【豊洲市場内部の未公開写真】現在の様子と問題点が鮮明に!?
2018年10月、いよいよ世界最大の水産市場「築地」が「豊洲市場」へ移転する。
直前に迫った「世紀のお引越し」に、水産市場関係者は 期待と不安に胸をふくらませていることであろう。
今回は移転直前の豊洲市場を「関係業者エリア」から視察。(※ 一般客は立入り禁止)
水産市場関係者の生の声と共に、豊洲市場内の未公開写真、現地で気になった点などを挙げてみることにする。
市場移転の経緯(築地 → 豊洲)
築地市場については多くの説明が不要であろう。東京都民の台所であり、近年は銀座が近いことから外国人観光客も多数訪れる、日本の有名スポットになった。
そのレトロな雰囲気が人気を呼ぶ一方で、市場自体の老朽化がたびたび指摘されてきた。
そのため「市場移転」の話は尽きず、石原都知事時代に現在の江東区豊洲にあった「東京ガス跡地」が移転先として浮上した。
その後は 土壌安全問題などがメディアに取り上げられたり、小池都知事が移転を延期したことなどで、豊洲移転問題は世間の注目を浴びるようになった。
そして現在、いまだ反対派は存在するものの一応の収束をみせ、2018年10月の「豊洲市場 移転」が目前に迫っている。
建設ラッシュに沸く江東区
豊洲市場へ実際に足を運んでみると、道中で様々な建築現場に出くわす。
タワーマンション
もともと江東区の湾岸エリアは、近年タワーマンションの建設が盛んな土地柄。有楽町線を使えば銀座・新橋・大手町など都心へのアクセスは良好だ。
東京五輪の選手村
近場で有名なのは、東京オリンピック・パラリンピック(以下 東京五輪)の選手村。外観がだいぶ出来上がっているようだ。
写真左に停泊しているのは、バハマからの豪華客船 Star Legend。
2020年には、海外からも多くのオリンピアンが豊洲市場に訪れるのではないだろうか。
2号環状線
その隣を走るのは2号環状線。本来は2020年の東京五輪開催にあわせて完成が予定されていた。
懸念される交通渋滞を回避するために東京都が切った重要カードだったが、豊洲市場移転が延期となり、開通が間に合わなくなったという…。
・・・とはいえ、素人目にはすでに完成しているように見受けられる。
実際には多くの車両が絶え間なく走り続けているのだが、現状は工事用車両だけが通行を許可されているとのこと。
豊洲市場内の様子
そして、豊洲市場に到着 & 関係者エリアへ潜入。
入口
開場していないため、まだ豊洲市場内はガランとしている。しかし、入退場口の警備員たちからは緊張感が伝わってきた。
市場が稼働し始めると、事前にICチップが登録された車両しか、通行許可が下りないことになっている。
仲卸業者用フロア
ここは、仲卸業者のフロア。
開場直前まで内装業者が作業を進めている。広大な空間が遠くまで広がっているのが印象的だ。
マンホール
豊洲市場は「マンホール」にこだわっている。
それぞれのマンホールには「魚河岸」「目利き」「粋」の文字が。
ちなみに、この広大な豊洲市場のどこかに1つだけ、「築地」と書かれたマンホールが存在するという。
ディズニーランドの隠れミッキーのようだが、誰か見つけた人はいるのだろうか…。
市場が開場してから「築地マンホール」を目当てに場内を歩いては、危険極まりない。
しかも水産市場の朝は、ヒト、モノ、怒号?が飛び交い それどころではないだろう。
しかし、・・・もし築地マンホールを発見した方がいれば、ぜひとも ご連絡を賜りたい。そしてこの問題(噂?)に終止符を打って頂きたい。
豊洲市場の問題点1:水はけ
日本を代表する世界最大の水産市場として、この豊洲市場のスケールは誇らしく感じられる。
ところが一部業者の間では、その設計を「お役所仕事」と揶揄する声も。水産市場の現場事情を、設計者がきちんと把握できているのか疑問だという。
仲卸
その疑問視されている一つが「水はけ」だ。
豊洲市場内にも もちろん側溝がある。ただし、・・・浅いのだ。
そこで作業をすれば、伊勢エビのオガクズ、魚のアラが溝に流れる。
側溝が浅くては、すぐに溝が詰まってしまう。大量の水を利用する水産仲卸業者のエリアは、水浸しになってしまわないだろうか?
側溝
現在使用中の築地市場では、仲卸業者が毎日大量の水で作業場を清掃している。
大量の水産物を取り扱うにもかかわらず、築地市場の臭いが意外と抑えられてきたのは、その作業を怠らなかったためだ。
ところが豊洲市場の側溝をみた限りでは、傾斜も浅く、サイズも小さい。
その用途を満たすことができるのか、心配になってしまった…。
豊洲市場の問題点2:運搬車ターレが危険?
豊洲市場施設の問題は、水はけによる衛生面だけでは終わらない。
「ターレ」という運搬車をTV番組などでご覧になった方も多いだろう。
数百kg程度の荷物なら、こともなく市場内をスイスイと運搬するあの乗物だ。
ターレ
豊洲市場内にはいくつもの巨大な棟が存在し、さらに何層にもフロアが分かれている。その各フロアを、上写真のターレが何度も往復する。
その際、これまた長いスロープで上下移動するのだが、ここの安全性が危惧されている。
ロングスロープ
当然のごとく、ターレは「海水まみれ」。そして、魚の油脂にまみれている市場内のフロアを駆け登ることになる。
100kgのマグロを何本も荷台に乗せながら、である。
上写真は、豊洲市場でターレが駆け上るロングスロープだ。
画像で伝わるだろうか? ・・・なかなかの急傾斜である。
豊洲市場の開場後にターレ・スロープが混雑しないか、不安を抱く業者もいるようだ。
朝の水産市場はとても忙しい。荒っぽい運転をする業者も多いため、そのターレが1台でもスリップしようものなら、大事故に繋がりかねない…。
豊洲市場でシミュレーションが開催
物流の動線も大きな課題に挙げられる。市場関係者によると、9月下旬某日の早朝に 豊洲市場で大規模な運搬シミュレーションが行われたという。
その結果はまったく報道されていないが、豊洲市場周辺は大混雑に見舞われたとのこと。
当日は場内関係者のみのシミュレーションで、外部からのトラックは参加しなかったというが…。
実際に新市場がオープンすれば一体どうなることやら。ここでも設計の不備(状況把握の不足)が問われることになりそうだ。
豊洲市場移転の成功を願う
豊洲移転は時代的宿命であり、本稿は決してそれに反対しているものではない。
ただ、期待と同時に不安を抱く市場関係者らの声を、少しでも世に届けたいのだ。
そして日本の食卓事情をより安全快適にするため、エールを送りたいのだ。
上記の懸念はただの無用な心配で終わってほしいと、本当に心からそう思っている。
何よりも これほどの巨大スケール市場は世界に類を見ない。それが2020年東京五輪選手村のすぐ隣にできたのだ。
インバウンド8,000万人規模を目指すといわれる日本。その窓口である「TOKYO」に世界をお迎えするため、豊洲市場が果たす役割は大きい。
豊洲市場には、これから100年間の活躍を期待したいものだ。