世界大学ランキング2019(タイムズ・ハイアー・エデュケーション)TOP100・日本国内TOP24
英タイムズ・ハイアー・エデュケーション(Times Higher Education:THE)が毎年発表している「THE世界大学ランキング」の2019年度版が、2018年9月26日に発表されました。
数多くの研究機関が独自の指標を定め発表している、世界大学ランキング。
その中でもTHE発表の大学ランキングは、世界でも有数の権威と知名度を誇っています。
15年目となる今回では、86の国と地域から 1,250以上の高等教育機関が評価対象に選ばれました。
※ 昨年は 81の国と地域から 1,100機関が対象
日本からは103校が評価対象となり、昨年の89校から大幅に増加。評価大学の数では、世界で初めてイギリスを抜いて日本が2位となりました。
※ 評価大学数の1位はアメリカ
本記事では、英タイムズ・ハイアー・エデュケーションの発表を元にした 2019年度版のTHE世界大学ランキングTOP100・日本の大学ランキングTOP24をご紹介します。
source:Times Higher Education
タイムズ世界大学ランキング2019 - TOP100校
1 | オックスフォード大学 | UK |
2 | ケンブリッジ大学 | UK |
3 | スタンフォード大学 | USA |
4 | マサチューセッツ工科大学(MIT) | USA |
5 | カリフォルニア工科大学 | USA |
6 | ハーバード大学 | USA |
7 | プリンストン大学 | USA |
8 | イェール大学 | USA |
9 | インペリアル・カレッジ・ロンドン | UK |
10 | シカゴ大学 | USA |
11 | スイス連邦工科大学チューリッヒ校(ETHZ) | スイス |
=12 | ジョンズ・ホプキンス大学 | USA |
=12 | ペンシルベニア大学 | USA |
14 | ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL) | UK |
15 | カリフォルニア大学バークレー校 | USA |
16 | コロンビア大学 | USA |
17 | カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA) | USA |
18 | デューク大学 | USA |
19 | コーネル大学 | USA |
20 | ミシガン大学 | USA |
21 | トロント大学 | カナダ |
22 | 清華大学 | 中国 |
23 | シンガポール国立大学(NUS) | シンガポール |
24 | カーネギーメロン大学 | USA |
25 | ノースウェスタン大学 | USA |
26 | ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE) | UK |
27 | ニューヨーク大学(NYU) | USA |
28 | ワシントン大学 | USA |
29 | エディンバラ大学 | UK |
30 | カリフォルニア大学サンディエゴ校 | USA |
31 | 北京大学 | 中国 |
=32 | ルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘン | ドイツ |
=32 | メルボルン大学 | オーストラリア |
34 | ジョージア工科大学 | USA |
35 | スイス連邦工科大学ローザンヌ校 | スイス |
36 | 香港大学 | 香港 |
37 | ブリティッシュコロンビア大学 | カナダ |
38 | キングス・カレッジ・ロンドン(KCL) | UK |
39 | テキサス大学オースティン校 | USA |
40 | カロリンスカ研究所 | スウェーデン |
41 | PSL Research大学 | フランス |
42 | 東京大学 | 日本 |
43 | ウィスコンシン大学マディソン校 | USA |
=44 | マギル大学 | カナダ |
=44 | ミュンヘン工科大学 | ドイツ |
46 | 香港科技大学 | 香港 |
47 | ルプレヒト・カール大学ハイデルベルク | ドイツ |
48 | ルーヴェン・カトリック大学 | ベルギー |
49 | オーストラリア国立大学 | オーストラリア |
50 | イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校 | USA |
51 | 南洋理工大学 | シンガポール |
52 | カリフォルニア大学サンタバーバラ校 | USA |
53 | ブラウン大学 | USA |
54 | ワシントン大学(セントルイス) | アメリカ |
55 | 香港中文大学 | 香港 |
56 | ノースカロライナ大学チャペルヒル校 | USA |
57 | マンチェスター大学 | UK |
58 | デルフト工科大学 | オランダ |
=59 | カリフォルニア大学デービス校 | USA |
=59 | シドニー大学 | オーストラリア |
=59 | ヴァーヘニンゲン大学 | オランダ |
62 | アムステルダム大学 | オランダ |
63 | ソウル大学 | 韓国 |
64 | パデュー大学 | USA |
65 | 京都大学 | 日本 |
66 | 南カリフォルニア大学 | USA |
67 | フンボルト大学ベルリン | ドイツ |
68 | ライデン大学 | オランダ |
69 | クイーンズランド大学 | オーストラリア |
70 | エラスムス・ロッテルダム大学 | オランダ |
=71 | ミネソタ大学 | USA |
=71 | オハイオ州立大学 | USA |
73 | ソルボンヌ(パリ)大学 | フランス |
=74 | ボストン大学 | USA |
=74 | ユトレヒト大学 | オランダ |
76 | アルベルト・ルートヴィヒ大学フライブルク | ドイツ |
77 | マックマスター大学 | カナダ |
78 | ブリストル大学 | UK |
=79 | フローニンゲン大学 | オランダ |
=79 | ウォーリック大学 | UK |
81 | ペンシルベニア州立大学 | USA |
=82 | メリーランド大学カレッジパーク校 | USA |
=82 | 成均館大学 | 韓国 |
=84 | エモリー大学 | USA |
=84 | モナシュ大学 | オーストラリア |
86 | ライス大学 | USA |
=87 | アーヘン工科大学 | ドイツ |
=87 | ウプサラ大学 | スウェーデン |
89 | エバーハルト・カール大学テュービンゲン | ドイツ |
=90 | シャリテー大学病院 | ドイツ |
=90 | モントリオール大学 | カナダ |
=90 | チューリッヒ大学 | スイス |
=93 | グラスゴー大学 | UK |
=93 | ミシガン州立大学 | USA |
=93 | 中国科学技術大学 | 中国 |
=96 | カリフォルニア大学アーバイン校 | USA |
=96 | ニューサウスウェールズ大学 | オーストラリア |
98 | ルンド大学 | スウェーデン |
=99 | ダートマス大学 | USA |
=99 | ヘルシンキ大学 | フィンランド |
大学ランキングの上位10校について
THE世界大学ランキング2019のTOP3校は、昨年度(2018年度版)と変わりありません。
昨年、英ケンブリッジ大学が 米カリフォルニア大学、米スタンフォード大学を抜いたことが話題となりましたが、今年もイギリス勢が1位・2位を独占しました。
英オックスフォード大学は3年連続で1位を獲得し、ランキング指標の一分野である「研究力(量、収入、評判)」の順位でもトップとなっています。
米マサチューセッツ工科大学(MIT)は 1ランク順位を上げて4位となり、米カリフォルニア工科大学は 前年の同率3位から5位に順位が低下。しかし同大学は 教育部門(教育環境)の評価においてトップとなっています。
イェール大学は 12位 → 8位と上昇しTOP10にランクイン。これは、現在の方法で策定されたランキング(2011年以来)において、TOP20位以内で最も大きい躍進となりました。
アジアの大学について
世界大学ランキングにおけるアジアの存在感は向上し、複数の国々が順位を上げています。
日本
冒頭でご紹介したように、日本からの評価大学数は 89校 → 103校 と、大幅に増加。
日本の大学トップは東京大学で、46位 → 42位 へと順位が上昇。日本の大学2位は京都大学で、74位 → 65位 へと順位が上昇しました。
東京大学の順位が上昇した理由は、主に教育・研究・産業収入の改善によるものです。
東京大学は 教育環境分野で世界16位、研究分野で世界19位の高評価を受けています。
京都大学の順位が上昇した理由は、主に教授法・論文の引用・産業収入の改善によるものです。
業界収入分野においては、京都大学が世界40位にランクインしています。
また、帝京大学がTOP500(401~500位以内)として新たにランクイン。論文の引用スコアが、日本の新規大学の中では最も高くなっています。
藤田保健衛生大学と首都大学東京も TOP500にランクインし、論文の引用スコアが大幅に向上しています。
※ 論文の引用スコア:どれだけ他の研究者たちへ影響を及ぼす論文を発表したかの度合い。
中国
中国本土からの評価大学数は 63校 → 72校 へ増加。評価大学数では世界4位となっています。
TOP200には中国から7校がランクイン。清華大学は 30位 → 22位 と順位を上げ、27位 → 31位 へと順位を下げた北京大学を抜き、中国一の大学として評価されました。
清華大学はシンガポール国立大学も抜いたことで、中国の大学がアジアトップの座に輝きました。現在のランキング方式において 中国の大学がアジアトップになるのは、初めてです。
清華大学の研究分野(量、収入、評判)における評価スコアは、世界6位となりました。これは、米プリンストン大学、米イェール大学、米MIT を超える順位です。
香港
香港6大学のうち4校が、ランキングで順位が上昇。世界的な競争激化にもかかわらず、5校が3年連続でTOP200へのランクインを果たしました。
香港大学は教育環境のスコアを大きく改善したことにより、40位 → 36位へとランクアップ。カナダの名門 ブリティッシュコロンビア大学や、英KCLを抜きました。
カタール大学と共に、香港城市大学は 国際化の分野において、同率1位の評価スコアを得ています。
台湾
台湾からの評価大学数は 31校 → 32校 へと増加したものの、その多くは 順位の変動がないか減退しています。
インド
インドからの評価大学数は 42校 → 49校 へと増加。ランキングでは中国の次に評価大学数の多い5位となっています。
しかし、インドの大学の多くは、順位に変動が無いか減退しています。政府の強固なイニシアチブと国際戦略が、今後の鍵となりそうです。
インドのトップ大学は依然としてインド理科大学院であり、THE世界大学ランキング251~300位にランクインしています。
北米大陸(アメリカ、カナダ)の大学について
アメリカ
アメリカは昨年に引き続き、大学ランキングの上位を占有。しかし、国際競争の激化、資金の削減、移民政策の緊縮 などにより、停滞の兆しが見られます。
アメリカは全世界の国と地域の中で 評価大学数が最も多く、その数は 157校 → 172校 へと増加しました。
ところが、そのうちの大部分に相当する130校の順位は、変動が無い または 減退しています。
アメリカからTOP200にランクインした大学数は 62校 → 60校 へと減少。そのうちの32校が順位を下げ、10校が昨年の順位を維持し、18校が順位を上げています。
カナダ
今回のランキングでカナダの大学は27校ランクインし、昨年の26校から増加しました。
カナダのトップ大学はトロント大学で、1つ順位を上げた21位となりました。
カナダからランクインした大学の77%は、昨年に比べて順位の変動が無いか減退しています。(約半数が順位を維持。)
しかし、モントリオール大学は 108位 → 90位と大きく順位を上げ、2013年以来初めてTOP100にランクイン。
オタワ大学(176位)、ウエスタン大学(190位)、カルガリー大学(199位)の3校が、カナダから今回新たにTOP200にランクインしました。
ヨーロッパの大学について
ランキングのTOP30には、ヨーロッパから7校がランクイン。そして昨年と同様に TOP200の大部分をヨーロッパの大学が占めています。
イギリス
イギリスからの評価大学数は 93校 → 98校 と増加したものの、評価大学数が 89校 → 103校 と大幅に増加した日本に、「評価大学数 世界2位」の地位を奪われました。
オックスフォード大学とケンブリッジ大学は、それぞれ1位と2位にランクインし、世界にその存在感を見せつけています。しかし、これら2校以外の77校については、順位の変化が無いか減退しています。
ランキング全体ではなくTOP200に限定するならば、イギリスはランクイン数で(アメリカに次ぐ)世界2位の座を維持しています。
ところが、29校のうち21校の順位は 変動なし もしくは 減退しており、さらに2校がTOP200から姿を消しました。
ドイツ
ドイツからの評価大学数は 44校 → 47校 に増加。
ルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘンがドイツのトップ大学であり、同率32位。
31校の順位は 変動がないか減退しており、13校がその順位を上げました。
ランキングTOP200にランクインした大学数は、ドイツが23校で世界3位です。
世界大学ランキングTOP100について
本記事ではTHE世界大学ランキングのTOP100までしかご紹介していませんが、タイムズ・ハイアー・エデュケーションではTOP1,000以上が公表されています。
上記のランキング中には、日本ではさほど知名度が高くない海外の大学が含まれています。しかし、世界的に見た場合「日本国内の難関大学よりも 遥かに評価が高い大学たち」です。
研究職やグローバルにビジネスを展開している方々は、ぜひTHE世界大学ランキングで100位以内の大学ぐらいは、全てチェックしておきましょう♪
THEランキング編集者フィル・ベイティ(Phil Baty)氏のコメント
日本の教育機関に対して
今年は日本の成績が比較的好調となり、嬉しく思います。長期的な下落の後、日本は主要大学と有望な新規参入大学両方の堅実な改善により、今年のランキングでは強固な結果を残しています。これらの成功は非常に喜ばしく、この勢いは現在も維持されています。
今年は改善が見られたものの、競争が激化する中で日本の高等教育機関の大半は依然として衰退、あるいは静止状態を維持しています。
日本の高等教育制度は、人口の減少、高齢化、留学生の地域的および国際的な競争の激化という3つの課題に直面しています。今後、このような課題が日本の大学の存続を脅かす可能性があります。
日本は大きな独創性と可能性を秘めた国家であり、現在は大学にとってプラスの転換期となっているのかもしれません。
しかし日本が地域的、そして世界的に重要な競争力のある高等教育機関としての地位を本当の意味で強化するには、はるかに大きな投資と より多くの国際化の努力が必要となります。
2019年度の世界的な傾向について
中国やその他新興国は 大学を国家経済成長戦略の中心に位置づけており、将来のランキングにおける英米の優位性に対する挑戦となる可能性があります。
中国の清華大学と北京大学は すでに世界最高峰の大学に数えられています。また、わずか7年で南方科技大学(SUSTech)は世界トップ350に入りました。
中国の成功の秘訣は国際的な見通しと国際的パートナーシップの強化、教育機関への多額の継続的な投資、そして世界最高の人材を惹きつけ保持することに重点を置いていることにあります。
その結果、世界中での評判と存在感を増しており、新興国もそれに続かんとしています。
対照的に米国、ヨーロッパ、オーストラリアなどの 従来から存在感を示していた地域では、経費削減や孤立の問題が深刻化しています。
このような条件において現在の基準を維持することは不可能であり、国際的な競争激化の中では、個々の成功を除き、停滞と緩やかな下落の兆候が見られます。
東アジアの大学が引き続き順位を上げるにつれて、従来のエリートの今後は、強い投資力と大学が最高峰の国際的な才能を引きつけて維持するための 積極的な政策に左右されると考えられます。
THEによる日本国内の大学ランキングTOP24(2019年度)
THE世界大学ランキング2019による、日本国内の大学TOP24は以下の通りです。
順位(国内) | 順位(世界) | 大学名 |
---|---|---|
1 | 42 | 東京大学 |
2 | 65 | 京都大学 |
=3 | 251-300 | 大阪大学 |
=3 | 251-300 | 東北大学 |
=3 | 251-300 | 東京工業大学 |
6 | 301-350 | 名古屋大学 |
=7 | 401-500 | 藤田保健大学 |
=7 | 401-500 | 北海道大学 |
=7 | 401-500 | 九州大学 |
=7 | 401-500 | 帝京大学 |
=7 | 401-500 | 東京医科歯科大学 |
=7 | 401-500 | 首都大学東京 |
=7 | 401-500 | 筑波大学 |
=14 | 601-800 | 千葉大学 |
広島大学 | ||
順天堂大学 | ||
慶應義塾大学 | ||
近畿大学 | ||
神戸大学 | ||
日本医科大学 | ||
立教大学 | ||
会津大学 | ||
早稲田大学 | ||
横浜市立大学 |
THE世界大学ランキングは、大学の入学偏差値ランキングではありません。
しかし上位6位あたりまでは、日本での受験偏差値ランキングと似通った結果となっているのが、興味深いところです。
「海外大学の評価」「世界の大学と比較した国内大学の評価」を知ることで、学習・研究・ビジネスに対するモチベーションアップの助けになればと思います。
何らかのお役に立てましたら幸いです♪