夫(妻)が理解できない―。
これまで数回にわたり、夫婦間の違いを見てきましたが、夫婦がすれ違う最大の原因は、他ならぬ “男女の違い”でしょう。
『なぜ男と女は四年で嫌になるのか』という本がありますが、カウンセラー兼 医学博士である著者、姫野友美さんはその理由を冒頭でこう記しています。
「それは男と女だからだ」…(汗)
男女の違い―。これを理解できたなら、パートナーに対する数々の“謎”が解けるに違いありせん。
詳細については次回以降、順に見ていきたいと思いますが、今回はまず「男女は違う!!」というシンプルな事実に目を向けてみたいと思います。
夫婦の相互理解は、まず「男女の違いを知ることから」なのです!!
今日のコンテンツ
★ 男女の違い あるある
★ 男女の違いは狩猟時代の名残?
★ 男女脳に違いがある?
★ 男女は違う…だからイイ
男女の違い あるある
男女の違い―、それは生活習慣から価値観の違いまで多岐に及びます。
分かり易く言うなら、こ~んな感じです↓ (あくまで傾向の話ですが、よく言われる話です)
<生活習慣の違い>
男性:理屈で動く、結論しか言わない…etc.
女性:感情・直感で動く、経緯を延々と話す…etc.
男性:一つのことに集中する、ストレスが溜まると黙りこむ…etc.
女性:同時にいろいろこなす、ストレスが溜まるとしゃべりまくる…etc.
<関心分野の違い>
男性:モノや機械、車・ゲーム…etc.
女性:人とのつながり、家・住まい…etc.
男性:自分の趣味と人生哲学、将来の夢と男のロマン…etc.
女性:うわさ話と人間関係、生活情報と今月の生活費…etc.
<価値観の違い>
男性:強くありたい、人の上に立ちたい、世界を変えたい、競争・勝利・成長が大事…etc.
女性:美しくありたい、周りから注目されたい、幸せになりたい、協力・調和・安定が大事…etc.
男性:妻から「頼りになるわ」と言われたい、結果を誉めてもらいたい…etc.
女性:夫から「愛しているよ」と言われたい、苦労を分かってもらいたい…etc.
無論、男女の違いにも“個人差”がありますし、ステレオタイプで捉える必要などないでしょう。
しかし、例えば、“日本人の特徴”を知ることが日本人を理解するのに役立つように、男女の傾向を知ることは夫婦の相互理解に役立つはず。
あなたの夫(妻)の行動が不可解なのは、彼(彼女)のせいなのではなく、単に“男女の違いゆえ”なのかもしれません。(汗)
男女の違いは狩猟時代の名残?
さて、こうした男女の特性と傾向の違い、一体どこから来るのでしょうか?
男女の違いを論じる走りとなった書、『話が聞けない男、地図が読めない女』の中で、著者のアラン&バーバラ・ピーズ夫妻は、男女の違いを「狩猟採集時代」(300万年前~1万年前)まで遡って説明しています。
「え?何?いつの時代?」と、初めて読んだ時にはツッコミたくなりましたが、要するに、長きにわたる過去の生き方の違いが男女の脳の発達や特性に深い影響を及ぼしたという話です。
例えば、上述したように、男性がモノに関心をもち、勝敗にこだわり、一つの目標を追いかけ、壮大な物語に惹かれる傾向をもつのも、言わば、男たちが皆かつて、壮大なフィールドを駆け巡り、獲物(ターゲット)を追いかけてきたことの名残である、とのこと。
また同様に、女性が人とのつながりを大事にし、感情を汲み取ることに長け、周囲との和を尊び、生活の細かなところに目が向くのも、女性たちが周囲と円満な関係を築いて共同体を成し、日々の生活を営んできた、長きにわたる習性によるものだといいます。
数百万年続いてきた生き方が男女の特性の違いを生んだ―。
そう考えてみると、相手が自分と異なる感覚をもっていることにも“寛容”になれるのではないでしょうか?
もし奥さんが日々、あなたの些細な欠点を細かく指摘してくるとしたら、それは恐らく “300万年間続いてきた習性のせい”であり、もし旦那さんがあなたの話をじっと座って聞き続けられないとしたら、それもきっと“狩猟時代のせい”なのでしょう(!!)
男女の脳に違いがある?
また、35万部を突破したヒット作、『妻のトリセツ』『夫のトリセツ』を著した黒川伊保子さんは、脳研究者として、男女の特性の違いを“脳科学”及び“生殖本能”の違いから説明しています。
曰く、脳の構造そのものは男女共に“全機能搭載”であって、男女間に大きな差異が見られる訳ではないが、「脳のチューニングが異なる」(=使用方法が違う)とのこと。
ラジオで例えるなら、ニュース番組であれ、音楽番組であれ、どの周波数にチューニングするかによって聞こえる内容は変わってきます。
同じように、脳も普段どのようにチューニングされているかによって、「目標を追いかける脳」にもなれば、「コミュニケーションを結ぶ脳」にもなる、という訳です。
縄張りを守り、群れを守るべきオスたちの脳が主に、外界の危険を素早く察知し、問題解決(目標達成)を急ぐようにチューニングされているとすれば、子を産み、守り育てるメスたちの脳は主に、子どもたちの快不快を察し、成長のプロセスを根気よく見守っていけるようにチューニングされているのだと言います。
こうした違いから、上述したように、夫は妻の気持ちを汲み取る前から「で、結論は何?」と急かせて妻の感情を逆なでし、妻は妻で、感情を察することが苦手な夫を相手に、「言わずに察してよ~」と無理な要求を抱いては不満を募らせる―と、そんなズレが生じてしまうのでしょう(!!)
また黒川さん曰く、哺乳類のメスは生殖リスクが高い分、優秀な種を残すためにも「オスを厳選しよう」という意識が強く(=男を見る目が厳しい!)、ひと度、子をもったメスの母性本能は全力で子孫を保護することに向けられるため、オスに対しては「全能力を家族のために速やかに提供せよ~」(=やっぱり夫には厳しい!!)という本能に駆られるんだそうです。 (汗)
男女は違う……だからイイ
さて、私は脳科学者でも生物学者でもありませんが、これまで多くの相談に応じながら、男女間には傾向や特性の違いがあること、そしてそれが大きな誤解や行き違いを生んでいることを目の当たりにしてきました。
アメリカの著名な心理学者、ジョン・グレイ博士が「そもそも男は火星人、女は金星人だった…」と述べているように、男女は元々“異星人”であって、考え方から行動様式に至るまで違って当然なのでしょう。
具体的な解説は次に回すとして、まずは「男女は違う!!」ということのみ肝に銘じておいてください。
夫婦間の誤解や葛藤は、互いが“異星人”であることを忘れてしまうことから生じるからです!!
ピーズ夫妻は言います。「男女は違う。どちらが優れている、劣っているということではなく、ただ違うのだ。」
私はその言葉に次のように付け加えたいと思います。
「男女は違うからこそ価値があり、互いを補い合うことができる」と。
夫婦は男女の違いゆえに多くの行き違いを経験することでしょう。
しかし、その違いにこそ、二人が人生を共にする理由があるのではないでしょうか?
まとめ
- 男女の違いは生活習慣から価値観まで多岐にわたり、夫婦のすれ違いの多くは男女の違いに起因することが多い
- 人類の発達過程の中で育まれた習性や脳の機能等に起因し、他の諸々の違いを生み出す要因でもある。大切なことは「男女は異なる」と知ることであり、夫婦間のすれ違いはこの事実を忘れてしまうことから生じる
- 男女は違うからこそ互いにかけがえのない価値をもち、人生のパートナーとして互いを補い合ことができる。