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3人のレンガ職人

イソップ寓話から、とても教訓的なお話をご紹介します。

※ この「3人のレンガ職人」は イソップ寓話ではないとする説もあります。

【ひとこと紹介】同じ作業をしていても、目的意識の違い(視点の高さ)が人生を左右する。物事を長期的に判断できるようにしたい。

3人のレンガ職人

旅人が、とある街を訪れた。


旅人が歩いていると、一人の男が疲れた顔をしてレンガを積んでいた。旅人はその男に尋ねた。

「ここで何をしているのですか?」

「何ってレンガ積みに決まっているだろう。朝から晩まで、俺はここでレンガを積まなきゃいけないのさ」


男はさらに話し続けた。

「暑い日も寒い日も一日中レンガ積みさ。腰は痛くなるし 何でこんなことばかりしなきゃいけないのか。まったくついてないよ。もっと気楽にやっている奴らもいるのに…」

男は自らの ひび割れて汚れた両手を差し出して見せた。

男の話は続いたが、旅人はその男に慰めの言葉を残して、歩き続けた。

◆  ◆  ◆

もう少し歩くと、一生懸命にレンガを積んでいる別の男に出会った。

今度の男は、先ほどの男のように辛そうには見えなかった。


「ここで何をしているのですか?」
旅人は尋ねた。

「俺はここで大きな壁を作っているんだ」

「大変そうですね」
旅人は労いの言葉をかけた。

「いや そんなことはないよ。この仕事のおかげで家族を養えてるし、ご飯を食べることができる。
 この辺りでは 家族を養っていける収入の仕事を見つけるのが大変なんだ。この仕事に不満を言っていたらバチがあたるよ」

旅人は男に励ましの言葉を残し、歩き続けた。

◆  ◆  ◆

またもう少し歩くと、今度は楽しそうにレンガを積んでいる男に出会った。


「ここで何をしているのですか?」
旅人は尋ねた。

「俺は今、歴史に残る偉大な大聖堂を造っているんだ」

「大変そうですね」
旅人は労いの言葉をかけた。

「まさか、とんでもない。この大聖堂が完成したら、ここで多くの人が祝福を受け 悲しみを癒すんだ。どうだい素晴らしいだろう?」

旅人は男にお礼の言葉を残し、次の街へ向かって歩き続けた。

◆  ◆  ◆

10年後、旅人は同じ街を訪れた。


「あの3人のレンガ職人たちは、今頃どうなっているだろう?」

旅人は気になり、10年前に出会った男たちの様子を見に行った。


1人目の男は、相変わらず不満を言いながら 疲れた顔でレンガを積んでいた。

2人目の男は、賃金は高いが危険と隣合わせの屋根の上で 一生懸命に仕事をしていた。

3人目の男は、現場監督として多くの職人たちを育てあげ、完成した大聖堂には彼の名前がつけられていた。