じやすい素地が出来た」

ウイグル人権法案 - 署名運動

清水ともみさんの作品効果もあり、日本でも草の根でウイグル問題が広がり出した。衆参両院へ提出する予定である「日本でのウイグル人権法の成立を求める請願」署名運動も始まった。

心ある方はぜひ、学校や職場で署名を勧めてみてほしい。小さな波紋がたくさん集まれば、何かが起こるかも知れない。

ウイグル問題書籍の、図書館設置運動

図書館寄贈

もう一つ私たちにできることとして、「私の身に起きたこと ~とあるウイグル人女性の証言~」を親しい方々へおすすめするという方法もある。

願わくは本作品を出身校や、地元の図書館に置いて頂けるよう働きかけてみてほしい。すでに寄贈という方法を取った方もいるようだ。

本作品が出版されるまでの経緯

本作品は、中国との経済関係を考慮するなどの理由で、出版を断られてきた経緯も どうやらあったようだ。

正しいことのために、誰かのために。今回の出版には、そんな想いが宿っているはずだ。普通の作品ではない。世界を変える一石を投じている。

生命がけの証言

私たちが知っておくべきなのは、こうした証言は生命をリスクにかけているということ。証言者ミフリグルさんは、祖国の家族と泣く泣く縁を切っている。その上で、自分より大きな何かのためにした証言なのだ。その意味を推し測るべきだろう。

1人の魂が 1億人を動かすこともある

マハトマ・ガンジーの非暴力・不服従

これは 私たちが世界を変える 一つのチャンスなのだ。マハトマ・ガンジーの決意は 1947年、ついにイギリスからの独立を勝ち取った。非暴力・不服従で、当時 世界最強の軍事力を 降伏させたのだ。

本作品を広めることで、私たちにも 何か出来るかもしれない。

ミフリグルさんを始めとする、ウイグルの方々の魂が、一人でも多くの普通のパパ、ママたちに届けられることを祈る。何より、1秒でも早くウイグルが解放されることを。


「お願いします
どうか 私たちウイグル人について 知ってください
そしてこの話を あなたのまわりの誰かに 伝えてくださいませんか」



今さら聞けないウイグル問題② - どんな弾圧があるの?ウイグル弾圧ー核実験で夏目雅子も?生きたまま臓器売買て本当?職業訓練所でそんなの買ってるの?モスクを破壊したあとに何を飾ってるの?


この記事のまとめ

『私の身に起きたこと ~とあるウイグル人女性の証言~』清水ともみ著 発刊!
  • 2020年10月20日、漫画家 清水ともみ著「私の身に起きたこと ~とあるウイグル人女性の証言~」が季節社より発刊。
  • 中国共産党の圧力もあり、これまでウイグル報道自体がタブー視されて来た。
  • 2020年米国議会でウイグル人権法が成立したり、本作品が話題を呼ぶなど、最近はウイグル問題に対する風向きが変化している。
  • 「私の身に起きたこと ~とあるウイグル人女性の証言~」を世間に広めることは、ウイグルを助け、世界を変えるチャンス!
ルーク18
ルーク18

三世代家族推進運動の提唱者
「幸せな家庭こそ、最強の国防」が持論。
家庭を幸せに導くアプローチを、様々な観点から世に問う。

環太平洋諸国を巡った青春時代
各国で訪れた孤児院が人生の転機

夢は 世界平和!