【五輪会場へのアクセス問題】環状2号線開通でも築地は渋滞か?
東京オリンピック2020を目前に、2018年11月「環状2号線(築地‐豊洲区間)」がようやく暫定開通した。
大会期間中は、晴海選手村から五輪会場へ向かう経路として、重要な役割を担う。
しかし、当初 問題視されていた交通量増化による渋滞への懸念は拭いきれていない。
暫定開通となった「環状2号線」は、今どうなっているのか。渋滞が発生するといわれる理由を探ってみた。
東京オリンピック・パラリンピック準備局が進める 協賛型「交通量緩和プロジェクト(TDM)」についても触れてみたいと思う。
五輪会場の中心に「晴海選手村」
出典:東京大会組織委員会HP会場マップを見て頂くとよく分かるが、晴海選手村(オリンピックビレッジ=OV)は東京オリンピック開催地区の中央に位置している。
85%の競技会場が8km圏内。つまり、ほとんどの会場へアクセスが良好だ。
都心でありながら景観がよく、交通の便もいい。これは偶然ではないだろう。なかなか見つけることができない素晴らしいロケーションだ。モッテるぜ NIPPON!
環状2号線「暫定開通」で交通アクセスに変化が
さて気になるのは、選手村のアクセス状況だろう。
大会の成否を分ける重要ポイントでありながら、様々な懸念の声も上がっている。オリンピック開催後の跡地利用(HARUMI flag)にも 重大な影響を及ぼすからだ。
出典:産経新聞10/13選手村として使用される「晴海地区」は、もともと小さい半島のような形状をしている。そのため外部へ出るには、国道1号線(晴海通り)にアクセスするしかなかった。
鉄道を利用する場合も、最寄りの「勝どき駅」までは 橋を渡って約10分かかる。
そのため晴海地区では、築地市場が豊洲新市場に移転してから毎日渋滞が発生していた(晴海3丁目交差点)。それなりに道路幅が広いにも関らず、だ。
しかし、それが「環状2号線の開通」と共に大きく事情が変わった。渋滞は解消され、都心と東京ベイエリアへのアクセスが格段に早くなったのだ。
環状2号線(築地 - 豊洲)を走行してみた
筆者もさっそく環状2号線を走行してみることに。
これが想像以上に快適。
以前は都心へのアクセスに30分を要していたところが、5分に短縮。時間を正確に測ったわけではないが、体感としてそれくらいのインパクトだ。
ヘリテージゾーン、東京ベイゾーン(東京五輪会場)の中央に位置する選手村。選手村が立地を活かすための、まさに「道」ができたと言えるだろう。
環状2号線「築地区間」は難あり
環状2号線(築地 - 豊洲)は、2020東京五輪パラの開催に合わせ、交通・輸送の要となることを期待して建設された道路だ。
道幅の広い幹線道路が選手村(晴海)を南北に貫くことで、選手たちの会場アクセス力が大幅にアップする。
ただしこの環状2号線、2018年11月に暫定開通するまで、何度も世間を騒がせてきた。
その理由は、新しく開通するエリアの北側(築地)部分が、旧築地市場を通過するため。
つまり2018年10月に旧築地市場が豊洲新市場へ移転するまでは、環状2号線「築地部分」の工事が出来なかったのだ。
さらに言うならば、今(2018年12月現在)は まだ「暫定開通」でしかない…。
本来ならば 2020東京オリンピック開催までに、この環状2号線 築地部分は「トンネル」として開通するはずであった。
ありていに申し上げると、最終的な完成は2020年に間に合わない。
新しく開通した環状2号線は 道幅がとても広い。
・・・が、この築地区間だけ急に片道1車線となってしまう。これでは2020東京大会の運営に、大きな支障をきたしてしまうことは避けられない。
実際、片道1車線の部分だけ すでに渋滞していた。
「環状2号線」開通が騒がれた理由
ところで首都圏以外に居住の方は、一体なぜその「カンジョウ2ゴーセン」とやらが全国ニュースで扱われるのか、理解に苦しんだことだろう。
そもそもの原因は「築地市場移転の延期」にあった。
築地市場移転の延期。
↓
環状2号線 築地市場通過部分の工事ができない。
↓
環状2号線完成がオリンピックに間に合わない。
↓
選手村のアクセス能力が100%発揮できず、2020東京大会運営に不安を残す。
上記のとおり「2020東京オリンピックへ悪影響を及ぼしかねない」というのが、全国ニュースで騒がれた理由だ。
したがって、築地市場移転問題に市民活動家と思わしき方々がよく顔を出していたのは、「東京五輪潰し」ではないか?という声も耳にしたことがある。
この問題については 後日改めて言及してみたい。
五輪会場アクセスに伴う渋滞緩和プロジェクト
2020東京オリンピック本番では、選手村に隣接する「築地市場跡地」を巨大な駐車場として活用する予定だ。選手たちは各会場へバスで輸送されるという。
東京ベイエリアは、東京にしては道幅が広い。しかし交通量も多く、さらに大会期間中は通常の2倍の交通量になることが予想されている。
そのため、東京五輪パラ推進委員会は「TDM(交通マネジメント)」を推進中だ。
TDM(交通マネジメント)とは
TDMとは、オリンピックを円滑に運営するための「交通混雑緩和プロジェクト」のこと。
具体的には、協力企業へ勤務時間の変更、配達時間の変更などをお願いし、交通量の調節をするという。いわゆる「時差Biz」「テレワーク」などがそれだ。
もしかすると都内の宅配便到着時刻が、通常よりも多少 遅くなるかもしれない。
ただし、当然ながら五輪開催期間中であっても、多くの方々が職場で働いている。大勢の観客が会場へ向かうことだろう。
その上で、2020年夏までにどれだけの協力を得ることができるかが焦点だ。組織委員会、東京都はもちろん、各企業も。
2020東京オリンピック・パラリンピック成功のために 何ができるだろうか? 私たち「日本人」の一人一人が試されているのだ。