妊娠中のカフェイン摂取は小児白血病のリスクを高める!?
コーヒーやドデカミンなど、妊娠中のカフェイン摂取は小児白血病のリスクを高めるという衝撃的な内容をご紹介します。
「適量のカフェイン摂取には健康効果がある」という研究結果が報告されるなど、「百害あって一利なし」と言われるタバコに比べると、カフェインは必ずしも"悪"だというわけではありません。
しかし、妊娠中の女性については「カフェインを避けるべきだ」とする意見が圧倒的多数を占めています。
妊娠中のカフェイン摂取・・・実際のところはどうなんでしょうか?
ここでは、妊娠中のカフェイン摂取に対する最新の研究結果をご覧ください。
カフェインは胎盤のバリアを通過してしまう
ママと胎児を繋げている胎盤(通称 "へその緒")、実はこの胎盤がすごいんです。
胎児が胎盤を通して、ママから栄養・酸素を分けてもらっていることはよく知られています。
その際 胎盤は、胎児にとって必要な栄養・酸素は通過させますが、胎児にとって悪影響を及ぼしかねないモノ(病原菌や一部の化学物質)は、通過させないようになっているんです。
言わば「胎盤=胎児を守る天然のバリア」というわけですね^^
・・・しかし、胎盤バリアは病原菌と一部の有害物質を防いではくれるものの、全ての有害物質を防いでくれるわけではありません。
アルコール、風邪薬、一酸化炭素(タバコの毒)などは、胎盤バリアを通過し胎児に深刻な被害を与えることが分かっています。そして、なんとカフェインも胎盤バリアを通過してしまうんです!
カフェインが胎盤を通過してしまうということは、ママの体内カフェイン濃度と胎児の体内カフェイン濃度が、ほぼ等しくなるということ。
さらに、妊娠後期はママ体内におけるカフェインの代謝速度(分解速度)が下がるため、カフェインが通常よりも長い時間、ママと胎児の身体に残ることになります。参考資料:妊娠時における肝薬物代謝能の変化
妊娠中のカフェイン摂取による、胎児への影響
2008年10月、英レスター大学・リーズ大学は 2,635人もの妊婦を対象とした、「カフェイン摂取と胎児の発育」に関する実験を行いました。
その結果、上述したような「カフェインが胎盤を素通りする」ということ、また「カフェインを摂取した場合、胎盤の血流量が減少する」という内容を突き止めたそうです。
胎児は胎盤を通してしか栄養・酸素を取得できません。そのため、胎盤の血流量が減少するということは、胎児へ届けられる栄養・酸素がそれだけ減ってしまうということになります。
つまり、「妊娠中のカフェイン摂取は、胎児の発育遅延に繋がる」という危険性があるんです!
具体的には、200mgのカフェイン(コーヒー2〜4杯分)を摂取した場合、胎盤の血流量が25%も減少するのだとか...
また、2005年に北欧の専門委員会は「カフェインの大量摂取は胎児に害を与えるであろう」という結論を下しました。
2013年にはそれを裏付けるかのように、北欧科学者たちの論文にて「カフェインは胎盤を素通りするが、胎児はカフェインを分解・排出する酵素を持っていない。その結果、カフェインの代謝物質は脳に蓄積する。」という、衝撃の事実が明らかになりました。参考資料:bioissimo blog
実は1杯のコーヒーでも、小児白血病のリスクが上昇する
さて、ここまで「妊娠中のカフェイン摂取による胎児への影響」についてご紹介しました。
ところで、これら胎児への影響については、「確かにカフェインは胎児へ害があるかもしれないが、一日に何杯もカフェイン飲料を飲まなければ、さほど心配する必要はない。」・・・とする意見が、以前は強かったようです。
(私も数年前、妻に連れ添って産婦人科で話を聴いた際に、医師からそう言われたことを覚えています。)
しかし、昨今新たに報告された内容によれば、一日に"わずかコーヒー1杯"を飲む習慣でさえ、胎児にとって致命的になりかねないとのこと。
英ブリストル大学の研究チームは、妊娠中のカフェイン摂取における、既存の20余りの研究データを再分析しました。
その結果、「妊娠中に一日1杯のコーヒーを飲む習慣は、胎児の白血病リスクを約20%上昇させる」ことが判明。
さらに、一日2杯のコーヒーでは約60%、一日4杯のコーヒーでは約72%、胎児の白血病リスクが上昇するのだそうです。
この結果に対し、研究チームは「コーヒー内のカフェインが、胎児細胞中のDNAを変形させているため」だと説明しました。
また、ブリストル大学のDenis Henshaw教授は、「小児白血病はここ数十年間で着実に増加している。電磁波や汚染など環境的な要因もあるかもしれないが、カフェイン・タバコ・アルコール摂取には、(妊婦は)特に気をつけなければいけない。妊婦だからと言って、コーヒーを完全に諦めなければいけないワケではないが、警告という意味をこめて、国家的な次元で(妊婦に対する)コーヒー摂取量の規制が必要」と述べています。参考資料:AJOG
身近にある意外なカフェイン飲料・ノンカフェイン飲料一覧
ところで、「カフェイン」といえば真っ先にコーヒーが思い浮かびますよね?
しかし実はコーヒー以外にも、市販されている飲料・食品の中でカフェインを含んでいるものって、意外に多いんです。
以下に、カフェイン飲料・カフェイン食品の例を挙げてみます。
身近なカフェイン飲料・カフェイン食品一覧
コーヒー、紅茶、ココア、コーラ、ダイエットコーラ、ドデカミン、チョコレート、栄養ドリンク、玉露、抹茶、緑茶、ほうじ茶、ウーロン茶、プーアル茶、ジャスミン茶、番茶、玄米茶、etc...。
※ 同量のコーヒーでも、ドリップコーヒーはインスタントコーヒーの約2倍のカフェイン量。
※ 玉露は、同量のドリップコーヒーの約2倍、インスタントコーヒーの約3〜4倍のカフェイン量。
※ 栄養ドリンクは、商品によってはとんでもない量のカフェインを含んでいる場合があるので、成分表に注意。
チョコレートやココア、コーラにも、妊婦には無視できない量のカフェインが含まれています。(※ チョコレートとココアについては、カカオ成分が多いものほどカフェイン量が多い。)
また、ノンアルコールビールが若干アルコールを含んでいる(1%未満)のと同様に、"ノンカフェイン"と表記されているコーヒーであっても、カフェインが僅かに含まれている場合があります。
ノンカフェインのコーヒーだからといって、ガバガバ飲み過ぎないように注意しましょうね^^
一方、妊娠中でも安心して飲むことができる、完全にカフェインゼロの飲料は下記となります。
身近なノンカフェイン飲料一覧
麦茶、ハーブティー、杜仲茶、そば茶、タンポポ茶(タンポポコーヒー)、ルイボスティー、etc...。
※ タンポポコーヒーは、見た目がコーヒーに似ていることから"コーヒー"と名前がついていますが、コーヒーとは全く別物であり、カフェインは含まれていません。
この記事のまとめ
妊娠中のカフェイン摂取は小児白血病のリスクを高める!?- カフェインは胎盤のバリアを通過してしまう!
胎盤は、病原菌や一部の有害物質をブロックし胎児を保護する「天然のバリア」。しかし、カフェインは胎盤を素通りしてしまいます。 - 妊娠中のカフェイン摂取による、胎児への影響
カフェイン摂取により胎盤の血流量が減少。→ 胎児へ届けられるはずの栄養・酸素がそれだけ減ってしまい、胎児の発育遅延に。また、胎児はカフェインを分解・排出する酵素を持っておらず、カフェイン代謝物質は胎児の脳に蓄積します。 - 実は1杯のコーヒーでも、小児白血病のリスクが上昇する
妊娠中に一日1杯のコーヒーを飲む習慣は、胎児の白血病リスクを約20%上昇。また、一日2杯では約60%、一日4杯では約72%も、胎児の白血病リスクが上昇します。 - 身近にある意外なカフェイン飲料・ノンカフェイン飲料一覧
チョコレートやココア、コーラにも、妊婦には無視できない量のカフェインが含まれています。また、"ノンカフェイン"と表記されているコーヒーであっても、僅かにカフェインを含む場合があります。
「妊娠中のコーヒー」・・・たま〜に飲むぐらいならさほど問題は無いのかもしれませんが、コーヒー摂取が習慣化していると、一日1杯とはいえ胎児にとってよくない結果を生みそうです。
また、妊娠中だけではなく出産後においても、母乳の授乳期間中は、カフェイン飲料の常飲は避けた方が無難かもしれません。
大切な赤ちゃんを守るために、ぜひママさんたちは頑張ってください!そして、パパさんたちはママさんたちを支えてあげてください!
皆さんのお役に立てましたら幸いです^^