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豊洲市場の本当の問題とは? −密漁編−

豊洲市場の本当の問題とは? −密漁編−

2020東京オリンピック・パラリンピックでは、日本独自の水産エコラベル「MEL(マリンエコラベル)」が導入される。


環境問題に取り組む姿勢には拍手を送りたい。

しかし、なぜMSC(世界規格)でなく、MEL(日本規格)なのか?

そこには 日本水産業界の古い構造、悪しき慣習 が見え隠れする。


早急に 密漁問題の疑念 を払拭すべきだ。

日本が「世界の良心」として 環境問題でリーダーシップを発揮するためには、水産業界全体が 健全化されなければならない。

密漁が疑われるとは、どういうことなのか?


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反社会的組織との関係 - 日本水産界のアキレス腱

フリーライター鈴木智彦さん渾身の著書「サカナとヤクザ」(小学館)によると、日本国内で流通している国産アワビの約45%に、密漁の可能性がある という。

サカナとヤクザ

人生で2回 国産アワビを食したことがあれば、そのうち1回は反社会的勢力へ資金を提供したことになってしまう。

東日本大震災で被災した三陸地域などは、反社会的勢力がアワビを密漁していることを 地元の警察や海上保安庁も把握しているのだとか。


※ なお 韓国産アワビは密漁ではなく、現地で養殖された正規品。

不都合な真実たち

2019年8月には、JR長崎駅前の居酒屋で 組織的な密漁に関わっていたとして、関係者6人が逮捕された。

高級海鮮丼が500円という不自然なほどの安さが、地元では評判、人気を博していたという。


年間売上は3000万円だというから バカにならない。

私たち一般消費者の気軽なランチが、暴力団の資金源と化していた身近な例だ。


実は、密漁事件は毎年頻繁に発生している。

  • 2015年青森県暴力団「黒いダイヤ」ナマコを1億9000万円分密漁
  • 2018年国産シラスウナギの4割が密漁モノ
  • 北海道では秋鮭密漁が横行


豊洲市場内では、こうした類の話が 意外とオープンにされる。

話す側が当事者でないこともあるだろうが、その一方で 珍しい話でもないから ではないだろうか。


日本国は法治国家なのか?

異国に迷い込んだような気がしてしまう。


※ 日本人の手によるものではないが、北朝鮮はイカ、ロシアはカニ、中国はサンゴなどを、日本領海で密漁しているとの報道もある。

日本政府の対応は?

もし、水産市場と反社会的勢力、つまりヤクザ(マフィア)との関係が世界に報道されたなら・・・、

日本の清らかなイメージは、崩れ去ってしまわないだろうか?


芸人さんが飲食店で偶然、反社会的勢力と居合わせた程度の問題ではない。

我が国の名誉と信頼に関わる。


そこで江藤農林水産大臣が2019年11月の会見で、水揚げしたアワビ・ナマコの証明書発行を義務付ける制度を発表。

もちろん密漁防止のためだ。

小泉環境大臣からも発信を

小泉進次郎小泉環境大臣(Facebookより)


密漁問題は、環境破壊と直結する問題

ただし水産業界の構造的闇に向き合わなければ、根本的解決への道筋が見えない。


発信力のある小泉進次郎環境大臣が このタブーに切り込んでくれたならば、多くの国民は拍手を送るのではないだろうか。

進次郎さん、頼みます!

オリンピックに密漁を関わらせない決意を

オリンピック選手村で賄われる料理は、開催期間中 約140万食とも。

その食材の多くが、隣の豊洲市場を経由していることは明白だ。


豊洲市場は、オリンピック選手村とメディアセンターに挟まれた場所 に位置しており、周辺は有明コロシアム、アクアティクスセンターなど、オリンピック会場が立ち並ぶ。

2020年夏には 世界中からの観光客が、世界最大の水産市場へ足を運ぶことが予想されるだろう。


オリンピック選手村で提供される食材の基準は、本来とても厳しい。

環境問題に関心が低い日本ではほとんど認識されていないが、「エコラベル」があるかどうかで外国人記者の反応は大きく変わる。

MSC エコラベル世界標準である MSC エコラベル


サステイナブル(持続可能)
な食品なのか? トレイサビリティー(産地追跡可能)、つまり流通経路は完全にシロと言える食品なのか? は最低基準。

その上でようやく、
美味しいか? 健康か? アスリートを助ける食事か? が判断される。

日本・世界、2つのエコラベル

マリンエコラベル MEL日本基準の MEL エコラベル


ところが、東京五輪で使用されるエコラベルは「日本基準」のMEL(マリン・エコラベル・ジャパン)


これまでロンドン2012、リオ2016で使用された「世界標準」のMSC(海洋管理協議会)

MSCはオリンピックレガシーの一つと認識されていたはずだが、東京2020では日本独自の基準を設けてしまった。


少なくとも世界には、約140種以上のエコラベルがすでに存在する。

その中でも「世界標準」とされるのはMSCだ。


わざわざ日本独自の基準を、今更 儲ける必然性はどこにあったのか?

MSCを退け、MELを世界基準に導入させるくらいの気概、戦略はあるのだろうか?


エコラベル比較

少種大量型MSCと、多種少量型MELは互いに補完関係にあり、合理的という意見もある。

しかし 日本の水産業界に、構造的密漁などの疑念があることを知ってしまった以上、その説明には説得力が欠けてしまわないだろうか?


実際 一部のメディアでは、こう囁かれている。

東京五輪2020では、日本水産界の密漁問題を取り繕うために 日本独自基準のエコラベルをスタートした?

日本政府・業界関係者らには、こうした疑念を ぜひ吹き飛ばしてもらいたい。

密漁、海賊は21世紀でも現実問題

こうした課題はもちろん日本だけではないだろう。

世界各国がそれぞれ抱えているはずだ。

海賊

「密漁」どころか「海賊」が、21世紀にも存在する。

日本にいると信じ難いが、現実だ。

ハーバード大学院卒の超高学歴芸人Reinaさんは、インターポール時代にソマリアの海賊を追跡担当していた経歴の持ち主だとか。

密漁問題を許す業界の空気

little fish

豊洲市場内を取材していると、こんなに小さな魚を獲っていいの? と思うことがよくある。

これでは、天然魚は減少してしまう一方だ。


厳しい言い方になるが、「次世代へ美しい資源を残そう」というスピリットを、いまいち感じられない…。

こうした環境問題への認識不足が、水産業界の構造的闇を放置する温床となっているのではないだろうか。

意識改革で環境大国になったオーストラリア

かつてオーストラリアは乱獲により、自然環境が大きなダメージを被った時代があったという。

それを反省した現在では、オーストラリアの環境保護意識は非常に高い。

漁獲枠も毎年キッチリ定められている。

その成果で、オーストラリアの自然環境はとても生産的で、美しい姿を私たちに与えてくれている。

水産王国 日本の復活を!

ウナギ、サンマ、桜エビ、イカ。日本周辺の水産資源に これまでなかった変化が見て取れる。

豊洲市場移転も完了した。

水産大国である日本としても、大変革の時を迎えているのではないか?

オーストラリアの失敗と反省からの成功を、ぜひ見習いたい。

最後に

豊洲市場を取材していると、平均年齢がどうやら高い業界だと感じる。

業界のおやっさん達にお願いしたい。

古き良き伝統は残し、悪しき慣習とは断絶を

日本と世界の未来に、おやっさん達ができるベストな選択が何なのか? 今一度問いかけて頂きたい。

この記事のまとめ

豊洲市場の本当の問題とは? −密漁編−
  • 日本の水産業界は、構造的に反社会勢力と関わっている?
  • 密漁品を、一般消費者も食している?
  • 東京五輪・パラ2020公認のエコラベルとして、世界標準のMSCとは別に、日本規格であるMELが使用される。それは密漁問題を隠すためだという疑念がある。