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二日酔いでは仕事にならない!?アルコールが抜けても体へ悪影響

二日酔いでは仕事にならない!?アルコールが抜けても体へ悪影響

二日酔いの悪影響はアルコールが抜けてからも長時間持続するという、衝撃的な研究結果をご紹介します。

英バース大学心理学科のクレイグ・ガン教授チームは、2018年8月25日(現地時間)「二日酔いによる翌日への影響」についての研究結果を発表。医学ジャーナル「アディクション」に論文を掲載しました。

クレイグ教授によれば、"二日酔いは我々が思っている以上に 仕事パフォーマンスへ悪影響を及ぼす" とのこと。

詳しくみていきましょう。

二日酔いでは仕事にならない!?アルコールが抜けても体へ悪影響

二日酔いの原因

過度な飲酒をした翌日に、頭痛・吐き気・眠気といった症状が現れる二日酔い。

場合によっては、仕事を休まなければならないほど重症化したり、例え職場に行けたとしても 普段のように作業能率が上がらなかったりと、二日酔いで苦しんだ経験のある人は少なくないでしょう。

二日酔いの原因は、ずばり「自身の代謝能力以上のアルコール摂取」です。


お酒で酔っ払うと心地よい気分になりますが、人体にとってアルコールは有害物質。そのためアルコールを摂取すると、肝臓がアルコールを分解(無害化)し始めます。

そして、アルコールは体内で一気に無害化されるわけではなく、一旦より毒性の強い「アセトアルデヒド」という物質に変化し、その後に無害化されます。

(詳細は 【アルコール耐性】お酒を飲み続けても、お酒に強くならない!? を参照)

二日酔いのメカニズム

  1. 多量に飲酒をし、泥酔状態で眠りにつく。
  2. 肝臓などの働きにより、眠っている間にアルコールがアセトアルデヒドに変化。
  3. 翌朝 目覚めてもアセトアルデヒドの無害化が終わっていない。
  4. 体内に残っているアセトアルデヒドによって悪酔い → 二日酔い発症。

・・・これが、二日酔いの正体です。

アルコールの副作用は、体内からアルコールが抜けた後も続く

アルコールを摂取することで、人の認知能力は大きく低下します。

しかし、こうした「アルコールの副作用」は、飲酒から数時間が経過しアルコールが抜けきることで、飲酒前の状態に戻ると考えられてきました。

つまりは、「飲酒後でも一定の時間が経過すればアルコールが無害化されるため、翌日は車の運転やデスクワークなどに支障が無い」という考え方です。


しかし、今回 研究チームが発表したデータによって、これが大間違いだということが判明。

例えアルコールが体内から完全に分解・排出され、酔いが醒めたシラフの状態に戻ったとしても、アルコールの副作用は持続します。

言い換えるならば、「一度体内へ摂取されたアルコールは、生化学反応によって消滅した後も精神的・身体的損傷を継続し、身体に悪影響を及ぼす」ということです。


「酔いが覚めることで認知能力が元通りになる」という社会通念が誤りだったとは、なんとも恐ろしい話ですね・・・。

二日酔いで、集中力と記憶力が低下

"適度" な飲酒であっても アルコールが継続的に身体を蝕むことは、上述の通り。

それでは、二日酔いになるほど "過度" な飲酒の場合は、身体へどのような悪影響があるのでしょうか?

研究員たちは、二日酔いの危険性について 次のように警告しています。

過度の飲酒によって集中力と記憶力が減退し、「調整力」をはじめとする「精神運動スキル(psychomotor skill)」が破損する。

二日酔いになると、この運動領域と精神領域の両方に 総合的な損傷を起こすことになり、健康面・精神面において、非常にデメリットが大きい。

調整力:自分自身が持っているいくつかの体力的要素を調整し、総合して、正確な動作を行うことができる能力のこと。

精神運動スキル:心理・運動的機能を合わせた概念で、運動知覚能力・身体能力・反射運動などが含まれる。


二日酔いの状態で、仕事や車の運転はできない

体内にアルコールが残っていなくても 認知能力の低下は続くため、「酔いから覚めた直後は 正常な思考や行動ができなくなっている」と考えるべきです。

もし、二日酔いの症状が現れるほど飲んだ翌日には、車の運転や重要な会議などは 避けた方が無難。一見すると体調に問題が無さそうに思えても、パフォーマンスが落ちていたり 判断能力が普段より劣っている状態なのですから。

そして、社会人としての貴方の評価が決定するような場には、数日間の禁酒をしてから臨むほうが賢明だと言えそうですね。

二日酔いで仕事をすると国家が破綻

この研究チームのメンバーは、特定の職種や 国家の中央官庁で勤務する人々に対して、次のように警告しています。

仕事中の飲酒を禁止している職場は多いが、二日酔い(飲酒した翌日)による機能損失を考慮した規定を設けている職場は ほとんどない。

特定職の場合には、二日酔いが及ぼす実質的な影響を正確に理解し、これをもとに、会社は安全面における規則を見直す必要がある。

実際にイギリスでは、頻繁な欠勤(二日酔い含む)による経済的被害が、年間約19億ポンド(約2,700億円)にも達しているとのこと。

たかが二日酔いといって甘く見過ごしてよい問題ではないことは、明らかですね・・・。


また、研究を行ったクレイグ・ガン教授は、19の論文を分析した結果について 以下のように述べています。

二日酔いは長期・短期記憶力と精神運動速度、持続的注意力を減退させる。

さらに、共同論文を執筆したサリー・アダムス博士は

二日酔いが個人の健康に与える影響と、国家レベルの安全性と経済にどのような影響を与えているのか、更なる研究が必要である。

と付け加えています。