繰り返す下痢にドナーの糞便を移植して治す

クロストリジウム・ディフィシル感染症

クロストリジウム・ディフィシル感染症(CDI)は、腸内で原因菌がCDトキシンという毒素を出し、下痢や発熱・嘔吐・腹痛などを引き起こす病気。

クロストリジウム・ディフィシルは健常者の腸内でもみられることのある嫌気性細菌で、通常 悪さをすることはありません。

抗菌薬(抗生物質等)の投与により腸内細菌叢のバランスが崩れることが原因で起こります。

抗菌薬の使用後、繰り返す下痢等、改善されない症状がみられる場合に疑われる病気の一つです。

CDIの治療は主に抗菌薬の投与

抗菌薬が原因なので、第一に原因となった抗菌薬の使用を中止します。

第二に別の抗菌薬を使って治療します。

再発率は15~20%ほどあり、まれに死に至るケースも。

軽度の場合、安静にしておくだけで治りますが、重度であれば健常者の糞便を移植して治します。

参考「The New England Journal of Medicine

原因は抗菌薬投与による腸内細菌叢の破壊

発酵食品が注目されていることからも分かる通り、腸内細菌というのは私たちの健康に大きく関わっています。

普段せっせと発酵食品を食べている人からすると、抗生物質や抗菌薬というのは天敵。

腸内細菌を殺すための薬です。

悪さをする菌だけを狙って殺す薬は存在せず、腸内細菌叢は破壊されます。

元々の病気を治すためのものなので、投与すること自体は ある面仕方ありません。

根本治療は腸内細菌叢を再生する以外ない

腸内細菌叢が破壊されたことが原因なので、それを回復させること以外に治療法はありません。

CDIを治療するうえで非常に効果的なのが糞便移植。

腸内フローラ移植(糞便移植)

健常者の糞便に含まれる腸内細菌をつかって、患者の腸内細菌叢を再生させる治療法です。

初めて耳にする方には衝撃的な内容かもしれません。

しかし効果はバツグン。

治療後の再発もほとんどみられません。

CDI以外に、潰瘍性大腸炎や過敏性腸症候群などの治療で用いられることもあります。

そのような機会が訪れる前に、腸内環境を整えておきたいものです。

ダイエットに活用する研究

食べても太らない人の腸内細菌を活用する研究や、糞便を別のカタチで移植する方法など、さまざまな研究がされています。

将来的には多くの悩みが腸内フローラ移植によって解決されるかも?

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