コロナで「バフェット氏、航空株すべて売却」にみる赤字転落JAL・ANA今後の展望
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新型コロナの影響で「ウォーレン・バフェット氏が航空株を全て売却」。それを踏まえた、赤字転落のJAL・ANA 今後の展望について言及します。
アメリカのエアライン業界にはなく、日本の航空会社にはある強さとは?
バフェット氏「世界は変わってしまった」
コロナ後の世界を見据えて動き始めている「投資の神様」ウォレーン・バフェット氏が、2020年5月2日のオンライン中継の株主総会で「世界は変わってしまった」などと述べました。具体的には新型コロナウイルスの世界的大流行(パンデミック)の経済的影響が理由で、航空事業が根本的に変容したと指摘しました。
米大手エアライン4社の株式をすべて売却
米大手エアライン4社(アメリカン航空、ユナイテッド航空、サウスウエスト航空)の株式をすべて売却したと明かし、金額は計65億ドル(約6950億円)相当にも及びます。
実際、4月の米国の航空旅客は外出規制などの影響で、前年より95%減りました。
エアライン株はバフェット氏の「お気に入り銘柄」 でしたが、「外出制限が人々の行動に与える影響は分からない。3~4年後に、昨年までのように飛行機に乗るようになるのか見通せない」という悲観的な見方を示しました。
JAL、ANA赤字に転落
JAL(日本航空)が4月30日に発表した2020年1月~3月の連結決算の純損益は、229億円の赤字に転落、ANAが28日公表した1月~3月期の純損益は、587億円の赤字に転落し、四半期ベースで最大の赤字額になりました。
コロナによる減便と資金調達
JALとANAの両社は採算ラインが50%の座席利用率が30%台にとどまり、コロナによる減便、運休が影響し厳しい状況に立たされています。
JALは1,000億円、ANAは約9,500億円の資金調達をしていますが、このまま事態の収束に時間がかかれば、益々厳しい状況に追い込まれそうです。
2020年3月期IR研鑽説明会資料にみるJALとANAの緊急対応策
JAL(日本航空)
直近で国際線約95%、国内線約70%減便が現状のため、積極的に貨物郵便輸送を実施、抜本的なコスト削減と投資の抑制
ANA(全日空)の緊急対応策
即効性のある収支改善。人件費減額、(航空機受領後ろ倒しなどの)機材関連費用の圧縮、(海外整備委託の内製化など)外部委託の削減など
今後の展望
もし、早期にコロナの感染拡大が収束に向かったとしても
- 入国禁止措置を取っている国がある
- 企業の赤字や倒産などで海外出張・海外赴任などが減る
- 個人の経済的打撃により飛行機の利用が減る
- コロナへの心理的恐怖で旅行が減る
などの理由で、移動需要が急回復することは想定しづらいです。
米GoogleとFacebookが、在宅勤務を年末まで続けると発表
米GoogleとFacebookが、在宅勤務の体制を2020年末まで続けると発表しました。特に、企業では海外渡航が不可能な状況で、Zoom、Skype、LINEなどを利用して、オンライン・ミーティングを実施している企業も数多くあると思います。
例え自粛が解禁されたとしても、コロナで財務状況が厳しくなった企業は、海外渡航を増やすのではなく オンライン・ミーティングで時間とコストの節約を図ることが、十分に予測できます。
利益を創出するためには、社会環境の変化に対応して、需要減に備えた取り組みを加速していく必要がありそうです。
アメリカになくて、日本のエアラインにある強さ
バフェット氏は総会で、19世紀のアメリカの南北戦争から2008年の金融危機までを振り返り、「米国の奇跡、米国の魔法だ」と、危機を乗り越えてきた歴史、アメリカを称賛しました。
一方で、日本のエアラインは2010年には経営破綻から稲盛和夫氏が会長に就任してスピード再建したJAL。1952年に2機のヘリコプター会社からスタートし、2019年には航空会社の格付け調査を行うスカイトラックスで、JALを超え日本一、そして世界3位になったANA。
創業時の理念である「お高潔な企業」「権威に屈することのない、主体性をもつ企業」「独立独歩できる企業」のもと成長を続けてきました。日本の航空会社は 世界でもトップクラスにランクインし、再建する力をもっています。
また、アメリカのエアラインになく、日本にあるのは人財。少子化で採用が厳しい時代でも客室乗務員の職業は就職ランキングで常にトップランクイン。
グローバル化時代に絶対不可欠なのがエアライン。個人や家族レベルでコロナが収束し、はやく飛行機に乗って海外で旅行ができるのを夢見ている人たちも沢山いるのではないでしょうか。
このコロナのご時世でさえ両親が反対しても「客室乗務員(CA)になりたい」とどんな困難な状況になっも夢をもち続けている人たちがいることでしょう。
そのような夢をもち、強く、よい人財が集まる企業が、困難な状況でも乗り越えられる強い企業ではないでしょうか。