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悪口を受け取らない話

四大聖人の1人である ブッダ(お釈迦様)の教えをご紹介します。

【ひとこと紹介】自らを侮辱してくる相手に対し、聖人はどのように対応したのか? 現代社会の人間関係においても 大いに役立つお話。

悪口を受け取らない話

あるところに、お釈迦様が多くの人々から尊敬される姿をみて、妬んでいる男がいました。

「どうして、あんな男が皆から尊敬されているのだ。えぇい! 腹が立つ!」

そこで男は、お釈迦様がいつも散歩する道で待ち伏せをし、お釈迦様に対して罵声を浴びせかけてやろうと思いました。

「釈迦のやつめ、俺に悪口を言われたら、きっと汚い言葉で言い返してくるに違いない。皆がその様子を見たら、化けの皮が剥がれた釈迦の人気なんて、あっという間に 地に落ちるはずだ」


そして、その日がやって来ました。

「おい、釈迦! お前に言いたいことがある」

そう言って男は お釈迦様の前に立ちはだかり、聞くに堪えない侮辱の言葉を投げつけます。

お釈迦様は、ただ じっと黙って、その男の言葉を聞いておられました。


憤慨したのは、近くにいた弟子たちです。弟子たちはお釈迦様へ、次のように進言しました。

「あの男の言葉は、事実無根です!」

「あの男に、あのように侮辱されてもよいのでしょうか!」

それでも お釈迦様は、ただの一言も言い返すことなく、じっと黙って その男の悪口を聞いておられたのです。


さて、その男はというと、一方的に悪口を言い続けて疲れたのか、次第に元気が無くなってきました。

どんなに酷い言葉でお釈迦様を侮辱しても、お釈迦様は だたの一言も言い返してきません。

なんだか虚しくなってしまい、とうとう その場にへたりこんでしまいました。


その様子を見て お釈迦様は、ようやく口を開きました。そして静かに、男に尋ねられたのです。

「もし他人に贈り物をしたとして、その相手が受け取らなかった時、その贈り物は いったい誰のものだろうか?」


こう尋ねられた男は、イライラをぶつけるようにして答えました。

「そりゃあ 言うまでもない。相手が受け取らなかったのだから、贈ろうとした者のものだろう。分かりきったことを聞くな!」

男はそう答えてから、すぐに「あっ」と気づきました。


お釈迦様は静かに お話を続けられました。

「そうだよ。今、あなたは私のことを酷くののしった。でも私は、そのののしりを少しも受け取らなかった。だから あなたが言ったことは全て、あなたが受け取ることになるんだよ」

「とっさの機転」と「動じない心」。さすがはお釈迦様、お見事です。

この教えは、現代社会の人間関係にも応用できそうですね。


さて、新約聖書 マタイによる福音書8章7節には、イエスキリストが語ったとされる下記の言葉が記録されています。

(人々が、罪を犯した女を石打ちにしようとしていた際)
あなたがたの中で罪のない者が、まずこの女に石を投げつけるがよい


本稿のお釈迦様の教えに、どこか通じる部分はないでしょうか?