アクアティクスセンター工事現場リポート【画像あり】屋根はなんと7000t!
アクアティクスセンターの概要・周辺環境・最寄り駅などを、工事現場の最新画像と共に解説していく、東京オリンピック会場 現地リポート第3弾!
現在、総工費567億円の巨大水泳競技場「オリンピックアクアティクスセンター」を東京・辰巳に新設中だ。約7000tの大屋根は一見の価値あり。
アイディア溢れる工事中の仮囲いも必見だ。なんと萩野公介選手(リオ五輪 金メダリスト)も、既に競技場を視察していた!(記事後半でご紹介)
オリンピック開催予定地の『辰巳地区』とは?
東京オリンピック2020の主要会場周辺(有明地区・辰巳地区)では、無電柱化プロジェクトが進行中だ。
電柱を地中に埋めることで、都市景観と災害対策に強いオリンピック開催地区として生まれ変りつつある。(詳細は、前回の「有明地区紹介記事」をご参照)
辰巳地区には 日本水泳界の聖地「東京辰巳国際水泳場」が既に存在する。しかし東京五輪に向けて、さらに巨大な水泳競技場が建設されるという。
その名も「オリンピックアクアティクスセンター」。
新水泳競技場 オリンピックアクアティクスセンター
以下は、オリンピックアクアティクスセンターの完成予想図だ。
出典:丹下都市建設設計HP
収容人数 | 15,000人 |
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総工費 | 567億円 |
所在地 | 江東区 辰巳二丁目 |
アクセス | 東京メトロ有楽町線 「辰巳駅」下車 徒歩約10分 |
東京 オリンピック | 競泳 飛び込み シンクロナイズドスイミング |
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東京 パラリンピック | 競泳 |
アイディア溢れる 工事中の仮囲い
アクアティクスセンター は「辰巳の森」という大きな公園の一角にある。そのため道路も広々としていて気持ちがいい。
余談だが、「辰巳の森」は都民の憩いの場だ。BBQ、花見、ドッグラン、パターゴルフなど、休日には多くの家族連れで賑わう。
工事現場に到着すると、仮囲いには華やかなオリンピックの風景が描かれていた。
少し歩くと、「スタートライン」と書かれた場所を発見。なるほどここから平行線上に 競泳のスタートラインがあるのか。
ライン上には 江東区の小学生たちによるポスターがプリントされている。なんとも頼もしい応援団。どれも力強いタッチでインパクトがある。
リフトアップされた大屋根の様子
以下は、工事中のオリンピックアクアティクスセンター(2018年11月撮影)。
新設する会場の中では、総工費が最も高額。しかし実物を見ると それに見合った迫力に圧倒される。巨大な屋根に壮大なパワーを感じた。
大屋根の重さは、なんと約7000t。その屋根をいったん地上で組み立て、たった32本のワイヤーのみで吊り上げたそうだ(リフトアップ)。
念のため繰り返すが、「7000kg」ではなく「7000t」である! 真下から屋根を見上げると、まさしく世界一を決める舞台に相応わしい風格。
2020東京五輪開催後には、オリンピックアクアティクスセンターが 日本水泳界の中心施設になると期待されている。多くの青少年が憧れる "水泳界の新聖地" となることだろう。
近隣には サンウルブズ(日本ラグビーチーム)の練習場も
さて、オリンピックアクアティクスセンターの裏側に回ってみよう。
上の写真は 2018年10月に撮影したものだ。
オリンピックアクアティクスセンターの裏には、なんとラグビー練習場がある(写真手前のグラウンド)。
実はこの場所、スーパーラグビーの日本チームである「サンウルブズ」が練習拠点としている。
日本代表主将であるリーチ・マイケル選手たちも、きっと汗を流していたに違いない。そんな「世界の空気が漂っていた」オーラがあるのだ。
サンウルブズの拠点は2019年から千葉県市原市に移転するものの、辰巳地区周辺がスポーツに開かれた地域であることをうかがわせる。
荻野公介選手や海外の選手も視察していた
東京オリンピック出場候補の選手たちも、筆者より先にオリンピックアクアティクスセンターを訪れていた。
皆さん2020年が待ちきれないのか、海外の有力選手たちも一緒だ。
なんと荻野公介選手(2016年リオ五輪 金メダリスト)も視察しているではないか! その隣はカナダ代表のカイリージャクリーン・マス選手(リオ五輪 銅メダリスト)。
さすがは実力派アスリートたち、事前調査に抜かりがない。
必ず東京に帰ってきてほしいと要らぬ心配をしてしまうが、そこは視察した選手たちには余計なお世話。
このセンターの迫力を感じたなら、モチベーションが上がること間違いなし!
※ 工事中の仮囲い
アクアティクスセンターが満員の大観衆に埋まり、ラスト10mを人生史上最大のパワーで泳ぐ選手たち。
ひるがえる国旗、世界中で響く歓声、絶叫するアナウンサー、拳を握りしめるコーチと仲間たち、あふれるカメラフラッシュ。 ・・・想像すると鳥肌が立つ。
安室奈美恵さんの「HERO」も聞こえて来た。もはや幻聴である(苦笑)。いや、筆者は一足先に「ゾーン」に入ったのだ。
巨額の総工費に見合う感動がある
なんと言っても総工費567億円。これは東京五輪メインスタジアムを除いては 最も潤沢な建設費用だ(※ なお参考までに、東京ドームは350億円)。
世間で様々な意見が出たことは承知している。しかし実際のアクアティクスセンターを目の前にすると、それに見合う価値を実感できた。
一人の納税者として、オリンピックに税金が投入されることは光栄に思う。オリンピックの理念に基づき、人類の和合や未来の青少年育成に貢献できるのだ。
オリンピックで生きる活力をもらった方々も多くいると聞く。他の何にも代え難い 有意義な税金の使い道ではないだろうか。
東京オリンピック・パラリンピック2020は、もう目前。失礼ながら今回が「人生最後の五輪日本開催」となる方々も多いはずだ。
ここまで来たら、反対していた皆さんも 一緒にオリンピックを楽しもうではないか!
※ アクアティクスセンター完成予想図(内部)
アクアティクスセンターへのアクセスには 電車がおすすめ
アクアティクスセンターには駐車場もあり、すぐ近くには国道も走っている。
しかし、車での来場は避けた方がいいだろう。整備されているとはいえ、押し寄せるオリンピック来場者へ対応するには、少々キャパオーバーな感が否めない。
大会運営に協力する意味もあるが、現実的には電車でのアクセスをおすすめする。最寄り駅は以下の2駅だ。
アクアティクスセンター:最寄り駅
- 「辰巳駅」(有楽町線)
- 「新木場駅」(JR京葉線、有楽町線、りんかい線)
辰巳駅からの方が若干近そうだが、辰巳駅周辺にはコンビニがローソン1店舗のみ(2018年11月現在)。オリンピック開催時には 会場周辺に臨時の商業スポットを設けるだろうが、当日は地下鉄乗車前に用事を済ませておいた方が無難かもしれない。ただ、緑豊かな景観ではある。
一方、新木場駅前にはコンビニや飲食店が何店舗かある。しかし鉄道3路線が交錯するため、混雑が予想される。また、駅から会場へは国道357号線を歩いて渡る必要がある。ここの信号が厄介で、待ち時間が長い上に大型トラックの交通量も激しい。
東京五輪開催までに、交通事情が改善されることを期待したい。