ユネスコ世界記録遺産
「東医宝鑑(日本名;とういほうかん・韓国名;トンイポガム)」
この医書を編纂した韓国の歴史的医師「ホジュン」という人物の生き方から、現代の医療の問題と理想について考察します。
参考:東医宝鑑‐文化財庁
東洋医学とその限界
東洋医学と言っても 中医学、漢方、アーユルヴェーダなど様々です。
しかし これらは「病=バランスの崩れ」であるという点で共通しています。
西洋医学ほど具体的な研究実績が少ないものの、古来から人々の肉体的・精神的治療をしてきた実績は偽りではありません。
東洋医学の限界は、ひどい外傷や 進行し過ぎた病を治すことが難しく、西洋の薬ほど即効性がないこと。
また、医師ごとに違う考えを持ち 治療の腕前もバラつきがあります。
西洋医学とその限界
外科手術・病の診断能力に優れ、薬の研究も盛んに行われている西洋医学。
日本において、病気になったら西洋医学の門を叩くのが当たり前 と言えるほど全国民に広く知られている医療です。
東洋医学では治療しきれない ひどい外傷や 進行した病に対して、薬や手術を施すことができます。
動物実験や人体実験などにより 多くの研究実績を持っているので信憑性に優れています。
西洋医学の限界は、対症療法であるがゆえに根本的治療に至らないこと。
薬の多用により人間本来の自然治癒力を低下させることもあります。
両者の限界点をお互いに埋め合わせるように、東洋医学と西洋医学がひとつになろうとしています。
統合医療という道
患者の状況に合わせて適した医療を提供しようとする動きはすでに世界的に広まってきています。
日本では法律の影響もあり まだまだ規模は小さいですが、東洋と西洋を一つにした「統合医療」は今後の医療の常識となっていくでしょう。
医師はもちろんのこと、患者自身も病について学び、適切な治療を施してくれる医師を選ぶ時代となりました。
「東医宝鑑」を編纂したホジュンも 医療の限界を悟りながら、養生(ようじょう)を強調され、それは医書の中にも反映されています。
貧しくて医療を受けられない人々のことを想い「東医宝鑑」を編纂しました。
養生の重要性
病気にならない生活は言うまでもなく 重要であることは理解していただけるかと思います。
世の中で起こるすべての事象には、それを起こした原因が 必ず存在するはずです。
病気にも必ず原因があり、症状を取り除いても 原因が取り除かれていなければ再び病気になる。ということは言うまでもないでしょう。
病院にお世話になる前に自分で自分の体を管理したほうが 体にもお財布にも優しいですね。
ホジュンのように医療の理想を掲げてきた多くの人物がいたはず。
その方々の意志を受け継いで「どんな病も治すスーパードクター」よりも「人々が病気にならないよう生活教育を施す心医」が求められています。
何らかのお役に立ちましたら幸いです。