ユダヤ人は父親との会話で論理的思考(IQ)を鍛える【ユダヤ式教育3】
更新日:子供のIQを上げるためにユダヤ人の父親が行っている「ハブルータ教育法(質問・討論)」についてご紹介します。
前回記事 では「我が子を信じるオンリーワン教育」について解説しました。
今回の記事では、ユダヤ人の父親が行う英才教育について解説します。
「英才教育」とはいっても、日本の教育ママたちのように 高額な塾に通わせたり、習い事を複数させたりする訳ではありません。
ユダヤ人たちは子供との日常会話の中で、自然にIQを育てているのです。
ユダヤ人といえば、「アインシュタイン」を思い浮かべる人も多い事でしょう。
「20世紀最大の物理学者」として名高い彼は、生存中にIQテストを受けておらず、実際のIQスコアは判明していません。
昨今の専門家によれば、IQ160~190前後あったのではないかと推測されています。
ところで ユダヤ人たちの伝統教育には、「IQを高める」だけに留まらない、人生を豊かに生きていくための "より深い強さ" を身に付けさせるヒミツがあるんです。
IQ(知能指数)と共に育てるべき、EQ(感情指数)とCQ(好奇心&創造性指数)
ユダヤ式教育は、ただ単にIQテストや学業で高得点を取ることを目的としていません。その点が「ユダヤ式教育」と「学歴重視教育」の違いです。
以前のシリーズにおいて、韓国は「世界で最も受験戦争が激しい国」だとご紹介しました。しかも、英アルスター大学の心理学者 リチャード・リン教授の調査によれば、韓国は "国民の平均IQの高さ" が世界2位(※ 1位は香港)とのこと。
しかし、幾らIQテストが高得点であっても、なかなか世界的な人材を輩出していない韓国の現状は、「IQ・学歴重視教育」の限界を露呈しています。
本来IQとは、他の能力とバランスよく高められてこそ、実生活の中で活きるようになっています。
IQやEQについては既によく知られていますが、最近では「CQ(好奇心&創造性指数)」という新たな指数が登場しました。
(参考文献:成功者の条件として、IQやEQは時代遅れ? )
ビジネス心理学者トマス・チャモロ・プレミュージック博士は、「ビジネスや学習の成功にはIQ/EQ と同じくらいCQが重要である」と提唱。
そしてユダヤ式教育は、IQだけでなく このEQとCQも、バランスよく家庭内で成長させることができるんです。
これらの能力が互いにシナジー効果を生み出すことで、学術分野はもちろん ビジネスや芸術など幅広い分野において、ユダヤ人たちは卓越した人材を輩出してきました。
CQ(好奇心&創造性指数)が高い人の特徴
- 何事にもハングリー精神がある。
- 強い探求欲がある。
- 新しい経験に積極的である。
- 独創的なアイディアを多く生み出せる。
これらの能力は、まさにユダヤ人たちが最も得意とするところ。そして、このCQを育てる肝が、ユダヤ式教育法の核心である「質問」と「討論」の文化です。
これに加えて、ユダヤ人の家庭ではIQとEQをバランス良く育てる独自の知恵を持っています 。
つまりユダヤ人たちは、高いIQ・高いEQ・高いCQの全てを兼ね備えれる教育法を、科学的な根拠によって効果が証明されるより数千年も昔から、家庭内で父母が行ってきたのです。
彼らには高額の学習塾が必要ありません。温かい家庭内での、父母による献身的な教育。これこそが「天才集団ユダヤ人」の高い能力の源だったのです!
ユダヤ人の家庭では、父親と母親の役割を区別する
篤実なユダヤ教徒の家庭では、聖書を元にした宗教教育を幼少期から行います。
その際 彼らは、父親の役割と母親の役割をはっきりと分けます。それは 男女の持つ特性を区別するためです。
ユダヤ人の考える「父母の役割の違い」は、日本人が考えるような「男女間の差別意識」や「経済活動は父親で、家事育児は母親」・・・といった観点と、根本的に異なります。
ユダヤ人の信奉する神には代表的な特性が2つあり、それぞれ真理(理性)と慈悲(感性)として説明されています。
男性と女性は、神の特性を受け継いで生まれた存在。そのため、家庭内における父親と母親の役割は、当然その男女の特性に基づいて区別される ・・・という考え方なのです。
ユダヤ人の価値観における、男性(父親)の特性
- 理性的で理論立って物事を考える。
- 目的中心。
- 物事に白黒を付ける。
- 権威を重んじる。
ユダヤ人の価値観における、女性(母親)の特性
- 感性的。
- 感情で物事を考える。
- 共感能力が高い。
- 信心深い。
- 子供のためならば無条件に犠牲になれる母性。
ユダヤ式教育においては、知能(理性)の領域である「IQ教育」は父親の役目。情緒(感情)の領域である「EQ教育」は母親の役目。
父母がそれぞれ受け持つ領域を区別し、神から授かった大切な我が子を「立派な選民」とするために、夫婦は心を一つにして教育します。
筆者も家庭生活を営む中で、先天的な男女の違いを互いに認め合うことで、夫婦関係も育児も、より円滑に進むという事を実感しています。
父親と母親が同一の目的(=我が子の幸福で豊かな人生)のために、互いの特性を発揮して子育てをしていくこと ・・・これこそが、ユダヤ式教育の最も重要なポイントです。
3歳から始まる父親との「質問・討論」ハブルータ
ユダヤ人の家庭では、子供が3歳になると熱心な宗教教育が始まります。
この時、「聖書」と「タルムード」という ユダヤ教における2大経典を用いる教育は、知性の領域を担当する父親の役目。
このタルムードという本は、皆さんも書店で見かけたことがあるかもしれません。しかし、日本人が接することのできるタルムードは、ユダヤ人が使う原本の極一部。本来のタルムードは、総63巻の分厚い百科辞典のようなものです。
タルムードは、聖書の内容をどうやって実生活に応用するか? といった、宗教辞典であると同時に ユダヤ共同体の法律書にもなっています。
そのため、素人が読んでも全く理解できないと言われおり、「読む本ではなく、研究する本」として、ユダヤ人の家庭では これを一生かけて学び討論し、研究していくのです。
ユダヤ人にとって タルムードを深く勉強する事は、ある意味 人生の目的。そのためユダヤ人は、自らを「本の民族」と呼ぶほどです。
この聖書とタルムードを勉強する際に用いる学習法が、ユダヤ式教育の核心である「ハブルータ学習法(質問と討論)」。
ユダヤ人たちは、家庭内で父親がハブルータによる宗教教育を行う事で、子供のIQとCQを同時に育てているのです。
「ユダヤ人は優秀だ」という実話
ハブルータ学習法が どれだけ優れた勉強法であるか、実際にあった体験談をご紹介します。
アメリカには多くの民族が住んでいますが、その中でも特に教育熱心な民族として知られているのが ユダヤ人と韓国人。そのユダヤ人と韓国人の子供が、高校の同級生として3年間を過ごしました。
高校時代の成績がズバ抜けて良かった韓国人の子供は、アイビーリーグ(=ハーバード大学を始めとするアメリカ東部の名門大学群)の入学面接を受けました。
しかし結果は、・・・成績が良かったはずの韓国人の子供は不合格。一方でユダヤ人の子供は、合格したとのこと。
そして、韓国人の子供がユダヤ人の子供に どうして面接に受かったのかを尋ねたところ、ユダヤ人の子供は こう答えたそうです。
「普段、家でお父さんと話す討論に比べたら、入学面接で質問された事は、とても簡単だったよ。」
幼少期から父親と1対1で聖書とタルムードを分析し、討論しながら育つユダヤ人の子供たちにとって、世界的な名門大学の入学試験は簡単だった、ということなのです!
父親は「世界」、母親は「愛」
ユダヤ人の家庭では、父親を通して 宗教的な価値観・道徳・社会のルールを学ぶ伝統を、今でも守り続けています。
それゆえ他民族に比べて、父親に対する尊敬と権威が存在し続け、世代間の葛藤が少ないとも言われています。
ユダヤ人の子供にとって、
父親は 最初に出会う「世界」、母親は 最初に出会う「愛」。
それほど父母の役割が、子供の一生に大きな影響を及ぼすということなんですね。
「今後生きていく世界」を子供に教えるべき父親の役割について、私たちも今一度 真剣に考えてみる必要がありそうです。
この記事のまとめ
ユダヤ人は父親との会話で論理的思考(IQ)を鍛える【ユダヤ式教育3】父親と母親のそれぞれが、男性と女性の特性を生かした子育てをすること。・・・これが、最も自然な育児の形なのかもしれません。
夫婦間においても、互いの違いを認め合い助け合う関係でいてこそ、「夫婦円満」でいられますからね(笑)
次の記事では、私たちの人生において最も必要な「愛」、そして「人格」を教える、ユダヤ人の母親の役割についてご紹介します。
次の記事
また、ハブルータの詳細については、シリーズの後半でご紹介します。
何かしら育児の助けになれば幸いです。